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エピローグ「伝説の先へ」
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あれから、十年以上の歳月が流れた。
相馬司とそのパーティー「原石の輝き」がもたらした改革によって、オルデン王国は、大陸でもっとも豊かで力のある国へと発展を遂げていた。
才能主義が完全に根付いたこの国では、毎年、多くの優秀な人材が、身分に関係なく様々な分野で活躍していた。
そして、その頂点に立ち、国を導き続けているのが、かつての英雄たちである。
リョウガは、【剣聖】として王国騎士団の総長を務め、その無類の強さで国を守護している。今では、かつての荒々しさはなりを潜め、多くの部下から慕われる頼れるリーダーとなっていた。
ミリアは、【大賢者】として王立魔術学院の学院長となり、後進の育成に励んでいた。彼女が体系化した新しい魔法理論は、この国の魔法レベルを数百年は進めたと言われている。
レオは、【聖騎士】の名にふさわしく、王国聖教会の最高指導者である教皇となり、その慈愛に満ちた心で、民衆の精神的な支えとなっていた。彼の前では、どんな凶悪な犯罪者も、素直に罪を認め、改心してしまうという。
アンナは、【大魔導士】の力を活かし、大陸全体の気象をコントロールする組織を設立。干ばつや洪水を未然に防ぎ、多くの人々の命と暮らしを救っていた。その功績から、民衆には「恵みの大魔女様」と呼ばれ、親しまれている。
そして、彼ら四人の英雄を育て上げ、今もなお、この国の未来をプロデュースし続けている男。
相馬司。
彼は、表舞台には立たず、特定の役職にも就いていなかった。だが、国王から街の民に至るまで、この国の誰もが、彼こそが真の指導者であることを知っていた。
人々は、敬意と親しみを込めて、彼をこう呼んだ。
『キング・プロデューサー』と。
ある日の昼下がり。
司は、かつて仲間たちと初めて出会った街、クロスロードのギルドの酒場に、一人で来ていた。
すっかり様変わりした美しい街並みを眺めながら、懐かしいエールを味わう。
「やあ、久しぶりじゃないか、司殿」
声をかけてきたのは、すっかり白髪になった、ギルドのマスターだった。
「マスターこそ、元気そうで何よりだ」
「おかげさまでな。あんたたちが、こんないい国にしてくれたおかげだよ」
マスターは、心からの笑顔で言った。
その時、ギルドの扉が勢いよく開き、数人の若い冒険者たちが入ってきた。
「見てくれよ、この依頼! 俺たちでも、できそうだぜ!」
「よーし、いっちょ、成り上がってやろうぜ!」
希望に満ちた彼らの目は、キラキラと輝いていた。
司は、こっそりと彼らを【才能鑑定】する。
そこには、BランクやAランクの、将来有望な才能の輝きが見えた。
「いい目をするようになったじゃないか、みんな」
司は、満足そうに微笑むと、エールの最後の一滴を飲み干し、静かに席を立った。
彼の仕事は、まだ終わらない。
この世界には、まだ誰にも気づかれずに眠っている、「原石」たちがいるはずだ。
それを見つけ出し、磨き上げ、未来へと繋いでいく。
それが、神が、あるいは運命が、この自分に与えた役割なのだから。
「さて、次の原石を探しに行くとしますか」
伝説のプロデューサーは、誰に言うでもなくそうつぶやくと、また新たな才能を求めて、人混みの中へと歩き出していった。
彼の物語は、これからも、永遠に語り継がれていくのだろう。
一人の男が、そのたぐいまれな「目」と「知恵」だけで、世界を、そして多くの人々の運命を変えた、英雄たちの時代の始まりの物語として。
相馬司とそのパーティー「原石の輝き」がもたらした改革によって、オルデン王国は、大陸でもっとも豊かで力のある国へと発展を遂げていた。
才能主義が完全に根付いたこの国では、毎年、多くの優秀な人材が、身分に関係なく様々な分野で活躍していた。
そして、その頂点に立ち、国を導き続けているのが、かつての英雄たちである。
リョウガは、【剣聖】として王国騎士団の総長を務め、その無類の強さで国を守護している。今では、かつての荒々しさはなりを潜め、多くの部下から慕われる頼れるリーダーとなっていた。
ミリアは、【大賢者】として王立魔術学院の学院長となり、後進の育成に励んでいた。彼女が体系化した新しい魔法理論は、この国の魔法レベルを数百年は進めたと言われている。
レオは、【聖騎士】の名にふさわしく、王国聖教会の最高指導者である教皇となり、その慈愛に満ちた心で、民衆の精神的な支えとなっていた。彼の前では、どんな凶悪な犯罪者も、素直に罪を認め、改心してしまうという。
アンナは、【大魔導士】の力を活かし、大陸全体の気象をコントロールする組織を設立。干ばつや洪水を未然に防ぎ、多くの人々の命と暮らしを救っていた。その功績から、民衆には「恵みの大魔女様」と呼ばれ、親しまれている。
そして、彼ら四人の英雄を育て上げ、今もなお、この国の未来をプロデュースし続けている男。
相馬司。
彼は、表舞台には立たず、特定の役職にも就いていなかった。だが、国王から街の民に至るまで、この国の誰もが、彼こそが真の指導者であることを知っていた。
人々は、敬意と親しみを込めて、彼をこう呼んだ。
『キング・プロデューサー』と。
ある日の昼下がり。
司は、かつて仲間たちと初めて出会った街、クロスロードのギルドの酒場に、一人で来ていた。
すっかり様変わりした美しい街並みを眺めながら、懐かしいエールを味わう。
「やあ、久しぶりじゃないか、司殿」
声をかけてきたのは、すっかり白髪になった、ギルドのマスターだった。
「マスターこそ、元気そうで何よりだ」
「おかげさまでな。あんたたちが、こんないい国にしてくれたおかげだよ」
マスターは、心からの笑顔で言った。
その時、ギルドの扉が勢いよく開き、数人の若い冒険者たちが入ってきた。
「見てくれよ、この依頼! 俺たちでも、できそうだぜ!」
「よーし、いっちょ、成り上がってやろうぜ!」
希望に満ちた彼らの目は、キラキラと輝いていた。
司は、こっそりと彼らを【才能鑑定】する。
そこには、BランクやAランクの、将来有望な才能の輝きが見えた。
「いい目をするようになったじゃないか、みんな」
司は、満足そうに微笑むと、エールの最後の一滴を飲み干し、静かに席を立った。
彼の仕事は、まだ終わらない。
この世界には、まだ誰にも気づかれずに眠っている、「原石」たちがいるはずだ。
それを見つけ出し、磨き上げ、未来へと繋いでいく。
それが、神が、あるいは運命が、この自分に与えた役割なのだから。
「さて、次の原石を探しに行くとしますか」
伝説のプロデューサーは、誰に言うでもなくそうつぶやくと、また新たな才能を求めて、人混みの中へと歩き出していった。
彼の物語は、これからも、永遠に語り継がれていくのだろう。
一人の男が、そのたぐいまれな「目」と「知恵」だけで、世界を、そして多くの人々の運命を変えた、英雄たちの時代の始まりの物語として。
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