【アイテム分解】しかできないと追放された僕、実は物質の概念を書き換える最強スキルホルダーだった

黒崎隼人

文字の大きさ
4 / 17

第二章:覚醒の兆し、ただの分解じゃなかったスキル

しおりを挟む
 エリナは僕が世話になっている宿屋に泊まることになった。
 彼女は元騎士団員だったが、ある事件で濡れ衣を着せられ、国を追われたのだという。その時に、この呪われた魔剣を託されたらしい。似たような境遇のせいか、僕たちは少しずつ打ち解けていった。

 その夜、僕は宿屋の主人から、壊れた魔道具の修理を頼まれていた。ほんのり光るだけの、古いランプだ。分解して、素材に戻すしかないか……。そう思いながら、僕はいつものように【アイテム分解】を使った。
 すると、その瞬間。
 僕の頭の中に、光の奔流が流れ込んできた。それは、ただの分解のイメージではなかった。ランプの構造、魔力を流すための回路、光を灯すための術式――その設計図とも言うべき『概念』が、手に取るように理解できたのだ。
(なんだ……これ……?)
 戸惑いながらも、僕は無意識にその設計図をなぞっていた。そして、気づいた。この回路、一部が断線している。ここを繋げば、もっと効率よく魔力が流れるはずだ。
 僕は頭の中の設計図を『修復』するイメージを強く念じた。
「【アイテム分解】……いや、『再構築』!」
 僕がそう呟くと、手の中のランプが眩い光を放った。以前とは比べ物にならない、まるで太陽のような暖かく力強い光だ。

「……アッシュ? 何だ、この光は」
 騒ぎに気づいたエリナが、部屋に入ってくる。彼女は光り輝くランプを見て、目を見開いた。
「これ……君がやったのか?」
「た、たぶん……。壊れてたのを、直した……みたいだ」
 僕自身も、何が起きたのかよくわかっていない。ただ、スキルを使っただけなのに。
 その時、僕はエリナが腰に下げている呪われた魔剣に目が向いた。あの剣も、もしかしたら。
「エリナ、その剣を貸してくれないか?」
「……何を?」
「僕のスキルなら、その呪いを解けるかもしれない」
 根拠のない自信だった。だが、試してみる価値はあると思った。エリナは半信半疑の顔をしながらも、僕に剣を差し出した。
 黒くくすんだ刀身に、そっと手を触れる。そして、意識を集中させてスキルを発動した。
「【アイテム分解】……!」
 再び、頭の中に膨大な情報が流れ込んでくる。だが今度は、禍々しい紫色の奔流だった。複雑に絡み合った鎖のような術式。これが、呪いの正体か。
(気持ち悪い……でも、わかる。この術式の『核』はここだ。そして、本来の『聖なる力』の流れは、こうなっているはずだ……!)
 僕は絡み合った呪いの鎖を一つ一つ解きほぐし、断ち切られた聖なる力の流れを繋ぎ合わせていくイメージを浮かべた。汚泥を取り除き、清らかな水路を再生させるように。
「再構築――!!」
 僕が叫ぶと、魔剣が甲高い音を立てて振動し、黒い靄のようなものが霧散していく。そして、刀身は本来の姿を取り戻した。白銀に輝く、神々しいまでの美しい剣。聖剣だ。

「嘘……だろ……。数多の神官や賢者が解けなかった呪いを、君が……?」
 エリナは驚愕に目を見開いたまま、震える手で聖剣を受け取った。剣は主の手に戻ったことを喜ぶかのように、温かい光を放っている。
 彼女は聖剣を握りしめると、僕の前に跪いた。
「アッシュ……君は私の恩人だ。この命、君のために使わせてほしい」
「えっ、そんな!」
「いや、これは私の誓いだ。君の護衛として、そばにいることを許してくれ」
 真剣な青い瞳に見つめられ、僕は断ることができなかった。
 こうして僕は、銀髪の美しい女騎士という、初めての仲間を得た。そして、自分のスキルが、ただの【アイテム分解】ではないという確信を得たのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

役立たずと追放された聖女は、第二の人生で薬師として静かに輝く

腐ったバナナ
ファンタジー
「お前は役立たずだ」 ――そう言われ、聖女カリナは宮廷から追放された。 癒やしの力は弱く、誰からも冷遇され続けた日々。 居場所を失った彼女は、静かな田舎の村へ向かう。 しかしそこで出会ったのは、病に苦しむ人々、薬草を必要とする生活、そして彼女をまっすぐ信じてくれる村人たちだった。 小さな治療を重ねるうちに、カリナは“ただの役立たず”ではなく「薬師」としての価値を見いだしていく。

追放された凡人、実は伝説の創造主だった ~気づけば女神も勇者も俺に跪いていた件~

fuwamofu
ファンタジー
平凡な村人レンは王都の勇者パーティーから「役立たず」として追放された。 だが彼の正体は、この世界そのものを創り出した“創造主”。 無自覚のまま最強の力を発揮し、女神や剣聖、美姫たちを次々と救い、惹きつけていく。 気づけば世界中が彼に跪き、かつて自分を見下した者たちが震える――これは、忘れられた「創造者」が歩む無自覚最強譚である。

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません? せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」 不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。 実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。 あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね? なのに周りの反応は正反対! なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。 勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

濡れ衣を着せられ、パーティーを追放されたおっさん、実は最強スキルの持ち主でした。復讐なんてしません。田舎でのんびりスローライフ。

さら
ファンタジー
長年パーティーを支えてきた中年冒険者ガルドは、討伐失敗の責任と横領の濡れ衣を着せられ、仲間から一方的に追放される。弁明も復讐も選ばず、彼が向かったのは人里離れた辺境の小さな村だった。 荒れた空き家を借り、畑を耕し、村人を手伝いながら始めた静かな生活。しかしガルドは、自覚のないまま最強クラスの力を持っていた。魔物の動きを抑え、村の環境そのものを安定させるその存在は、次第に村にとって欠かせないものとなっていく。 一方、彼を追放した元パーティーは崩壊の道を辿り、真実も勝手に明るみに出ていく。だがガルドは振り返らない。求めるのは名誉でもざまぁでもなく、ただ穏やかな日々だけ。 これは、最強でありながら争わず、静かに居場所を見つけたおっさんの、のんびりスローライフ譚。

追放された公爵令息、神竜と共に辺境スローライフを満喫する〜無敵領主のまったり改革記〜

たまごころ
ファンタジー
無実の罪で辺境に追放された公爵令息アレン。 だが、その地では神竜アルディネアが眠っていた。 契約によって最強の力を得た彼は、戦いよりも「穏やかな暮らし」を選ぶ。 農地改革、温泉開発、魔導具づくり──次々と繁栄する辺境領。 そして、かつて彼を貶めた貴族たちが、その繁栄にひれ伏す時が来る。 戦わずとも勝つ、まったりざまぁ無双ファンタジー!

「お前の代わりはいる」と追放された俺の【万物鑑定】は、実は世界の真実を見抜く【真理の瞳】でした。最高の仲間と辺境で理想郷を創ります

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の代わりはいくらでもいる。もう用済みだ」――勇者パーティーで【万物鑑定】のスキルを持つリアムは、戦闘に役立たないという理由で装備も金もすべて奪われ追放された。 しかし仲間たちは知らなかった。彼のスキルが、物の価値から人の秘めたる才能、土地の未来までも見通す超絶チート能力【真理の瞳】であったことを。 絶望の淵で己の力の真価に気づいたリアムは、辺境の寂れた街で再起を決意する。気弱なヒーラー、臆病な獣人の射手……世間から「無能」の烙印を押された者たちに眠る才能の原石を次々と見出し、最高の仲間たちと共にギルド「方舟(アーク)」を設立。彼らが輝ける理想郷をその手で創り上げていく。 一方、有能な鑑定士を失った元パーティーは急速に凋落の一途を辿り……。 これは不遇職と蔑まれた一人の男が最高の仲間と出会い、世界で一番幸福な場所を創り上げる、爽快な逆転成り上がりファンタジー!

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

処理中です...