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第11章:最終決戦への道と仲間たちの覚悟
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俺が勇者として魔王討伐の旅に出るという話は、瞬く間に王国中に広まった。リリアとガレスはもちろん、アルストロメリア領から駆けつけたセレーナさん、そして「王女自ら、勇者の旅路を見届ける」と宣言したアイリス王女までが、俺のパーティに加わることになった。いつの間にか、すごい大所帯だ。
「ユウキ様、このセレーナ、命に代えても貴方様をお守りします」
「私もだ、ユウキ。そなたは、この国の……いや、世界の宝なのだから」
セレーナさんとアイリスさんは、なんだかすごい覚悟を決めている。リリアとガレスも、いつも以上に引き締まった表情だ。
「みんな、そんなに気負わなくても。ピクニックに行くくらいの気持ちでいこうよ」
俺の呑気な一言に、全員が盛大なため息をついた。この温度差は、もう埋まりそうにない。
魔王城は、大陸の最北端、万年雪に覆われた「終焉の地」にあるという。俺たちは王都の人々の盛大な見送りを受け、旅を開始した。
道中、各地で魔王の復活に呼応した魔王軍の幹部たちが、俺たちの前に立ちはだかった。
最初に現れたのは、「疾風の四天王」を名乗る、四人組の魔族だ。
「我らは魔王様が最初の刺客!勇者よ、ここで果てるがいい!」
彼らは風のように素早く、連携も完璧だった。
「ユウキさん、囲まれました!どうします!?」
リリアが叫ぶ。
「うーん、四人もいると面倒だな。一箇所に集まってくれないかな」
俺がそう呟いた瞬間、なぜか四天王の足がもつれ、面白いように転がり、全員が一箇所に団子状態になった。
「な、なぜだ!?体が勝手に……!」
「よし、チャンス」
俺は団子になった彼らに向かって、デコピンをした。
ズドォォォン!という衝撃波と共に、四天王は仲良く空の彼方へ飛んでいった。
「……終わった、かな?」
俺が首を傾げると、仲間たちは「またか……」という顔で天を仰いでいた。
次に現れたのは、「不動の巨人」と呼ばれる、山のように巨大なゴーレムだった。
『ワレハ、ココヲ、トオサナイ』
「ユウキ殿、あれは古代兵器だ!通常の攻撃は一切通用しないぞ!」
ガレスが警告する。
「へえ、硬いんだ。じゃあ、ちょっと押してみようか」
俺は巨大なゴーレMに近づき、その腹を、人差し指でツン、とつついてみた。
次の瞬間、古代兵器は内部から崩壊するようにしてガラガラと崩れ落ち、ただの瓦礫の山になった。
「あれ?脆かったな」
「「「「…………」」」」
仲間たちの沈黙が、もはや心地よくなってきた。
旅の途中、俺は仲間たちの覚悟を改めて目の当たりにすることになる。
リリアは、俺の無茶な魔法を目の当たりにするうちに、既存の魔法体系にとらわれない、独自の詠唱術を編み出していた。彼女の魔法は、もはや王立魔術院のそれとは比べ物にならないほど強力で、多彩になっていた。
ガレスは、俺という絶対的な存在を前に、「守る」という一点において己の剣技を極限まで高めていた。彼の振るう大剣は、もはやただの武器ではなく、仲間を守るための絶対的な壁となっていた。
セレーナさんは、その卓越した指揮能力と知識で、俺たちの進軍ルートを確保し、補給線を維持してくれていた。彼女がいなければ、この旅はもっと困難なものになっていただろう。
そしてアイリス王女は、王族としての権威を最大限に使い、各地の領主や王族と交渉し、俺たちが魔王討伐に集中できる環境を整えてくれていた。
みんな、俺のために、世界のために、自分の役割を果たそうと必死だった。
その姿を見て、俺は初めて思った。
(俺も、ちゃんとやらないとな)
魔王がどれだけ強いのかは分からない。でも、この仲間たちをがっかりさせるわけにはいかない。
「みんな、いつもありがとうな」
俺がふとそう言うと、四人は驚いたように顔を上げた後、嬉しそうに微笑んだ。
「当たり前です、ユウキさん」
「ユウキ殿のためならば」
「当然のことですわ」
「そなたは、私が見込んだ男なのだから」
みんなの信頼が、少しだけ重くて、でもすごく温かい。
俺は、自分の力のことは相変わらずよく分からないままだったけど、この仲間たちとなら、どこへでも行ける。そんな気がした。
そうして俺たちは、ついに魔王が待つ、終焉の地へとたどり着いたのだった。
「ユウキ様、このセレーナ、命に代えても貴方様をお守りします」
「私もだ、ユウキ。そなたは、この国の……いや、世界の宝なのだから」
セレーナさんとアイリスさんは、なんだかすごい覚悟を決めている。リリアとガレスも、いつも以上に引き締まった表情だ。
「みんな、そんなに気負わなくても。ピクニックに行くくらいの気持ちでいこうよ」
俺の呑気な一言に、全員が盛大なため息をついた。この温度差は、もう埋まりそうにない。
魔王城は、大陸の最北端、万年雪に覆われた「終焉の地」にあるという。俺たちは王都の人々の盛大な見送りを受け、旅を開始した。
道中、各地で魔王の復活に呼応した魔王軍の幹部たちが、俺たちの前に立ちはだかった。
最初に現れたのは、「疾風の四天王」を名乗る、四人組の魔族だ。
「我らは魔王様が最初の刺客!勇者よ、ここで果てるがいい!」
彼らは風のように素早く、連携も完璧だった。
「ユウキさん、囲まれました!どうします!?」
リリアが叫ぶ。
「うーん、四人もいると面倒だな。一箇所に集まってくれないかな」
俺がそう呟いた瞬間、なぜか四天王の足がもつれ、面白いように転がり、全員が一箇所に団子状態になった。
「な、なぜだ!?体が勝手に……!」
「よし、チャンス」
俺は団子になった彼らに向かって、デコピンをした。
ズドォォォン!という衝撃波と共に、四天王は仲良く空の彼方へ飛んでいった。
「……終わった、かな?」
俺が首を傾げると、仲間たちは「またか……」という顔で天を仰いでいた。
次に現れたのは、「不動の巨人」と呼ばれる、山のように巨大なゴーレムだった。
『ワレハ、ココヲ、トオサナイ』
「ユウキ殿、あれは古代兵器だ!通常の攻撃は一切通用しないぞ!」
ガレスが警告する。
「へえ、硬いんだ。じゃあ、ちょっと押してみようか」
俺は巨大なゴーレMに近づき、その腹を、人差し指でツン、とつついてみた。
次の瞬間、古代兵器は内部から崩壊するようにしてガラガラと崩れ落ち、ただの瓦礫の山になった。
「あれ?脆かったな」
「「「「…………」」」」
仲間たちの沈黙が、もはや心地よくなってきた。
旅の途中、俺は仲間たちの覚悟を改めて目の当たりにすることになる。
リリアは、俺の無茶な魔法を目の当たりにするうちに、既存の魔法体系にとらわれない、独自の詠唱術を編み出していた。彼女の魔法は、もはや王立魔術院のそれとは比べ物にならないほど強力で、多彩になっていた。
ガレスは、俺という絶対的な存在を前に、「守る」という一点において己の剣技を極限まで高めていた。彼の振るう大剣は、もはやただの武器ではなく、仲間を守るための絶対的な壁となっていた。
セレーナさんは、その卓越した指揮能力と知識で、俺たちの進軍ルートを確保し、補給線を維持してくれていた。彼女がいなければ、この旅はもっと困難なものになっていただろう。
そしてアイリス王女は、王族としての権威を最大限に使い、各地の領主や王族と交渉し、俺たちが魔王討伐に集中できる環境を整えてくれていた。
みんな、俺のために、世界のために、自分の役割を果たそうと必死だった。
その姿を見て、俺は初めて思った。
(俺も、ちゃんとやらないとな)
魔王がどれだけ強いのかは分からない。でも、この仲間たちをがっかりさせるわけにはいかない。
「みんな、いつもありがとうな」
俺がふとそう言うと、四人は驚いたように顔を上げた後、嬉しそうに微笑んだ。
「当たり前です、ユウキさん」
「ユウキ殿のためならば」
「当然のことですわ」
「そなたは、私が見込んだ男なのだから」
みんなの信頼が、少しだけ重くて、でもすごく温かい。
俺は、自分の力のことは相変わらずよく分からないままだったけど、この仲間たちとなら、どこへでも行ける。そんな気がした。
そうして俺たちは、ついに魔王が待つ、終焉の地へとたどり着いたのだった。
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