136 / 327
レーディング15(R15)・表現深化バージョン~刺激的な表現を含みます
第18話 末路② ~声なき襲撃者~
しおりを挟む「そういう、コトね。私たちは、その辺りを駆け下りてきたから、知らずに罠を回避できていたんだわ」
戦士が、そう話をまとめた。
いくつもの階層を初見で踏破して、駆け下りてきた自分たちを思い起こす。
『ダンジョン』の観察を入念に行ったとはとても言い難い。
気付かないうちに見過ごしたギミックが他にもありそうだ。
そこで思い起こす。
他の階層ボスは?
『なにもいない』ボス部屋はあといくつあった?
57、59、61。
計算上は、あと三つあるはず。
そう考えたとき、理由はわからないが全員同時に姿勢を変えた。
本能だっただろうか?
鍛えられた『探索者』の聴覚が何かを聞き取った?
勘?
ともかく、一点に6対の視線が向けられた。
黒い地面が広がっている。
焦げている?
違う。
炎の魔術は別の場所。
しかも、まだ燃えている。
「な、なに、あれ?」
黒い地面から目を逸らせないまま、誰かが呟いた。
声が掠れて震えも帯びている。
疑問符をつけてはみたものの、すでに答えは知っていた。
認める勇気が出なかっただけだ。
黒い地面は、揺れていた。
それは、風でも、魔力でもない。
無数の脚が、同時に動いていた。
一匹一匹は、ただのG。
だが、集まれば──それは『意思を持った黒い波』だった。
そして、『カサッ』という小さな音とともに移動を開始した。
カサ……カサカサ……サワ……サワサワ……。
乾いた音が、地面を這う。
壁を這う。
空気を這う。
ザワリ。
6人の周囲で、空気が泡立つ。
パチ……パチパチ……。
何かがぶつかっている音。
何かが跳ねている音。
何かが、『こちらへ向かっている』音。
Gだった。
一匹いてもパニックは避けきれないGがいる。
黒いじゅうたんを形作るほど大量に!
カサカサカサカサカサカサカサカサ……!
波となって迫ってくる。
その音は、足音ではなかった。
『脚音』だった。
「う、うわぅぁぁぁぁぁぁ!!」
悲鳴を上げつつも戦士職の条件反射。
前に出て剣を抜いた戦士。
一歩踏み出す直前、戦士は小さく息を吸い込んだ。
その音が、最後の覚悟のように響いた。
その姿が、一瞬で黒いモノの集団に吞み込まれる。
「ひっひぃいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
服の中に入ったのだろう。
布の内側から、何かが這う音がした。
シャリ……シャリ……サワ……サワ……。
それは、布と肌の間を滑る音。
無数の脚が、同時に動く音。
喉も裂けよとばかりに叫び続ける戦士の服が、不自然に膨らみ、波打った。
まるで、中に別の生き物が棲みついているかのように。
「やめてっ、やめてやめてやめてやめてやめてぇぇぇぇぇぇぇ!!」
叫びは、懇願だった。
だが、誰にも止められなかった。
服の隙間から、黒い影が一匹、二匹と這い出してくる。
口の端から、耳の穴から、指の隙間から。
それでも、戦士の体は動いていた。
痙攣のように、跳ね、震え、のたうつ。
それは、『自分の皮膚の下で何かが動いている』という感覚に、 脳が耐えきれなくなった証だった。
「に、逃げるぞ!」
正視に堪えない現実。
剣士が声を上げた。
誰も異議は唱えなかった。
剣士を先頭にダンジョン通路へと逃げ込む。
戦士は・・・捨て置かれた。
誰も、振り返らなかった。
振り返れなかった。
だが──
0
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる