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6章 女装して辺境伯領を堕とした(10歳)
110話 女子特有の野外連れション
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ああ。
僕は男としてのプライドを喪っている。
だって、
――しゃあああっ。
背の高さほどある草むら、そこを「使う」ために切り取ってできた、人が1人しゃがめるスペース。
そこへ――10センチくらいに生えそろった草むらへ、しゃがみ込んだ僕の股から液体がほとばしる。
10歳相応の、まだ別の機能が存在しない、小さな物体から。
もう慣れたけども、改めて見ると小さすぎるそれを、ぼんやり見つめる。
――男だから普通に立って木にでもすれば良いじゃないかって?
うん、そうだね。
1人だったらそうしていたね。
でもここは、
「こちらに良い葉っぱを持って来ましたわ!」
「でかしましたわ!」
「デリケートゾーンを拭く葉の選定は大切ですの! ……小さいころ何度、野宿先やダンジョンでかぶれたりしたことか……」
「治癒魔法でもじくじくとした感覚はしばらく残るのですわ……」
「痒いのはイヤなのですわ……」
「かといって痒いときに掻いたらダメとユリア様の言いつけなのですわ……ね?」
「は、はい……不浄の場所はダメって、ぼく、何回も……」
――周囲にはパーティーメンバーたちのくぐもった声。
うん。
女の子ってね、連れション好きだからね……だからみんなと一緒のタイミングですることになるわけで、普通にモンスターの奇襲とか、ぐへへな冒険者たちの奇襲とかも警戒する都合で、まとまってするのは必要な常識なわけで。
ちなみに他の人たちへそれとなく聞いたところ――もちろん酒場で適当な男の冒険者相手に――なお聞くとみんな顔を真っ赤にするかしどろもどろになるか発情するかだから嫌だったけども――男もそれは同じらしい。
自然界でも排泄と繁殖は最も無力な時間とされていて、確か犬とか猫とかでもそういう時間を必要最小限にしていたはず。
つまり僕たちはこうして小動物のごとくに固まって1か所で用を足し、そのあいだは交代要員の人が外を見張るってルーチンワークをしているわけだ。
「………………………………」
……男だから当然股には排泄に便利な物体が存在するわけで、だからしゃがまずとも足元も汚れない。
でも、もうすっかり慣れちゃったんだよなぁ……あれだ、覚えてない前世で、家では便座を上げないでするってのと同じ感じに。
「ふぅ……」
まぁ確かに、こうして座ってする方が落ち着くし音もしにくく、ズボンを穿いていない太ももとかすねとか靴に引っかかる事故もゼロになる。
――この場で僕の性別を知っているのはルーシーちゃん(事故で見せつけちゃった)とリラちゃん(お風呂に乱入してきて見られたし身内枠だし契約魔法で口外しない約束してる)にテオくん(癒やしを求めて彼のお風呂に乱入したら気絶された)だけ。
今の僕が「ジュリオンの双子の姉で公式には存在しないけどどう見たってセレスティーヌ母さんそっくりだから1発で分かるユリア様」っていう扱いな以上、3姉妹とマルテルさんに見られるわけには行かない。
だけど彼女たちはみんな貴族のご令嬢――トイレとお風呂は別が良いって最初に伝えてからというもの、今彼女たちがしてるように3人揃って並んでの連れションとか、あるいはタオルで拭ったりお風呂にとかも時間をずらすか場所をずらすってのに特に追及はない。
……まぁ「ユリア様」ってのが厄ネタがありそうな雰囲気って理解してくれてるから、大半のことは一度言えばそっとしておいてくれるんだけどね。
「すっきりしましたわ!」
「見張りご苦労様ですわ!」
けども……連れション、町の宿屋に泊まるときでさえ、この子たち、いつもしてるんだけど……?
女の子ってどうしてみんな一緒にするのが好きなの……?
分からない……女装して女の子な生活してても、ぜんっぜん分からない……。
◇
「おーい! あの森の奥にダンジョンの入り口あるっぽいぞー!」
「ということですユリア様!」
「ありがとうございます。では、入り口で休憩後に探索ということで」
「ええ、分かったわ」
片道3日。
多少レベルが上がったとはいえフィールドで遭遇するモンスターを警戒しながらの道なわけで、さらに言えばテオくん以外は歩幅も大人の半分近い子供ときている、かなりの道のりだったけども……ようやくだ。
「道中、ゴブリンやオークが多かったわね……やはり」
「そうですね。緊急依頼にあったとおり、こちらが」
険しい顔を――そして汚らわしいものに対する怒りを込めた目を森へと向けているマルテルさん。
――緊急依頼。
周辺の町や村で大規模なゴブリンの集団が確認され、さらにはオークの軍勢が村を奇襲しかけたとか。
たまたま来ていた冒険者たちに討伐されたらしいけども、それだけ人里に来ていることからゴブリンやオークの溢れるダンジョンがこのへんにあるんじゃないかって話から、僕たちへ依頼が舞い込んだ形。
……別に僕たちじゃなくてもできるけども、僕はなるべく遠征依頼って形で屋敷と町を離れたいんだ。
◆◆◆
ハルちゃんの小説、発売中です!
(TSっ子ハルちゃん)、女装っ子ユズくん、女装悪役令嬢ジュリオンくんの3作同時投稿中です。
ついでにイラストや動画も週にいくつか上げています。
ぜひ見に来てください。
僕は男としてのプライドを喪っている。
だって、
――しゃあああっ。
背の高さほどある草むら、そこを「使う」ために切り取ってできた、人が1人しゃがめるスペース。
そこへ――10センチくらいに生えそろった草むらへ、しゃがみ込んだ僕の股から液体がほとばしる。
10歳相応の、まだ別の機能が存在しない、小さな物体から。
もう慣れたけども、改めて見ると小さすぎるそれを、ぼんやり見つめる。
――男だから普通に立って木にでもすれば良いじゃないかって?
うん、そうだね。
1人だったらそうしていたね。
でもここは、
「こちらに良い葉っぱを持って来ましたわ!」
「でかしましたわ!」
「デリケートゾーンを拭く葉の選定は大切ですの! ……小さいころ何度、野宿先やダンジョンでかぶれたりしたことか……」
「治癒魔法でもじくじくとした感覚はしばらく残るのですわ……」
「痒いのはイヤなのですわ……」
「かといって痒いときに掻いたらダメとユリア様の言いつけなのですわ……ね?」
「は、はい……不浄の場所はダメって、ぼく、何回も……」
――周囲にはパーティーメンバーたちのくぐもった声。
うん。
女の子ってね、連れション好きだからね……だからみんなと一緒のタイミングですることになるわけで、普通にモンスターの奇襲とか、ぐへへな冒険者たちの奇襲とかも警戒する都合で、まとまってするのは必要な常識なわけで。
ちなみに他の人たちへそれとなく聞いたところ――もちろん酒場で適当な男の冒険者相手に――なお聞くとみんな顔を真っ赤にするかしどろもどろになるか発情するかだから嫌だったけども――男もそれは同じらしい。
自然界でも排泄と繁殖は最も無力な時間とされていて、確か犬とか猫とかでもそういう時間を必要最小限にしていたはず。
つまり僕たちはこうして小動物のごとくに固まって1か所で用を足し、そのあいだは交代要員の人が外を見張るってルーチンワークをしているわけだ。
「………………………………」
……男だから当然股には排泄に便利な物体が存在するわけで、だからしゃがまずとも足元も汚れない。
でも、もうすっかり慣れちゃったんだよなぁ……あれだ、覚えてない前世で、家では便座を上げないでするってのと同じ感じに。
「ふぅ……」
まぁ確かに、こうして座ってする方が落ち着くし音もしにくく、ズボンを穿いていない太ももとかすねとか靴に引っかかる事故もゼロになる。
――この場で僕の性別を知っているのはルーシーちゃん(事故で見せつけちゃった)とリラちゃん(お風呂に乱入してきて見られたし身内枠だし契約魔法で口外しない約束してる)にテオくん(癒やしを求めて彼のお風呂に乱入したら気絶された)だけ。
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だけど彼女たちはみんな貴族のご令嬢――トイレとお風呂は別が良いって最初に伝えてからというもの、今彼女たちがしてるように3人揃って並んでの連れションとか、あるいはタオルで拭ったりお風呂にとかも時間をずらすか場所をずらすってのに特に追及はない。
……まぁ「ユリア様」ってのが厄ネタがありそうな雰囲気って理解してくれてるから、大半のことは一度言えばそっとしておいてくれるんだけどね。
「すっきりしましたわ!」
「見張りご苦労様ですわ!」
けども……連れション、町の宿屋に泊まるときでさえ、この子たち、いつもしてるんだけど……?
女の子ってどうしてみんな一緒にするのが好きなの……?
分からない……女装して女の子な生活してても、ぜんっぜん分からない……。
◇
「おーい! あの森の奥にダンジョンの入り口あるっぽいぞー!」
「ということですユリア様!」
「ありがとうございます。では、入り口で休憩後に探索ということで」
「ええ、分かったわ」
片道3日。
多少レベルが上がったとはいえフィールドで遭遇するモンスターを警戒しながらの道なわけで、さらに言えばテオくん以外は歩幅も大人の半分近い子供ときている、かなりの道のりだったけども……ようやくだ。
「道中、ゴブリンやオークが多かったわね……やはり」
「そうですね。緊急依頼にあったとおり、こちらが」
険しい顔を――そして汚らわしいものに対する怒りを込めた目を森へと向けているマルテルさん。
――緊急依頼。
周辺の町や村で大規模なゴブリンの集団が確認され、さらにはオークの軍勢が村を奇襲しかけたとか。
たまたま来ていた冒険者たちに討伐されたらしいけども、それだけ人里に来ていることからゴブリンやオークの溢れるダンジョンがこのへんにあるんじゃないかって話から、僕たちへ依頼が舞い込んだ形。
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