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6章 女装して辺境伯領を堕とした(10歳)
112話 かわいそうなテオくん
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「――キモいキモいキモい! こいつらやっぱキモい! ぞわってする! ……兄ちゃん頼んだ!」
「えっ」
とんっ。
持ち前のすばしっこさでヒットアンドアウェーを繰り返していたリラちゃんが――隙を見て飛び込んできたゴブリンを交わすため、こともあろうか自分の兄を身代わりに。
あーあ……まぁ気持ちは分かる。
でも自分のお兄ちゃんを差し出すとは……リラちゃん、意外と薄情なんだね。
「オス……ショタ……イイ!」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」
テオくんは絶叫しながら反撃してナイフを突き刺して倒す――も、錯乱している。
「いーやーぁぁぁぁぁですのぉぉぉぉ!!」
「液体!? 何か臭い何かをかけられましたわぁぁぁもうヤですのぉぉ!!」
「お、落ち着いて……きゃあああこないでぇぇぇ!?」
「ルーシー様も早く逃げるんですのぉぉぉぉ!! なんかぬめぬめしてますのぉぉぉ!!!」
3人娘もとい4人娘は完全に逃げることしか頭になくなっている。
パーティーは完全に崩壊していて、みんなしっちゃかめっちゃかに走り回っている。
……うん……。
「今回の依頼、女子メインの私たちで受けたのは失敗だったでしょうか……」
みんなごめんなさい、僕のわがままでこんな思いさせて……。
「いえ、こういうときは男の方が錯乱すると聞くわ。ほら、あそこの彼みたいに……常日頃から『そういう危険』をぼんやりとでも感じて覚悟している私たち女と『そんなことはあるはずがない』と――どちらかというとする立場な男子や男性だもの。男メインのパーティーだったとしても、そう変わらないわよ」
「マルテル様……!」
やっぱりこの子は女神だ……!
――しゃりんっ。
「グゲー!?」
ひとりだけ実に冷静にゴブリンを袈裟切りにするマルテルさんが輝いている。
……パーティーリーダー、替わってくれないかなぁ。
「ユリア、あなたもそうでしょうけど――貴族令嬢たるもの、暴漢に襲われ不利を悟ったとき用の毒薬に仕込み刀、自爆魔法は常に身に纏っているから今さらだもの、私たちは」
「そ、そうですね……」
ああ、こういうときに本物の高位貴族のご令嬢が出てくるのか……すごいな、この子。
いろいろと覚悟が決まっているもん、僕とは違って。
「それより良いの?」
「え?」
マルテルさんが指差した先は――テオくんが数匹にお持ち帰りされそうになっている!
数匹に胴上げされて……ズボンからおしりが覗いている!
「あれのこと」
「オス……ヨメニスル……オンナニスル……」
「バカ、オスノママダ」
「ナンダト……?」
「ハンブンズツ……ウム」
そして低いながらも繁殖に関する知性だけのある獣が、テオくんをどうするか相談している。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」
「兄ちゃーん!!」
うん、そりゃあ発狂もするよね……男として同情するよ。
テオくんと目が合う。
悲しい思いをした男子の目をしている。
「……あ、でも兄ちゃんなら大丈夫だろ。がんば。兄ちゃんの分もあたいが姉御のこと支えるから」
「リラああああ!?」
そしてリラちゃんはすっごく薄情だった。
「……良くありませんから助けて参ります!」
僕は――この場で唯一の同性であり友人たり得る彼を助けるため、全力の魔力で飛翔。
……男のおしりは大切だから!
待っていてくれテオくん!
男の尊厳を僕が守ってみせるから!
男の友達として!
特に最近、僕を見る目がちょっとおかしいけどまだ立ち直れるはずの友人として!
……立ち直れるよね?
あ、でも、君の部屋にあった、町でこっそり買ったらしいイラスト付きの本……男が女の子の格好した、この世界基準では教会から激怒される系のものだったけど……まだ戻れるはずだ!
「――あの、彼を付け狙っていた個体。あれは、彼とユリアにしか目が行っていなかった。……やはり――……」
◇
――ひゅぱっ。
僕のムチがしなり、ゴブリンの下半身を下から打ち上げる。
ゴブリン――人間を模した子供のようなモンスター。
人間よりも全身が筋肉質なそのボディーの中で、ゴブリンだからこそ際立つ柔らかい部分を、厚さ1ミリに圧縮する。
「グギィィィィー……」
――ひゅんっ。
返すムチが隣に居た個体の脚へ巻きついていき――先端がトドメを刺す。
同じく筋肉で守られていない部位を、ムチの先端が破裂させる。
「ゲギャアアアア!?」
「うっ……」
「? 兄ちゃん、どうした? あ、消えてく」
モンスターたちには急所――クリティカルなダメージを出す箇所がある。
それはモンスターによってばらばらで――こればかりはソシャゲーとしてさくさく遊べる仕様のゲームにはなかった要素。
けども、それを知っているかどうかと命中させられるかどうかで、ダンジョンの攻略は段違いに速くなる。
この世界では「コア」と呼ばれているらしいそれは、モンスターごとに場所も数も違う。
――そしてゴブリンやオークなど、女は当然として男としても天敵で仇敵な存在のそれは、
「えぐいですの」
「えぐいですわ」
「あの、あの場所って……その、男の人の……」
「ええ。そうですわ、生殖能力があるモンスターですもの――あの忌々しい腰みのの中が弱点ですわ!」
人間と同じく、とてもとても弱かった。
そういやこの世界でも、男の鎧はちゃんと股間を守るように防御されてるもんね。
そうでもしないと不意打ちや事故で瀕死になりかねないほど、男って生き物はよわよわなんだから。
うん……去年あたりにお風呂場に突撃してきたエミリーちゃんがすっ転んで、僕のそれが思いっ切り頭突きされた記憶からも、間違いはない。
「えっ」
とんっ。
持ち前のすばしっこさでヒットアンドアウェーを繰り返していたリラちゃんが――隙を見て飛び込んできたゴブリンを交わすため、こともあろうか自分の兄を身代わりに。
あーあ……まぁ気持ちは分かる。
でも自分のお兄ちゃんを差し出すとは……リラちゃん、意外と薄情なんだね。
「オス……ショタ……イイ!」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」
テオくんは絶叫しながら反撃してナイフを突き刺して倒す――も、錯乱している。
「いーやーぁぁぁぁぁですのぉぉぉぉ!!」
「液体!? 何か臭い何かをかけられましたわぁぁぁもうヤですのぉぉ!!」
「お、落ち着いて……きゃあああこないでぇぇぇ!?」
「ルーシー様も早く逃げるんですのぉぉぉぉ!! なんかぬめぬめしてますのぉぉぉ!!!」
3人娘もとい4人娘は完全に逃げることしか頭になくなっている。
パーティーは完全に崩壊していて、みんなしっちゃかめっちゃかに走り回っている。
……うん……。
「今回の依頼、女子メインの私たちで受けたのは失敗だったでしょうか……」
みんなごめんなさい、僕のわがままでこんな思いさせて……。
「いえ、こういうときは男の方が錯乱すると聞くわ。ほら、あそこの彼みたいに……常日頃から『そういう危険』をぼんやりとでも感じて覚悟している私たち女と『そんなことはあるはずがない』と――どちらかというとする立場な男子や男性だもの。男メインのパーティーだったとしても、そう変わらないわよ」
「マルテル様……!」
やっぱりこの子は女神だ……!
――しゃりんっ。
「グゲー!?」
ひとりだけ実に冷静にゴブリンを袈裟切りにするマルテルさんが輝いている。
……パーティーリーダー、替わってくれないかなぁ。
「ユリア、あなたもそうでしょうけど――貴族令嬢たるもの、暴漢に襲われ不利を悟ったとき用の毒薬に仕込み刀、自爆魔法は常に身に纏っているから今さらだもの、私たちは」
「そ、そうですね……」
ああ、こういうときに本物の高位貴族のご令嬢が出てくるのか……すごいな、この子。
いろいろと覚悟が決まっているもん、僕とは違って。
「それより良いの?」
「え?」
マルテルさんが指差した先は――テオくんが数匹にお持ち帰りされそうになっている!
数匹に胴上げされて……ズボンからおしりが覗いている!
「あれのこと」
「オス……ヨメニスル……オンナニスル……」
「バカ、オスノママダ」
「ナンダト……?」
「ハンブンズツ……ウム」
そして低いながらも繁殖に関する知性だけのある獣が、テオくんをどうするか相談している。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」
「兄ちゃーん!!」
うん、そりゃあ発狂もするよね……男として同情するよ。
テオくんと目が合う。
悲しい思いをした男子の目をしている。
「……あ、でも兄ちゃんなら大丈夫だろ。がんば。兄ちゃんの分もあたいが姉御のこと支えるから」
「リラああああ!?」
そしてリラちゃんはすっごく薄情だった。
「……良くありませんから助けて参ります!」
僕は――この場で唯一の同性であり友人たり得る彼を助けるため、全力の魔力で飛翔。
……男のおしりは大切だから!
待っていてくれテオくん!
男の尊厳を僕が守ってみせるから!
男の友達として!
特に最近、僕を見る目がちょっとおかしいけどまだ立ち直れるはずの友人として!
……立ち直れるよね?
あ、でも、君の部屋にあった、町でこっそり買ったらしいイラスト付きの本……男が女の子の格好した、この世界基準では教会から激怒される系のものだったけど……まだ戻れるはずだ!
「――あの、彼を付け狙っていた個体。あれは、彼とユリアにしか目が行っていなかった。……やはり――……」
◇
――ひゅぱっ。
僕のムチがしなり、ゴブリンの下半身を下から打ち上げる。
ゴブリン――人間を模した子供のようなモンスター。
人間よりも全身が筋肉質なそのボディーの中で、ゴブリンだからこそ際立つ柔らかい部分を、厚さ1ミリに圧縮する。
「グギィィィィー……」
――ひゅんっ。
返すムチが隣に居た個体の脚へ巻きついていき――先端がトドメを刺す。
同じく筋肉で守られていない部位を、ムチの先端が破裂させる。
「ゲギャアアアア!?」
「うっ……」
「? 兄ちゃん、どうした? あ、消えてく」
モンスターたちには急所――クリティカルなダメージを出す箇所がある。
それはモンスターによってばらばらで――こればかりはソシャゲーとしてさくさく遊べる仕様のゲームにはなかった要素。
けども、それを知っているかどうかと命中させられるかどうかで、ダンジョンの攻略は段違いに速くなる。
この世界では「コア」と呼ばれているらしいそれは、モンスターごとに場所も数も違う。
――そしてゴブリンやオークなど、女は当然として男としても天敵で仇敵な存在のそれは、
「えぐいですの」
「えぐいですわ」
「あの、あの場所って……その、男の人の……」
「ええ。そうですわ、生殖能力があるモンスターですもの――あの忌々しい腰みのの中が弱点ですわ!」
人間と同じく、とてもとても弱かった。
そういやこの世界でも、男の鎧はちゃんと股間を守るように防御されてるもんね。
そうでもしないと不意打ちや事故で瀕死になりかねないほど、男って生き物はよわよわなんだから。
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