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6章 女装して辺境伯領を堕とした(10歳)
113話 潰して回った 急所を
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「よわよわですわ!」
「ふにゃふにゃですの!」
「女よりよわっちいですわ!」
「殿方に襲われたときの護身として教わりました……けれど、ユリア様……! 何という気迫なのでしょう……!」
テオくんという唯一無二の同性で同世代で、事情を知る男友達。
ただし彼は僕のせいで女装男子でも受け入れてしまっているため、この世界では本来禁止されているはずの同性愛――男へ初恋が奪われてしまっているのが目下の課題だ。
けれども、そんなのはどうでも良い。
彼は、僕の友達だ。
その友達が、怯えている。
ついさっきにゴブリンたちにお持ち帰りされそうになりながら僕を見てきた、あの悲しい目を見たのを思い出すたび――僕の中の何かが怒りを沸騰させてくる。
――ぐしゃっ。
「ギィィィィィ――!?」
ムチから伝わってくる、柔らかい何かが潰された感触。
「――女の敵」
ひゅぱっ。
ムチから伝わってくる、柔らかい何かがひしゃげた感触。
「――男の敵」
ぐしゃっ。
ムチから伝わってくる、柔らかい何かが爆発四散した感触。
「――人類の敵」
めきょっ。
ムチから伝わってくる、柔らかい何かがちぎれた感触。
「――消えなさい」
「……ユリア様は、淑女の中の淑女ですわ……!」
「けだものへの怒り……全女子の代弁者……!」
「溜飲が下がりますわ!」
「はわわ……ユリアさまぁ……!」
◇
「……ふぅ」
周囲には、ことごとくに股間から血液ではない何かしらの液体と血液や臓器をまき散らして倒れたゴブリンたち。
そして彼らはさんざんもがき苦しんだあと、魔石へと変換されていく。
「相応の報いです。……テオ、大丈夫ですか?」
「ユ゛リ゛ア゛様゛ぁ゛……!」
鼻水まで垂らした彼が飛びついてこようとして、
「兄ちゃん……ごめん」
「えっ」
とんっ……ずしゃあーっ。
「姉御の服を兄ちゃんの汚いのまみれにするわけにはいかねぇんだ」
彼は、妹に地面にはたき落とされた。
「……リラ?」
何か今日の君、やけに兄への当たりが強いっていうか、殺意があるような……?
「兄ちゃん、ベッドの下。発禁。ユリア様そっくりの人の」
「……ああ……」
ああ、どうやら彼は秘蔵の本を知られたらしい。
しかも、巷でも選りすぐりの――こともあろうか領主の娘&女装というジャンルの、うちの領じゃなきゃ即刻縛り首な創作者による1品を。
かわいそうに。
「――ギャッギャッ!」
「メス! オス! コドモ!」
――ずしん、ずしん。
テオくんへの哀れみが最高潮となったそのとき、地面を揺らしながら走ってくる音が響き始めた。
「……! オークですの!」
「しまったのですの! 騒ぎすぎたのですの!」
「ユリア様! さすがにお一人では――」
――かちん。
この感覚は、ときどき出てくる。
あるときはエミリーちゃんに迫られて困っているときに。
あるときは豚さんが飛びかかってきたときに。
あるときは大胆にも町中で男に求愛されたときに。
――また、あるときは――ぽんこつサキュバスから3人娘を助けたときに。
「――私の大切な子たちを手籠めにしようなど、お前らごとき醜悪なモンスターが企てるとは……!」
そういう状態の時は口が勝手に動くし、体も勝手に動く。
でも毎回言ってることはよく分からないことが多いし、結果的に丸く収めてくれるから身を任せている。
――ただ、そのときの記憶が薄くなるのが欠点なんだよなぁ。
あれかな、心停止してるはずのジュリオン様、その潔癖な部分が表にでも出てきてるのかな。
そんなことを考えながら体の制御権を渡す。
――良い子ね。
……けど、すごく心配なのは……女装が長すぎて「ユリア様」として当たり前のように「貴族令嬢」として話す時間が長かったせいか、どうも脳内の口調すらたまに変になるってこと。
メス堕ち……しないよね?
ね?
これはメス堕ちにカウントされないよね……?
ねぇ……?
◇
「うぐっ……ぐぅっ……!」
「? どうしたんだってば、兄ちゃん。漏らしそうなのか?」
僕は内なるメス堕ち疑惑ジュリオン様な声に任せ、向かってくる――そして悲しいかな、繁殖欲を向けられてしまうのが分かってしまうからこそ嫌悪感からしなるムチで。
大挙してくる薄い本用のモンスターたちを――ひたすら急所への一撃でクリティカルしか出さずに数階層まで降りてきていた。
「ユリア様……!」
「お美しいですわ……!」
「女性のために、あそこまでお怒りになって……!」
「ユリアさまはすごいんですっ」
なぜかテオくんがずっとお股を抑えているし、実は僕もちょっぴり幻肢痛を――ムチの先の感触でぷちぷちっと潰すたびに感じてた記憶があるけども、ともかくこれで大半の戦力を失わせたはずだ。
「……ユリアって、本当は1人でなんでもできるのよね」
「マルテル様」
多少の疲労を見抜かれているのか、僕の半歩前に出て周囲を警戒してくれている彼女が、ぽつりと呟く。
この子はいつだってそうだ。
話したいときはちょっとだけ、ぽつぽつと話しておしまい。
でも、誰かが疲れたり怖い思いをしたりすると、そっと寄り添う優しさを持っている。
やはり、女神……!
他の人からは謎の崇拝を集めてしまっている僕だからこそ、こんな僕へ普通に――けれども心配してくれる子こそ、僕にとってのそれなんだ。
「ふにゃふにゃですの!」
「女よりよわっちいですわ!」
「殿方に襲われたときの護身として教わりました……けれど、ユリア様……! 何という気迫なのでしょう……!」
テオくんという唯一無二の同性で同世代で、事情を知る男友達。
ただし彼は僕のせいで女装男子でも受け入れてしまっているため、この世界では本来禁止されているはずの同性愛――男へ初恋が奪われてしまっているのが目下の課題だ。
けれども、そんなのはどうでも良い。
彼は、僕の友達だ。
その友達が、怯えている。
ついさっきにゴブリンたちにお持ち帰りされそうになりながら僕を見てきた、あの悲しい目を見たのを思い出すたび――僕の中の何かが怒りを沸騰させてくる。
――ぐしゃっ。
「ギィィィィィ――!?」
ムチから伝わってくる、柔らかい何かが潰された感触。
「――女の敵」
ひゅぱっ。
ムチから伝わってくる、柔らかい何かがひしゃげた感触。
「――男の敵」
ぐしゃっ。
ムチから伝わってくる、柔らかい何かが爆発四散した感触。
「――人類の敵」
めきょっ。
ムチから伝わってくる、柔らかい何かがちぎれた感触。
「――消えなさい」
「……ユリア様は、淑女の中の淑女ですわ……!」
「けだものへの怒り……全女子の代弁者……!」
「溜飲が下がりますわ!」
「はわわ……ユリアさまぁ……!」
◇
「……ふぅ」
周囲には、ことごとくに股間から血液ではない何かしらの液体と血液や臓器をまき散らして倒れたゴブリンたち。
そして彼らはさんざんもがき苦しんだあと、魔石へと変換されていく。
「相応の報いです。……テオ、大丈夫ですか?」
「ユ゛リ゛ア゛様゛ぁ゛……!」
鼻水まで垂らした彼が飛びついてこようとして、
「兄ちゃん……ごめん」
「えっ」
とんっ……ずしゃあーっ。
「姉御の服を兄ちゃんの汚いのまみれにするわけにはいかねぇんだ」
彼は、妹に地面にはたき落とされた。
「……リラ?」
何か今日の君、やけに兄への当たりが強いっていうか、殺意があるような……?
「兄ちゃん、ベッドの下。発禁。ユリア様そっくりの人の」
「……ああ……」
ああ、どうやら彼は秘蔵の本を知られたらしい。
しかも、巷でも選りすぐりの――こともあろうか領主の娘&女装というジャンルの、うちの領じゃなきゃ即刻縛り首な創作者による1品を。
かわいそうに。
「――ギャッギャッ!」
「メス! オス! コドモ!」
――ずしん、ずしん。
テオくんへの哀れみが最高潮となったそのとき、地面を揺らしながら走ってくる音が響き始めた。
「……! オークですの!」
「しまったのですの! 騒ぎすぎたのですの!」
「ユリア様! さすがにお一人では――」
――かちん。
この感覚は、ときどき出てくる。
あるときはエミリーちゃんに迫られて困っているときに。
あるときは豚さんが飛びかかってきたときに。
あるときは大胆にも町中で男に求愛されたときに。
――また、あるときは――ぽんこつサキュバスから3人娘を助けたときに。
「――私の大切な子たちを手籠めにしようなど、お前らごとき醜悪なモンスターが企てるとは……!」
そういう状態の時は口が勝手に動くし、体も勝手に動く。
でも毎回言ってることはよく分からないことが多いし、結果的に丸く収めてくれるから身を任せている。
――ただ、そのときの記憶が薄くなるのが欠点なんだよなぁ。
あれかな、心停止してるはずのジュリオン様、その潔癖な部分が表にでも出てきてるのかな。
そんなことを考えながら体の制御権を渡す。
――良い子ね。
……けど、すごく心配なのは……女装が長すぎて「ユリア様」として当たり前のように「貴族令嬢」として話す時間が長かったせいか、どうも脳内の口調すらたまに変になるってこと。
メス堕ち……しないよね?
ね?
これはメス堕ちにカウントされないよね……?
ねぇ……?
◇
「うぐっ……ぐぅっ……!」
「? どうしたんだってば、兄ちゃん。漏らしそうなのか?」
僕は内なるメス堕ち疑惑ジュリオン様な声に任せ、向かってくる――そして悲しいかな、繁殖欲を向けられてしまうのが分かってしまうからこそ嫌悪感からしなるムチで。
大挙してくる薄い本用のモンスターたちを――ひたすら急所への一撃でクリティカルしか出さずに数階層まで降りてきていた。
「ユリア様……!」
「お美しいですわ……!」
「女性のために、あそこまでお怒りになって……!」
「ユリアさまはすごいんですっ」
なぜかテオくんがずっとお股を抑えているし、実は僕もちょっぴり幻肢痛を――ムチの先の感触でぷちぷちっと潰すたびに感じてた記憶があるけども、ともかくこれで大半の戦力を失わせたはずだ。
「……ユリアって、本当は1人でなんでもできるのよね」
「マルテル様」
多少の疲労を見抜かれているのか、僕の半歩前に出て周囲を警戒してくれている彼女が、ぽつりと呟く。
この子はいつだってそうだ。
話したいときはちょっとだけ、ぽつぽつと話しておしまい。
でも、誰かが疲れたり怖い思いをしたりすると、そっと寄り添う優しさを持っている。
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