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3章 女装して捨て子を堕とした
32話 ルーシーくんとパーティー編成
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「さて、ルーシー」
「はい! ユリアさまっ! ぼく、あなたのためならなんでもします!」
目の前で――長い前髪の奥で、きらきらした目で僕の魂を浄化してこようとする貧農の少年に、僕は言う。
うーん、しかし顔が分からない。
なにしろ男か女か分からないくらいに髪の毛ぼっさぼさだから。
子供ってのは声でも分からない子は分からないしなぁ……このジュリオン様ボイスみたいに。
あと……その、砂とか垢とかいろいろなので顔も汚れてるし……。
さすがに女の子を食いぶちのために追い出すとかはない……いや、この世界観的にどうなんだろう……モブ子ズも7歳で外に出されてるわけだしなぁ。
まぁいいか、どうせ子供だし性別なんて気にする必要はない。
「ぼく」って言うんなら男で間違いないんだろう。
そんなことよりも、ガリッガリに細ってるこの子をなんとかしたい。
こんな、声をかけてきただけの見知らぬ同世代に救われた――ひょっとしたらこの町の孤児たちみたいに悪さするかもしれないのに、そんなことも考えずにのこのこついてきてるし。
ちょっと心配なくらいにピュアなんだもん……まぁ農家の末っ子、園児から小学生の何も分からない歳で、しかも都会に来たばかりだしなぁ。
……こんなの、手を離しても心配じゃないところまで面倒見るしかないじゃん。
ま、まあ?
どうせ町中の依頼もたくさん受けてるし?
僕も町の地理とか顔見知り、作らないとだし?
ツンデレとかじゃなく、本当に半分は僕のためだからね。
本当にね?
僕の中の常識的な前世的な価値観の大人としての保護欲がかき立てられてるだけなんだからね?
「では、パーティー登録をします」
「はいっ! ……ぱーてぃー?」
あ、ダメだ。
この子、なんにも知らない。
「……なら、パーティーメンバーとして必要な装備を身につけなさい」
「はいっ! よく分かりませんけど……え? あの、こんな高そうな装備は……」
僕が体に着けている装備をかちゃかちゃと外して渡そうとすると、きょとんとしている彼。
……悪いのは、こさえたくせにやっぱ育てられないってポイ捨てしたこの子の親と共同体だ。
だから僕は、簡単な教育をする。
だって、しないと……その、良いようにむしられるならまだマシな未来が見えるから。
「――――先ほど『なんでもする』と言いましたよね? 1度吐いた言葉は飲み込めません」
「!!!! ……は、はいっ! 言いました!」
うん、頭は良い。
ただ、適切な教育がなかっただけだ。
「よろしい。理解したら、以後軽率な発言は控えましょう」
「はい! ユリアさま!」
相手は同い年の少年――しかも農村の出。
危なっかしいところがあるから、適度に警告もしておく。
相手が同い年くらいの僕だから、そんなに効果はなさそうだけども。
適当に言いくるめ、モブ子ズを助ける前に手に入れた装備――なお、ドロップ運の上振れにより現時点では過剰な、動きやすいけどボロい服にしか見えない――を、身につけさせる。
あー、全部取って体が軽いー。
安物だから重いし肌に食い込んだりしてたんだよねぇ、防具。
たぶん今の僕なら――エロディーさんのちょろさのおかげで初心者ダンジョンは素手でも魔法のおかげでかなり楽に進めるようになってるはずだし、どうせ道中で装備品とかドロップするだろうしってことでね。
そうすると――おお。
「わぁ……これ、かっこいい……」
「簡単な防具だけですが……腕と脚を守れるだけでも違うでしょう」
ゲームでモブキャラを仲間に入れ、とりあえずで余った装備をあげて足を引っ張らない程度になった感じの状況になってるね。
うん、これは数合わせとか依頼で護衛すべきモブキャラをパーティーに入れたあと、余ってる装備とかを無差別に装備させた感じのあれだ。
そしてパーティーから外れるときは容赦なくむしる、あれ。
いや、僕はしないけどさ……ここは現実の世界で、この子も生きてる人間なんだから。
「――では、デイジー様」
「ひゃいっ!?」
ぴょんっと、僕たちを見ていた――なぜかお風呂でのぼせてたみたいな顔になってるのは気にしないであげよう――受付嬢さんに声をかける。
……あ、「様」とか言っちゃった。
まぁいいや、どうせ僕が「貴族令嬢」ってのはバレてるんだし。
「ルーシーと私を、パーティーとして登録してください」
「え、で、でもぉ……」
「1度吐いた言葉は?」
「……はいぃ……」
しゅん、と、見えない犬耳が垂れる少年。
あ、これなんか便利。
いかにも悪役っぽいいじめ方になってるけども、今はとにかくこの子が自分で生きられるようにするために我慢。
「では、Gランクの下位としての、町中での依頼を追加で見繕ってください。それも、できるだけ手間の掛からない簡単なものを――はい? ああ、あまり特別扱いされますとやっかみを受けますので、みなさんが通過されたような割に合わない地味なものほど歓迎です」
そういうことにした。
こういうときは訳知り顔で強引に進めるのが楽だよね。
世の中、ときにはこうやってしれっとするのも必要。
たとえば出席簿で教師がたまたま書き忘れてたから「え、僕、その日行ってましたよ?」って言ったり、共同プロジェクトでハンコの確認で回ってこられたとき「あー、ごめんなさい、押すの忘れてましたね」って言うやつ。
人の世界ってのは、全部が全部誠実である必要はない。
あくまであいまいな部分に限るけども――自分に有利に、ちょっとだけ変えるのは……すっごく悪いことではないはず。
だから僕が、この子の面倒をさりげなく見るのも――悪いことじゃ、ないよね?
「はい! ユリアさまっ! ぼく、あなたのためならなんでもします!」
目の前で――長い前髪の奥で、きらきらした目で僕の魂を浄化してこようとする貧農の少年に、僕は言う。
うーん、しかし顔が分からない。
なにしろ男か女か分からないくらいに髪の毛ぼっさぼさだから。
子供ってのは声でも分からない子は分からないしなぁ……このジュリオン様ボイスみたいに。
あと……その、砂とか垢とかいろいろなので顔も汚れてるし……。
さすがに女の子を食いぶちのために追い出すとかはない……いや、この世界観的にどうなんだろう……モブ子ズも7歳で外に出されてるわけだしなぁ。
まぁいいか、どうせ子供だし性別なんて気にする必要はない。
「ぼく」って言うんなら男で間違いないんだろう。
そんなことよりも、ガリッガリに細ってるこの子をなんとかしたい。
こんな、声をかけてきただけの見知らぬ同世代に救われた――ひょっとしたらこの町の孤児たちみたいに悪さするかもしれないのに、そんなことも考えずにのこのこついてきてるし。
ちょっと心配なくらいにピュアなんだもん……まぁ農家の末っ子、園児から小学生の何も分からない歳で、しかも都会に来たばかりだしなぁ。
……こんなの、手を離しても心配じゃないところまで面倒見るしかないじゃん。
ま、まあ?
どうせ町中の依頼もたくさん受けてるし?
僕も町の地理とか顔見知り、作らないとだし?
ツンデレとかじゃなく、本当に半分は僕のためだからね。
本当にね?
僕の中の常識的な前世的な価値観の大人としての保護欲がかき立てられてるだけなんだからね?
「では、パーティー登録をします」
「はいっ! ……ぱーてぃー?」
あ、ダメだ。
この子、なんにも知らない。
「……なら、パーティーメンバーとして必要な装備を身につけなさい」
「はいっ! よく分かりませんけど……え? あの、こんな高そうな装備は……」
僕が体に着けている装備をかちゃかちゃと外して渡そうとすると、きょとんとしている彼。
……悪いのは、こさえたくせにやっぱ育てられないってポイ捨てしたこの子の親と共同体だ。
だから僕は、簡単な教育をする。
だって、しないと……その、良いようにむしられるならまだマシな未来が見えるから。
「――――先ほど『なんでもする』と言いましたよね? 1度吐いた言葉は飲み込めません」
「!!!! ……は、はいっ! 言いました!」
うん、頭は良い。
ただ、適切な教育がなかっただけだ。
「よろしい。理解したら、以後軽率な発言は控えましょう」
「はい! ユリアさま!」
相手は同い年の少年――しかも農村の出。
危なっかしいところがあるから、適度に警告もしておく。
相手が同い年くらいの僕だから、そんなに効果はなさそうだけども。
適当に言いくるめ、モブ子ズを助ける前に手に入れた装備――なお、ドロップ運の上振れにより現時点では過剰な、動きやすいけどボロい服にしか見えない――を、身につけさせる。
あー、全部取って体が軽いー。
安物だから重いし肌に食い込んだりしてたんだよねぇ、防具。
たぶん今の僕なら――エロディーさんのちょろさのおかげで初心者ダンジョンは素手でも魔法のおかげでかなり楽に進めるようになってるはずだし、どうせ道中で装備品とかドロップするだろうしってことでね。
そうすると――おお。
「わぁ……これ、かっこいい……」
「簡単な防具だけですが……腕と脚を守れるだけでも違うでしょう」
ゲームでモブキャラを仲間に入れ、とりあえずで余った装備をあげて足を引っ張らない程度になった感じの状況になってるね。
うん、これは数合わせとか依頼で護衛すべきモブキャラをパーティーに入れたあと、余ってる装備とかを無差別に装備させた感じのあれだ。
そしてパーティーから外れるときは容赦なくむしる、あれ。
いや、僕はしないけどさ……ここは現実の世界で、この子も生きてる人間なんだから。
「――では、デイジー様」
「ひゃいっ!?」
ぴょんっと、僕たちを見ていた――なぜかお風呂でのぼせてたみたいな顔になってるのは気にしないであげよう――受付嬢さんに声をかける。
……あ、「様」とか言っちゃった。
まぁいいや、どうせ僕が「貴族令嬢」ってのはバレてるんだし。
「ルーシーと私を、パーティーとして登録してください」
「え、で、でもぉ……」
「1度吐いた言葉は?」
「……はいぃ……」
しゅん、と、見えない犬耳が垂れる少年。
あ、これなんか便利。
いかにも悪役っぽいいじめ方になってるけども、今はとにかくこの子が自分で生きられるようにするために我慢。
「では、Gランクの下位としての、町中での依頼を追加で見繕ってください。それも、できるだけ手間の掛からない簡単なものを――はい? ああ、あまり特別扱いされますとやっかみを受けますので、みなさんが通過されたような割に合わない地味なものほど歓迎です」
そういうことにした。
こういうときは訳知り顔で強引に進めるのが楽だよね。
世の中、ときにはこうやってしれっとするのも必要。
たとえば出席簿で教師がたまたま書き忘れてたから「え、僕、その日行ってましたよ?」って言ったり、共同プロジェクトでハンコの確認で回ってこられたとき「あー、ごめんなさい、押すの忘れてましたね」って言うやつ。
人の世界ってのは、全部が全部誠実である必要はない。
あくまであいまいな部分に限るけども――自分に有利に、ちょっとだけ変えるのは……すっごく悪いことではないはず。
だから僕が、この子の面倒をさりげなく見るのも――悪いことじゃ、ないよね?
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