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3章 女装して捨て子を堕とした
33話 ルーシーくんと町を探索
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「あふ……はっ!? ご、ごはんまでいただいて、も、ももも……っ!」
「落ち着きなさい。そちらの依頼書3枚の報酬と引き換えだと言いました」
「……え、で、でもぉ……ぼくを連れて回ってくれるなら、依頼とか達成してもユリアさまがやったようなものじゃ……」
あーあー、都合が悪いことは聞こえない。
そういうフリをしておく。
「……やっぱり優しいんだ……」
ルーシーくん、考えてること全部出しちゃうのはやめようね。
……とりあえずで、昨日見て回って食べるリストに入れておいた中でもお安いお店で腹ごしらえ。
町中の依頼っていうのはつまるところ、体力仕事。
あっちに行ってこっちに行ってを朝から夕まで延々繰り返すんだ、農民やってたから歩けはするだろうけども……なにしろ自分の村から歩いてきたんだ、少しでも栄養は補給してあげないとね。
「途中で倒れられたら、そちらの方が迷惑になります。素直に受け取っておきなさい」
「……はい!」
餌付けしちゃった分を突き放すように言ってみたけども――あ、これ、ツンデレっぽいなって後で気がついた。
まぁいいや、相手は子供だし……すぐ忘れるだろう。
「………………………………」
「はぁ……やっぱりすごいです……」
けども。
うーん……なんかこの体、ジュリオン様の残滓のせいか、口に任せると変な感じになるんだよなぁ。
まぁ便利だからどうでもいいんだけども。
ジュリオン様?
もしかして起きてます?
馬臭い冷水で死んでなかったりします?
………………………………。
……少なくとも、お返事はできないと。
ならひとまずはこのままで。
もしジュリオン様が復活したら――そのときは情報をすりあわせ、死亡とメス堕ちだけを回避できるようにさえがんばってくれるなら体を返すのもやぶさかではない。
まぁ、できたらルーシーくんがひとり立ちできるまでは待っていてほしいけども。
「ルーシー。字が読めないなら先にそう言いなさい。知ったかぶりは場合によっては有用ですが、大抵の場合は不利になります」
「はい……」
「ですが、地図を読めるのは偉いですね。この先も役に立つでしょう」
「! はい!」
見えない尻尾が下がったり、ぶわっと上がってぶんぶんしたり。
ああ、これは忠犬。
エミリーちゃんみたいな走り回ってずっこけてる愛すべき犬とはまた違うタイプのわんこだ。
「文字が読めないのなら、以後は必ず受付の方に読み上げてもらうように。先ほどの方でしたら無下にはされません」
「はい!」
デイジーさんは良い人だから、たぶん嫌な顔もせずにやってくれるだろう。
この世界の識字率は低いみたいだし、ルーシーくんとの馴れそめも見てたんだから大丈夫なはず。
さて。
がさりと――どうしてもって言うから彼に持ってもらった依頼書の束は、書いてある紙が再生紙よりもごわごわしてる何かなだけあって、優に10センチを超えている。
「……町中の届け物の依頼などは、こうして簡単な手書きの地図がありますね。まずは大通りを歩き回り、地理を把握していきましょう」
実は1日目はギルドハウスと宿周辺のみ、2日目もモブ子ズに案内してもらった範囲しか歩き回っていない。
ギルド~宿~町の出口しか――それもフードで視界が狭い中で歩き回ってたんだ、僕にもまだ土地勘ってものがない。
前世成人一応一人旅経験有方向感覚それなり僕だから、少なくとも歩いた場所が書いてあれば道に迷うことはない。
けど、この子はどうかな。
「ルーシー。道に迷う方ですか?」
「え? ……どうだろ……一応、言われたとおりの目印を伝ってこの町まで来ましたけど……」
「なら大丈夫ですね」
少なくとも、目印とかろくにないはずの数日がかりの距離を迷わずに来られる程度には、方向感覚とかには優れていると。
ていうかこの子、道中でモンスターにも襲われず、迷わずに?
どう見ても戦える感じでもないし。
……この子、幸運値は高めなのかもね。
この世界はゲームにすごく似てるけども、プレイヤーが知覚できる以外の場所にはこの世界に沿って生きている人々が居るんだ。
その中に「そこそこ」なにかに優れてる人が居ても、おかしくはない。
ていうかそこそこいじょうがわんさか居なかったら、もうとっくに人類は滅びてこの世界は魔王軍の天下となっている。
「………………………………」
……そうだ。
僕は、この世界に生きている。
だから――今日の仕事は、家なき子になったルーシーくんに最低限のいろはを叩き込むことだ。
まぁ大人らしく腹黒い目論見もあるんだけどね。
この子はたぶん、この町で暮らしていくことになるだろう……なにしろ村っていう共同体から追放されたんだから。
この町の孤児たちに迎え入れられたらなんとか生き延びられるだろうけども、それでも冬場を越せるかどうかっていう生活を送り――運が良ければ生き延びて。
10年後には僕と同じく高校生くらいには育つはず。
平民の子ではあるけども、運良く魔力に目覚めたら学園に入る――もちろんモブとしてだろうけども――こともあり得るだろう。
……だけど、貧すれば鈍すると言う。
ひもじさの不満がこの町を治めている僕の家に向いたら?
「貴族は許すまじ革命だ!」ってのに乗っかられたら?
そうだ、こういう子を1人放置するだけで革命フラグが蓄積されていくんだ。
だから僕は、僕が生きるために他者にも手を伸ばす。
……数年後に何かがあって父さんと兄さんが死んじゃって、家督を継いだらこの町を治めることになるのは、僕だ。
そのタイミングで反乱とかは勘弁だからね。
一見して穏やかで治安も良いこの町でもジュリオン様に厳しい世界の一員なんだ、油断はできない。
こういう良いことをひとつひとつこつこつと。
「ユリア様って小娘は悪い人じゃないな」って思わせて広める。
そして機を見てユリア=ジュリオンってバラす。
そうすれば――女装ってことで大半に嫌悪を持たれるものの「気持ち悪い趣味持ってるけど、危害を加えてくる悪い貴族じゃないのかも……?」って下から思わせられるはず。
そうすれば、この町とかが反乱とかしてくるフラグは折れる……はず。
そんなとこまで世界が牙を剥いて、町の人たちの思考誘導とかしてきたら……そうしたらもう逃げよう。
そのためにも冒険者としてだけで食べていけるだけの実力を身に付けないとね。
「落ち着きなさい。そちらの依頼書3枚の報酬と引き換えだと言いました」
「……え、で、でもぉ……ぼくを連れて回ってくれるなら、依頼とか達成してもユリアさまがやったようなものじゃ……」
あーあー、都合が悪いことは聞こえない。
そういうフリをしておく。
「……やっぱり優しいんだ……」
ルーシーくん、考えてること全部出しちゃうのはやめようね。
……とりあえずで、昨日見て回って食べるリストに入れておいた中でもお安いお店で腹ごしらえ。
町中の依頼っていうのはつまるところ、体力仕事。
あっちに行ってこっちに行ってを朝から夕まで延々繰り返すんだ、農民やってたから歩けはするだろうけども……なにしろ自分の村から歩いてきたんだ、少しでも栄養は補給してあげないとね。
「途中で倒れられたら、そちらの方が迷惑になります。素直に受け取っておきなさい」
「……はい!」
餌付けしちゃった分を突き放すように言ってみたけども――あ、これ、ツンデレっぽいなって後で気がついた。
まぁいいや、相手は子供だし……すぐ忘れるだろう。
「………………………………」
「はぁ……やっぱりすごいです……」
けども。
うーん……なんかこの体、ジュリオン様の残滓のせいか、口に任せると変な感じになるんだよなぁ。
まぁ便利だからどうでもいいんだけども。
ジュリオン様?
もしかして起きてます?
馬臭い冷水で死んでなかったりします?
………………………………。
……少なくとも、お返事はできないと。
ならひとまずはこのままで。
もしジュリオン様が復活したら――そのときは情報をすりあわせ、死亡とメス堕ちだけを回避できるようにさえがんばってくれるなら体を返すのもやぶさかではない。
まぁ、できたらルーシーくんがひとり立ちできるまでは待っていてほしいけども。
「ルーシー。字が読めないなら先にそう言いなさい。知ったかぶりは場合によっては有用ですが、大抵の場合は不利になります」
「はい……」
「ですが、地図を読めるのは偉いですね。この先も役に立つでしょう」
「! はい!」
見えない尻尾が下がったり、ぶわっと上がってぶんぶんしたり。
ああ、これは忠犬。
エミリーちゃんみたいな走り回ってずっこけてる愛すべき犬とはまた違うタイプのわんこだ。
「文字が読めないのなら、以後は必ず受付の方に読み上げてもらうように。先ほどの方でしたら無下にはされません」
「はい!」
デイジーさんは良い人だから、たぶん嫌な顔もせずにやってくれるだろう。
この世界の識字率は低いみたいだし、ルーシーくんとの馴れそめも見てたんだから大丈夫なはず。
さて。
がさりと――どうしてもって言うから彼に持ってもらった依頼書の束は、書いてある紙が再生紙よりもごわごわしてる何かなだけあって、優に10センチを超えている。
「……町中の届け物の依頼などは、こうして簡単な手書きの地図がありますね。まずは大通りを歩き回り、地理を把握していきましょう」
実は1日目はギルドハウスと宿周辺のみ、2日目もモブ子ズに案内してもらった範囲しか歩き回っていない。
ギルド~宿~町の出口しか――それもフードで視界が狭い中で歩き回ってたんだ、僕にもまだ土地勘ってものがない。
前世成人一応一人旅経験有方向感覚それなり僕だから、少なくとも歩いた場所が書いてあれば道に迷うことはない。
けど、この子はどうかな。
「ルーシー。道に迷う方ですか?」
「え? ……どうだろ……一応、言われたとおりの目印を伝ってこの町まで来ましたけど……」
「なら大丈夫ですね」
少なくとも、目印とかろくにないはずの数日がかりの距離を迷わずに来られる程度には、方向感覚とかには優れていると。
ていうかこの子、道中でモンスターにも襲われず、迷わずに?
どう見ても戦える感じでもないし。
……この子、幸運値は高めなのかもね。
この世界はゲームにすごく似てるけども、プレイヤーが知覚できる以外の場所にはこの世界に沿って生きている人々が居るんだ。
その中に「そこそこ」なにかに優れてる人が居ても、おかしくはない。
ていうかそこそこいじょうがわんさか居なかったら、もうとっくに人類は滅びてこの世界は魔王軍の天下となっている。
「………………………………」
……そうだ。
僕は、この世界に生きている。
だから――今日の仕事は、家なき子になったルーシーくんに最低限のいろはを叩き込むことだ。
まぁ大人らしく腹黒い目論見もあるんだけどね。
この子はたぶん、この町で暮らしていくことになるだろう……なにしろ村っていう共同体から追放されたんだから。
この町の孤児たちに迎え入れられたらなんとか生き延びられるだろうけども、それでも冬場を越せるかどうかっていう生活を送り――運が良ければ生き延びて。
10年後には僕と同じく高校生くらいには育つはず。
平民の子ではあるけども、運良く魔力に目覚めたら学園に入る――もちろんモブとしてだろうけども――こともあり得るだろう。
……だけど、貧すれば鈍すると言う。
ひもじさの不満がこの町を治めている僕の家に向いたら?
「貴族は許すまじ革命だ!」ってのに乗っかられたら?
そうだ、こういう子を1人放置するだけで革命フラグが蓄積されていくんだ。
だから僕は、僕が生きるために他者にも手を伸ばす。
……数年後に何かがあって父さんと兄さんが死んじゃって、家督を継いだらこの町を治めることになるのは、僕だ。
そのタイミングで反乱とかは勘弁だからね。
一見して穏やかで治安も良いこの町でもジュリオン様に厳しい世界の一員なんだ、油断はできない。
こういう良いことをひとつひとつこつこつと。
「ユリア様って小娘は悪い人じゃないな」って思わせて広める。
そして機を見てユリア=ジュリオンってバラす。
そうすれば――女装ってことで大半に嫌悪を持たれるものの「気持ち悪い趣味持ってるけど、危害を加えてくる悪い貴族じゃないのかも……?」って下から思わせられるはず。
そうすれば、この町とかが反乱とかしてくるフラグは折れる……はず。
そんなとこまで世界が牙を剥いて、町の人たちの思考誘導とかしてきたら……そうしたらもう逃げよう。
そのためにも冒険者としてだけで食べていけるだけの実力を身に付けないとね。
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