69 / 147
3章 女装して捨て子を堕とした
52話 ユリア様――絶対に、離しませんわ(by 3人娘)
しおりを挟む
「……しまったのですわ……!」
「不覚……! まさかたった1日で……!」
「ああ、あの夜ユリア様の優しさに甘えてたらふく食べてしまった己が憎いのですわ!」
泥棒猫!
泥棒猫ですわ!
シーフですわ!
ルーシー様とおっしゃる方が――聞けば恐らくは同い年ということですけれども――ユリア様に、なんと丸1日どころか宿までお世話になったと!
「ええ、入浴まで共にしましたから女子であることは僕が証明します」
「ぴぃっ!?」
ルーシー様は――あれなら恋愛経験などないわたくしたちでも分かりますわ。
とたんに真っ赤な顔になり、汗をかき始め、顔を逸らしつつも必死にユリア様の袖を引いて――ユリア様は気づかれないのか、気づいてもあえて知らんぷりを決めているのか。
ともかくあれは……恋する乙女……もう堕ちている乙女の顔つきですわ……!
しかもなんですの!?
お風呂!?
お風呂ですの!?
ユリア様とのおふろ!?
まさか洗いっこなどという羨ま妬ましいこともされたのですの!?
ずるいですの!
ずるいですの!
わたくしたちは目を見合わせ――互いの気持ちが1発で分かりましたの。
――ですが。
「よろしくお願いしますわ、ルーシー様」
「今後とも、どうぞよろしくお願いしますの」
「ええ……仲良くしてくださると嬉しいですわ」
わたくしたちは、淑女。
たとえ名ばかりの貴族で実質平民だとしても、貴族は貴族。
貴族令嬢。
はしたない真似は晒しませんの。
この言葉づかいも含め、それくらいしかアイデンティティーが無いとも申しますわ!
ルーシー様は――お世辞にも、ぱっとしないお方。
だからこそユリア様が面倒を見られたのかもしれません。
けれど、そんなことをちらりとでも考えたわたくしたちははしたないのですわ!
聞けば貧しい出で、しかもわたくしたちとは違って家族から追い出されたと……!
そんなことを聞けば、お優しいユリア様のこと……面倒を見ないわけにはいかないのが瞬時に分かりましたの!
しょ、しょうがないですわ、嫉妬の心は同情心で塗りつぶしますわ!
「ぶわっ」
「悲しいですの……悲しいですの……」
「分かりましたわ!! わたくしたち、友達ですわ!」
「と、ともだち……えへへ……」
はにかむような口元――しか見えませんけれど、いじらしい仕草。
目元が見えないほどにぼっさぼさですけれども、ふにゃりとしたお口ともぞもぞしているお指が――――――
「なにこのかわいいの」
「ルーシー様と申すそうですわ」
「お持ち帰りしてもいいですの?」
「ええ、良いですよ?」
「「「やりましたわ!!」」」
「え!? ユリアさまぁ!?」
ユリア様……存外におちゃめ心満載なのですわ……!
「この子は身寄りもないも同然。なので……僕たちで、面倒を見ませんか?」
ユリア様は――1日ぶりでも、いえ、だからこそ余計にお美しく、さらにはなぜか少し困った様子が妙に母性を覚えさせるようになっておられていましたわ。
ええ……なぜか、こう、不思議と心惹かれると申しますか……!
「なるほど……そういうことでしたのね」
「ユリア様ですもの!」
「あれこそが、本物の侯しゃ――ごほん、貴族令嬢というものなのですわ!」
なるほど……すべて分かりましたわ!
ユリア様はきっと、デュクロワ家の――隠し子!
それも、かのお姫様――失礼、デュクロワ家の亡きお方、セレスティーヌ様と侯爵様の、秘蔵の子なのですわ!
髪の色、瞳の色からも、その血を受け継いでいるのは確実ですもの!
そうしましたらば、ご自身の出自を明らかにされないのも「できる限り内密に」とギルドでも言われていたのも――こうして哀れなルーシー様やわたくしたちを助けて回るようなことにも納得が行きますの!
ええ、セレスティーヌ様は幼い時分から町へ抜け出し、様々な騒動を起こされたとは、孤児から王室までも有名なお話ですの。
わたくしたちを助けてくださったように魔族の討伐をされ、孤児を助け――きっとまだまだこれから人助けのついでに、確実に騒動を起こしますの!
そもそもそれでしたらすでに――隠し子のはずなのにこうして町へ堂々と出陣なされ、すでに人助けを派手にやらかされているのにも納得しかできませんわ!
隠す気があるのかないのか――いえ、きっとあのお姫様のように、必要であれば躊躇なく晒してでも解決なさるのでしょう!
なにしろ手段を選ばないのが「アクヤクレイジョウ」というものなのだとは有名なことですもの!
「ぞくぞくして参りましたわね……!」
「ええ……!」
「ルーシー様? よろしければ、今夜から同じ宿で宿泊費を節約されませんこと? ――あ、ユリア様ももちろんご一緒していただきますわ? よろしいですわね? お嫌? ――――――――どうして?」
ですから、この縁を手放す理由はございませんの。
たとえウザがられたとしても――嫌われない範囲で、存分にへばりついて回りますの!
だってきっと、わたくしたちの領でも聞きます「灰被りのアクヤクレイジョウ」の歌の――第二バージョンの脇役になれるかもしれませんもの。
――もちろん。
わたくしたちの貞操と淑女としての命、人としての尊厳、そして身体の命を助けてくださったことは――ええ。
わたくしたち3人の一生をかけて、お返し致しますもの。
ずっとずっと――ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとお側に居られないと、叶いませんものね……?
◇
【シモーネ・レモーヌ・ジュモーネ3名に、それぞれ単独でのエンディングが追加されました】
【シモーネ・レモーヌ・ジュモーネの3名による BAD END/No.110以降が追加されました】
「不覚……! まさかたった1日で……!」
「ああ、あの夜ユリア様の優しさに甘えてたらふく食べてしまった己が憎いのですわ!」
泥棒猫!
泥棒猫ですわ!
シーフですわ!
ルーシー様とおっしゃる方が――聞けば恐らくは同い年ということですけれども――ユリア様に、なんと丸1日どころか宿までお世話になったと!
「ええ、入浴まで共にしましたから女子であることは僕が証明します」
「ぴぃっ!?」
ルーシー様は――あれなら恋愛経験などないわたくしたちでも分かりますわ。
とたんに真っ赤な顔になり、汗をかき始め、顔を逸らしつつも必死にユリア様の袖を引いて――ユリア様は気づかれないのか、気づいてもあえて知らんぷりを決めているのか。
ともかくあれは……恋する乙女……もう堕ちている乙女の顔つきですわ……!
しかもなんですの!?
お風呂!?
お風呂ですの!?
ユリア様とのおふろ!?
まさか洗いっこなどという羨ま妬ましいこともされたのですの!?
ずるいですの!
ずるいですの!
わたくしたちは目を見合わせ――互いの気持ちが1発で分かりましたの。
――ですが。
「よろしくお願いしますわ、ルーシー様」
「今後とも、どうぞよろしくお願いしますの」
「ええ……仲良くしてくださると嬉しいですわ」
わたくしたちは、淑女。
たとえ名ばかりの貴族で実質平民だとしても、貴族は貴族。
貴族令嬢。
はしたない真似は晒しませんの。
この言葉づかいも含め、それくらいしかアイデンティティーが無いとも申しますわ!
ルーシー様は――お世辞にも、ぱっとしないお方。
だからこそユリア様が面倒を見られたのかもしれません。
けれど、そんなことをちらりとでも考えたわたくしたちははしたないのですわ!
聞けば貧しい出で、しかもわたくしたちとは違って家族から追い出されたと……!
そんなことを聞けば、お優しいユリア様のこと……面倒を見ないわけにはいかないのが瞬時に分かりましたの!
しょ、しょうがないですわ、嫉妬の心は同情心で塗りつぶしますわ!
「ぶわっ」
「悲しいですの……悲しいですの……」
「分かりましたわ!! わたくしたち、友達ですわ!」
「と、ともだち……えへへ……」
はにかむような口元――しか見えませんけれど、いじらしい仕草。
目元が見えないほどにぼっさぼさですけれども、ふにゃりとしたお口ともぞもぞしているお指が――――――
「なにこのかわいいの」
「ルーシー様と申すそうですわ」
「お持ち帰りしてもいいですの?」
「ええ、良いですよ?」
「「「やりましたわ!!」」」
「え!? ユリアさまぁ!?」
ユリア様……存外におちゃめ心満載なのですわ……!
「この子は身寄りもないも同然。なので……僕たちで、面倒を見ませんか?」
ユリア様は――1日ぶりでも、いえ、だからこそ余計にお美しく、さらにはなぜか少し困った様子が妙に母性を覚えさせるようになっておられていましたわ。
ええ……なぜか、こう、不思議と心惹かれると申しますか……!
「なるほど……そういうことでしたのね」
「ユリア様ですもの!」
「あれこそが、本物の侯しゃ――ごほん、貴族令嬢というものなのですわ!」
なるほど……すべて分かりましたわ!
ユリア様はきっと、デュクロワ家の――隠し子!
それも、かのお姫様――失礼、デュクロワ家の亡きお方、セレスティーヌ様と侯爵様の、秘蔵の子なのですわ!
髪の色、瞳の色からも、その血を受け継いでいるのは確実ですもの!
そうしましたらば、ご自身の出自を明らかにされないのも「できる限り内密に」とギルドでも言われていたのも――こうして哀れなルーシー様やわたくしたちを助けて回るようなことにも納得が行きますの!
ええ、セレスティーヌ様は幼い時分から町へ抜け出し、様々な騒動を起こされたとは、孤児から王室までも有名なお話ですの。
わたくしたちを助けてくださったように魔族の討伐をされ、孤児を助け――きっとまだまだこれから人助けのついでに、確実に騒動を起こしますの!
そもそもそれでしたらすでに――隠し子のはずなのにこうして町へ堂々と出陣なされ、すでに人助けを派手にやらかされているのにも納得しかできませんわ!
隠す気があるのかないのか――いえ、きっとあのお姫様のように、必要であれば躊躇なく晒してでも解決なさるのでしょう!
なにしろ手段を選ばないのが「アクヤクレイジョウ」というものなのだとは有名なことですもの!
「ぞくぞくして参りましたわね……!」
「ええ……!」
「ルーシー様? よろしければ、今夜から同じ宿で宿泊費を節約されませんこと? ――あ、ユリア様ももちろんご一緒していただきますわ? よろしいですわね? お嫌? ――――――――どうして?」
ですから、この縁を手放す理由はございませんの。
たとえウザがられたとしても――嫌われない範囲で、存分にへばりついて回りますの!
だってきっと、わたくしたちの領でも聞きます「灰被りのアクヤクレイジョウ」の歌の――第二バージョンの脇役になれるかもしれませんもの。
――もちろん。
わたくしたちの貞操と淑女としての命、人としての尊厳、そして身体の命を助けてくださったことは――ええ。
わたくしたち3人の一生をかけて、お返し致しますもの。
ずっとずっと――ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとお側に居られないと、叶いませんものね……?
◇
【シモーネ・レモーヌ・ジュモーネ3名に、それぞれ単独でのエンディングが追加されました】
【シモーネ・レモーヌ・ジュモーネの3名による BAD END/No.110以降が追加されました】
5
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる