悪役貴族転生【女装】悪役令嬢ルート~99通りで断罪される悪役に転生して女装したら死亡フラグが無くなる代わりに周囲の目が怖くなってくんだけど?

あずももも

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5章 女装して国の裏を堕とした

74話 おふろできれいきれい

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「――こちらへ来て。逆らうと……ご主人様にひどい目に遭わされるわ」

「はい……」

「……大丈夫。言うことさえ聞いていれば、少なくとも痛いこととかはされないから。貴女の歳なら恥ずかしいとかもよく分からないだろうし」

「あ、ありがとうございます……」
「良い子ね」

ドナドナ先は、どっかの屋敷。
そこで僕はなでなでされていた。

うん、途中で目隠しされたんだ……逃げられないようにするとか、逃げられたとしても居所がバレないようにってことなんだろうけども、まぁよく手慣れたこと。

そうして何十分か――感覚でだけども連れ回された先がここだ。

見えない中で似たような道をぐるぐる回ったりされてたから、現在地は完全に不明。
とりあえずで町の中――辺境伯のお膝元とあってでかい町だから、実質どこか分からないってことには変わりない。

まぁ下手に町の門を出て馬で何時間とか何日とかだと、今ごろ僕を追ってこの屋敷を取り囲んでるだろうギルドの人たちとかが大変だろうから良いけどね。

……いや、魔法の感覚がしたし、もしかしたら認識阻害とか使われて撒かれたかも?

それだと厄介だけど……まぁ最悪はエビルジャッジメントぶっ放せば良いっていう安心感でどうにかなるはず。

ただ、素直に従うフリはしないとだから、親玉たちを確認する前に食べものに薬盛られたり精神系の魔法掛けられたら厄介だけども……そこはジュリオン様の属性攻撃への耐性が役に立つと信じよう。

ジュリオン様との最終決戦とか、ルートごとに戦闘ルーチンとか弱点とかが変わるってのもあって、しっかりレベリングと対策をしてからじゃないと主人公くんが普通に負けることがある強敵だからね。

シナリオでは、その弱点とかをぺらぺらしゃべったりするぽんこつだけど。

悪役ってさ、なんで自分の弱点を全部教えるんだろうね。
いやまぁシナリオの都合って言ったらその通り以外はないんだけどさ。





「……広い」

「ご主人様との入浴にも使われるところだし、ご主人様は貴族だもの」

はえー。
貴族ってお金あるんだなぁ。

ってなんにも知らない平民の子供なら素直に感心するレベルの広い大理石な空間から、湯気がもわもわと漂っている。

「少し前にご主人様たちが入ったけど……清掃当番の子たちが綺麗にしているから汚くはないわ」

うぇ、綺麗にする前は……そういうことか。

ますます悪徳変態貴族を成敗しなきゃ気が済まなくなってきたな。

「お湯は常に温かいから、そこの桶ですくって……あっちの石鹸と油で髪と体を洗いなさい。……見たところ良い家の子みたいだし、さすがに私が洗わなくても身ぎれいにできるわね? 使い方も分かる?」

メイドっ子――ただし、家で雇ってる使用人さんたちみたいに足元と手首と首元までしっかり隠されてる伝統的なメイド服ではなく、現代的っていうかコスプレ的なデザイン。

つまりは胸元が……本当にぎりっぎり見えないところまで開けていて、脇も見えていて、おへそも見えていて太もももぎりっぎりまで見えるっていう非常にやらしいやつを着ている――中学生くらいかな、な女の子。

つまりはえっちなコスプレとかで使うやつだ。
そんなえっちなことをできた記憶はないって前世の僕が泣いてるけども。

けど、この子……廊下ですれ違った他の子とかから敬意を向けられてるっぽいし、なによりいちばんの年上っぽいし、連れてこられた子たちのまとめ役みたいな感じなのかな。

今もたった1人で僕のことも案内してるし。

その子に案内された先は……侯爵なうちよりも豪華なお風呂、っていうか高級温泉って感じの空間だった。

……良し。

父さんたちが残念ながら死んじゃって家督をもらったら、まずいちばんのわがままは屋敷の風呂をこのレベルのに改装だ。

なんなら執務する部屋からすぐの場所に増設しても良いかもしれない。

屋敷の土地のどっかで温泉とか湧かないかなぁ。

「……怖いなら一緒に居てあげるくらいはできるわ。怯えたまま歩いてすっ転んでケガでもされたら困るし、やはり私も……ちょうど良いし」

「え?」

お風呂の内装を眺めてたのを勘違いされたのか――ふと見上げると、なんとおへその上に手を掛けて、胸元をかろうじてガードしている服をめくろうとして――。

あっ。

「だ、大丈夫! ……です!」
「そう? でも、私も今夜呼ばれそうだし……」

「あ、あの! わ、私……1人でないと落ち着かなくて……!」

「……分かったわ。今は不安な気持ちで一杯でしょうし、ゆっくりと入ってね」
「あ、ありがとうございます……」

……見えちゃった。

見ちゃった。

「タオルはそこ。着る服はその棚のから、体に合うのを」
「わ、分かりましたから! 服! 服、着てください!」

「? ……あら、意外とおませなの? 女の裸なのに恥ずかしいだなんて」

上をおっぴろげにしたまま平気で教えてくれるのを見ないように、強固な意志で頑としてこれでもかと目を逸らす。

……ルーシーちゃんもエミリーちゃんも同い年だから見ちゃってもそこまでじゃなかったけども、女の子らしい体つきで女の子らしく胸がある子の胸元なんか見ちゃったら、前世ではこんな子に対しては保護者的年齢だったはずの一般男性としての罪悪感で死にそうになるんだ。

ていうか死にたい。

僕は事故とはいえ、年頃の女の子の裸を――上半身だけとはいえ至近距離で見上げちゃうという大罪を犯したんだ。

あ、いや、そもそもルーシーちゃんのときの方が罪状としては重いのか。

いやいや、男も女もそう変わらない年頃の子供の裸と中学生くらいの子のそれとは丸っきり違うって。

そんなことをもんもんと考えながら入ったお風呂のせいで――僕は時間を掛けてていねいに頭を洗ってしまった。

砂をすり込んで目立たないようにしていた、銀髪を。
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