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第二章 親友を追い求める覚悟
6.王国戦時評議会
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エルド王国、王城、医療室。
そこには、規律監査官リヒト・エルド・ヴェルナーが横たわっていた。
「――死因は、心臓部への剣創による大量出血で間違いありません」
医師の淡々とした声。
それは冷酷までに明確だった。
魔力反応はすでに完全に途絶えている。
医療魔法も蘇生魔法の余地すらない。
そう、結論付けられた。
王国の忠臣、秩序の象徴。
訓練所に来て、ノアを糾弾した時のことを思い出す。
彼の言っていたことはあながち間違いではなかった。
違っていたのはノアがエルド王国のフォルティス家ではなく、帝国の第二皇子であったということだけ。
あの時俺がノアを庇わなければ、こんなことにはならなかったのか?
ノアを徹底的に調べ上げ、帝国の第二皇子であると発覚すれば、こんなことには……。
次から次へと後悔にも似た何かが押し寄せる。
何を言ってももう、時は戻らない。
王城、戦時評議会。
高い天井から吊るされた魔道灯が、重苦しい沈黙を照らしている。
長机を囲むのは、宰相、軍務卿、魔道院長、財務卿、諸侯代表。
そして、玉座の一段下に座す、エルド王国国王。
カシウス・エルド・ヴァレンティス。
白髪交じりの金髪、年輪を刻んだ青の瞳。
穏やかな表情の奥に、揺るがぬ王の覚悟を宿した男。
俺の父だ。
その視線の先にいた俺は、椅子に浅く腰かけたまま、身動きが取れずにいた。
「――規律監査官リヒト・エルド・ヴェルナー。検死結果を報告する」
軍務卿が静かな声で切り出す。
「死因は心臓部への刺突。刃は帝国式剣術によるもの。魔力反応、血液状態、蘇生兆候なし。死亡は確定だ」
重く、はっきりとした断定。
評議会に、低いざわめきが走る。
「……まさか、あのリヒト規律監査官が」
「王国随一の忠臣を、ああも容易く……」
「相手はただの学生ではなかった、ということだな」
すでに誰もが理解していた。
ノア・エルド・フォルティス――否。
ノア・ヴァルガ・セラフィルは、最初からエルド王国の存在ではなかった。
そして身分偽装に関して、と軍務卿は重く続けた。
「……王立学園の、入学管理局、副局長が、失踪している」
「なんと……」
「ではあやつが、帝国の内通者だった可能性が……」
入学管理局副局長。
王立エルド学園における入学手続きにおいて、貴族籍の真偽確認、血統証明書の一次確認。
そして地方貴族の家系照合を一手に引き受けていた。
そんな人間が帝国の内通者。
だからこそノアをフォルティス家の人間だと言う身分を、正式に通してしまえた。
王国の未来を担う若者の審査をする者が内通者。
それはつまり、王国の内部に帝国の手の者を招き入れることが出来るということ。
内部崩壊。
その事実に、評議会は騒ぎ頭を抱える。
副局長は王国中枢に忠誠を誓う官僚として、長年勤めていた。
ということは、既に帝国の手の者が王国中枢に潜り込んでいる可能性が出てきたのだ。
しかし俺はそんな事実よりも、違う事実を改めて認識していた。
……ってことは本当に、ノアは最初から、帝国の手の者だったっていうのかよ!
入学の段階で身分を詐称。
つまりノアは最初から、エルド王国の侵攻を目的として、この国にやってきていた。
裏切り、なんて言葉はもはや誤りだ。
ノアは最初から、帝国の第二皇子だった。
「では、フォルティス家も帝国に協力を……?」
「あの異常なまでの忠臣が?」
「中央復権を目論んでいたとしても、こうなれば疑いを避けられないことは分かっていただろうに……」
「いやしかし、何も知らないという可能性も……」
「問題は、そこではない」
宰相が、机を軽く叩く。
「ヴァルガ帝国は何故、我が国に侵攻し、そして撤退した?」
侵攻、闘技場への奇襲。
第一王子を目前にしながら、深追いせずに引いた帝国艦隊。
「通常であれば、王都を制圧する好機だったはず」
「奇襲、そしてあの軍事力の差」
「にも関わらず、軍を引いた……あまりにも不自然だ」
魔道院長が、ゆっくりと頷く。
「目的が、侵略そのものではなかった可能性が高い」
「王国の支配が目的ではない、と?」
「では帝国の目的は……」
評議会の皆が意見を出し合う。
しかし俺はノアのことばかりを考えてしまっていた。
ノアと剣を交わす日々のことを。
お前、俺の隣で何を考えていたんだよ。
お前、どういうつもりで、俺の隣にいたんだよ。
ぐっと拳を握る。
ふと、評議会の場が静かになっているのに気付いて顔を上げる。
すると面々がこちらをじっと見つめていた。
「殿下、話を聞いておりましたかな?」
「あ、っと……悪い……」
「では再度、お尋ねします。最近、帝国第二皇子の周りで何か変わったことはございませんでしたか?」
「変わったこと……?」
「誰かが接触していたとか、何かを報告している様子だったとか」
何だよそれ。
それじゃまるで、ノアがきっかけで、帝国の侵攻が決まったみたいな言い方だ。
「別にいつも通りだよ、いつも通り、学問に励み、武芸を研鑽していた、ただの学生生活」
「殿下、そのような投げやりな言い方は……」
「なんだよ、だいたい俺の周りのことなんていつも誰かが何か報告してるだろ。この前だって、リヒトが……」
その名前を出した瞬間、皆の視線の熱が変わった。
集まったその視線に、俺は思わず口を噤む。
「……リヒト規律監査官が、なんと?」
「リ、ヒト……が、訓練所に来て」
「何をしに?」
「何を……って、ノアに、変な疑いをかけて」
「どのような?」
「どの……ノアが、フォルティス家が、ルベド王統を利用して中央復権を目論んでいるんじゃないか、と……」
「ルベド、王統」
評議会の皆が静まり返る。
まるで初めて聞いたかのような反応。
もしかして、父上にしか報告が行っていなかったのか。
暫くの沈黙が続いた後、もしかすると、と宰相が口を開いた。
「……ヴァルガ帝国は、ルベド王統への我が国の立場を再確認したため、侵攻してきたのでは?」
「それは、どういう意味だ」
宰相はそもそも、と続ける。
「帝国と王国は、王統への指針の違いで軋轢がありました」
「隠してはいるが、帝国は王統を兵器として併呑、管理したい」
「対して我々は王統の掟を尊重し、干渉しない。つまり」
「王統を外交的にも守る側に立っている」
帝国と王国の軋轢の源流は、そこだ。
しかし王国も一枚岩ではないと考えた帝国。
王国が王統を守る国なのか、中枢に王統を兵器化したいという人間はいないのか。
王国の中に、帝国の考えに賛同する者は、内通者に出来そうな者はいないのか。
「それを第二皇子に探らせるために、学園へと潜入させた」
「第二皇子はルベド王統に造詣が深いと聞いた、適任だったのだろう」
「そして学園で過ごす中、規律監査官がルベド王統について言及した」
「ルベド王統を兵器として利用する気ではないか、それは、秩序を乱す行為だ、と」
王国の忠臣、秩序の象徴。
規律監査官の方針は、国の中枢の方針。
国家としての、方針。
「つまりそこで付け入る隙はないと判断し」
「王国と王統が将来安定的に結び付く可能性を恐れた帝国は、今回一方的な侵攻に至ったというわけですな」
「完全に侵略せずにいた理由も、こうして混乱を招き、内部への不信を煽るためだったのかもしれぬ」
「しかし、あまりにも一方的過ぎる。国際的にもこれでは帝国に弁論の余地はない」
ざわざわと、議論が発展していく。
しかし俺は、前提として決定づけられてしまった事実に愕然とした。
「ま、ってくれ、待ってくれ」
「何か気になることでもありましたか、殿下」
「じゃあ、今回の侵攻は……ノアが帝国に報告したから、決まったことだと、いうことか?」
「……殿下」
「お前たちは、そういうことだと、言いたいわけだよな?」
俺は立ち上がりながら言う。
椅子が軋む音を立てた。
「殿下。第二皇子……ノアなる者が、殿下と親しい友人であったことは皆存じております」
「ノアには、俺から近付いていったんだ、面白い奴だったから!」
「しかし殿下、思い返していただきたい。最初に話しかけたのは、殿下でしたか? ノアでは、なかったのですか?」
――今日、面白い奴に出会ったんだ。
いつかの俺の声が、思い起こされる。
――血統魔法史のレポート書いてたら、間違いを指摘してきたんだよ。タメ口で。
不敬罪とかで勝手に罰するなよ、なんて。
ここにいる皆に、笑いながら釘を刺していた。
最初に、話しかけてきたのは。
「ッそれでも、ノアは……!!」
「――レオン・エルド・ヴァレンティス」
低く重い声が、静かに木霊する。
評議会の面々が、一斉に口を閉ざした。
その声の主に、皆が視線を送る。
「っ、父、上……」
「今は、王国の一大事。王国の未来を議論している」
国王の言葉。
当然のように誰も口を挟まない。
「個人の感情を、ぶつける場ではない」
「……っ」
「弁えろ、第一王子」
父ではなく国王の言葉。
息子へではなく、第一王子への言葉。
あぁ、なんだよ、なんだよ。
ここでも、こんな時でも、俺に役割を押し付けるのか!!
「分かってる、分かっているけど……っ俺には無理だ……!!」
俺は、叫ぶように拳を握る。
「っ失礼します……!」
視線を逸らして踵を返す。
それだけを言い残し、評議会室を飛び出した。
重い扉の閉まる音が響く。
誰も追えない、追ってこない。
感情がごちゃまぜになりながら、俺は自室へと戻った。
そこには、規律監査官リヒト・エルド・ヴェルナーが横たわっていた。
「――死因は、心臓部への剣創による大量出血で間違いありません」
医師の淡々とした声。
それは冷酷までに明確だった。
魔力反応はすでに完全に途絶えている。
医療魔法も蘇生魔法の余地すらない。
そう、結論付けられた。
王国の忠臣、秩序の象徴。
訓練所に来て、ノアを糾弾した時のことを思い出す。
彼の言っていたことはあながち間違いではなかった。
違っていたのはノアがエルド王国のフォルティス家ではなく、帝国の第二皇子であったということだけ。
あの時俺がノアを庇わなければ、こんなことにはならなかったのか?
ノアを徹底的に調べ上げ、帝国の第二皇子であると発覚すれば、こんなことには……。
次から次へと後悔にも似た何かが押し寄せる。
何を言ってももう、時は戻らない。
王城、戦時評議会。
高い天井から吊るされた魔道灯が、重苦しい沈黙を照らしている。
長机を囲むのは、宰相、軍務卿、魔道院長、財務卿、諸侯代表。
そして、玉座の一段下に座す、エルド王国国王。
カシウス・エルド・ヴァレンティス。
白髪交じりの金髪、年輪を刻んだ青の瞳。
穏やかな表情の奥に、揺るがぬ王の覚悟を宿した男。
俺の父だ。
その視線の先にいた俺は、椅子に浅く腰かけたまま、身動きが取れずにいた。
「――規律監査官リヒト・エルド・ヴェルナー。検死結果を報告する」
軍務卿が静かな声で切り出す。
「死因は心臓部への刺突。刃は帝国式剣術によるもの。魔力反応、血液状態、蘇生兆候なし。死亡は確定だ」
重く、はっきりとした断定。
評議会に、低いざわめきが走る。
「……まさか、あのリヒト規律監査官が」
「王国随一の忠臣を、ああも容易く……」
「相手はただの学生ではなかった、ということだな」
すでに誰もが理解していた。
ノア・エルド・フォルティス――否。
ノア・ヴァルガ・セラフィルは、最初からエルド王国の存在ではなかった。
そして身分偽装に関して、と軍務卿は重く続けた。
「……王立学園の、入学管理局、副局長が、失踪している」
「なんと……」
「ではあやつが、帝国の内通者だった可能性が……」
入学管理局副局長。
王立エルド学園における入学手続きにおいて、貴族籍の真偽確認、血統証明書の一次確認。
そして地方貴族の家系照合を一手に引き受けていた。
そんな人間が帝国の内通者。
だからこそノアをフォルティス家の人間だと言う身分を、正式に通してしまえた。
王国の未来を担う若者の審査をする者が内通者。
それはつまり、王国の内部に帝国の手の者を招き入れることが出来るということ。
内部崩壊。
その事実に、評議会は騒ぎ頭を抱える。
副局長は王国中枢に忠誠を誓う官僚として、長年勤めていた。
ということは、既に帝国の手の者が王国中枢に潜り込んでいる可能性が出てきたのだ。
しかし俺はそんな事実よりも、違う事実を改めて認識していた。
……ってことは本当に、ノアは最初から、帝国の手の者だったっていうのかよ!
入学の段階で身分を詐称。
つまりノアは最初から、エルド王国の侵攻を目的として、この国にやってきていた。
裏切り、なんて言葉はもはや誤りだ。
ノアは最初から、帝国の第二皇子だった。
「では、フォルティス家も帝国に協力を……?」
「あの異常なまでの忠臣が?」
「中央復権を目論んでいたとしても、こうなれば疑いを避けられないことは分かっていただろうに……」
「いやしかし、何も知らないという可能性も……」
「問題は、そこではない」
宰相が、机を軽く叩く。
「ヴァルガ帝国は何故、我が国に侵攻し、そして撤退した?」
侵攻、闘技場への奇襲。
第一王子を目前にしながら、深追いせずに引いた帝国艦隊。
「通常であれば、王都を制圧する好機だったはず」
「奇襲、そしてあの軍事力の差」
「にも関わらず、軍を引いた……あまりにも不自然だ」
魔道院長が、ゆっくりと頷く。
「目的が、侵略そのものではなかった可能性が高い」
「王国の支配が目的ではない、と?」
「では帝国の目的は……」
評議会の皆が意見を出し合う。
しかし俺はノアのことばかりを考えてしまっていた。
ノアと剣を交わす日々のことを。
お前、俺の隣で何を考えていたんだよ。
お前、どういうつもりで、俺の隣にいたんだよ。
ぐっと拳を握る。
ふと、評議会の場が静かになっているのに気付いて顔を上げる。
すると面々がこちらをじっと見つめていた。
「殿下、話を聞いておりましたかな?」
「あ、っと……悪い……」
「では再度、お尋ねします。最近、帝国第二皇子の周りで何か変わったことはございませんでしたか?」
「変わったこと……?」
「誰かが接触していたとか、何かを報告している様子だったとか」
何だよそれ。
それじゃまるで、ノアがきっかけで、帝国の侵攻が決まったみたいな言い方だ。
「別にいつも通りだよ、いつも通り、学問に励み、武芸を研鑽していた、ただの学生生活」
「殿下、そのような投げやりな言い方は……」
「なんだよ、だいたい俺の周りのことなんていつも誰かが何か報告してるだろ。この前だって、リヒトが……」
その名前を出した瞬間、皆の視線の熱が変わった。
集まったその視線に、俺は思わず口を噤む。
「……リヒト規律監査官が、なんと?」
「リ、ヒト……が、訓練所に来て」
「何をしに?」
「何を……って、ノアに、変な疑いをかけて」
「どのような?」
「どの……ノアが、フォルティス家が、ルベド王統を利用して中央復権を目論んでいるんじゃないか、と……」
「ルベド、王統」
評議会の皆が静まり返る。
まるで初めて聞いたかのような反応。
もしかして、父上にしか報告が行っていなかったのか。
暫くの沈黙が続いた後、もしかすると、と宰相が口を開いた。
「……ヴァルガ帝国は、ルベド王統への我が国の立場を再確認したため、侵攻してきたのでは?」
「それは、どういう意味だ」
宰相はそもそも、と続ける。
「帝国と王国は、王統への指針の違いで軋轢がありました」
「隠してはいるが、帝国は王統を兵器として併呑、管理したい」
「対して我々は王統の掟を尊重し、干渉しない。つまり」
「王統を外交的にも守る側に立っている」
帝国と王国の軋轢の源流は、そこだ。
しかし王国も一枚岩ではないと考えた帝国。
王国が王統を守る国なのか、中枢に王統を兵器化したいという人間はいないのか。
王国の中に、帝国の考えに賛同する者は、内通者に出来そうな者はいないのか。
「それを第二皇子に探らせるために、学園へと潜入させた」
「第二皇子はルベド王統に造詣が深いと聞いた、適任だったのだろう」
「そして学園で過ごす中、規律監査官がルベド王統について言及した」
「ルベド王統を兵器として利用する気ではないか、それは、秩序を乱す行為だ、と」
王国の忠臣、秩序の象徴。
規律監査官の方針は、国の中枢の方針。
国家としての、方針。
「つまりそこで付け入る隙はないと判断し」
「王国と王統が将来安定的に結び付く可能性を恐れた帝国は、今回一方的な侵攻に至ったというわけですな」
「完全に侵略せずにいた理由も、こうして混乱を招き、内部への不信を煽るためだったのかもしれぬ」
「しかし、あまりにも一方的過ぎる。国際的にもこれでは帝国に弁論の余地はない」
ざわざわと、議論が発展していく。
しかし俺は、前提として決定づけられてしまった事実に愕然とした。
「ま、ってくれ、待ってくれ」
「何か気になることでもありましたか、殿下」
「じゃあ、今回の侵攻は……ノアが帝国に報告したから、決まったことだと、いうことか?」
「……殿下」
「お前たちは、そういうことだと、言いたいわけだよな?」
俺は立ち上がりながら言う。
椅子が軋む音を立てた。
「殿下。第二皇子……ノアなる者が、殿下と親しい友人であったことは皆存じております」
「ノアには、俺から近付いていったんだ、面白い奴だったから!」
「しかし殿下、思い返していただきたい。最初に話しかけたのは、殿下でしたか? ノアでは、なかったのですか?」
――今日、面白い奴に出会ったんだ。
いつかの俺の声が、思い起こされる。
――血統魔法史のレポート書いてたら、間違いを指摘してきたんだよ。タメ口で。
不敬罪とかで勝手に罰するなよ、なんて。
ここにいる皆に、笑いながら釘を刺していた。
最初に、話しかけてきたのは。
「ッそれでも、ノアは……!!」
「――レオン・エルド・ヴァレンティス」
低く重い声が、静かに木霊する。
評議会の面々が、一斉に口を閉ざした。
その声の主に、皆が視線を送る。
「っ、父、上……」
「今は、王国の一大事。王国の未来を議論している」
国王の言葉。
当然のように誰も口を挟まない。
「個人の感情を、ぶつける場ではない」
「……っ」
「弁えろ、第一王子」
父ではなく国王の言葉。
息子へではなく、第一王子への言葉。
あぁ、なんだよ、なんだよ。
ここでも、こんな時でも、俺に役割を押し付けるのか!!
「分かってる、分かっているけど……っ俺には無理だ……!!」
俺は、叫ぶように拳を握る。
「っ失礼します……!」
視線を逸らして踵を返す。
それだけを言い残し、評議会室を飛び出した。
重い扉の閉まる音が響く。
誰も追えない、追ってこない。
感情がごちゃまぜになりながら、俺は自室へと戻った。
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