お人好しな新米冒険者は最強パーティに愛で尽くされる~行き倒れ戦士と毒舌魔導師、そして大型犬な後継者に囲まれて~

たら昆布

文字の大きさ
30 / 34

30話

しおりを挟む
「……ねえ、ガウル。この子、やっぱり僕に似てるかな?」


聖都の喧騒を離れた丘の上の邸宅。
柔らかな午後の陽光が差し込むリビングで、レオは腕の中に抱いた「奇跡」を見つめて微笑んだ。
それは数ヶ月前、レオの強大すぎる『加護』の魔力が、聖域の精霊と共鳴して結晶化し、人の形を成して生まれた少年――ルカだった。


外見はレオにそっくりな栗色の髪と琥珀色の瞳。
けれど、その中には三人の男たちの魔力の断片も混ざり合っている。


「……ああ。あんたに似て、お人好しそうな顔をしている。だが、魔力の質はシリウスの狡猾さと、カイトの騒々しさを引き継いでいるな」


ガウルが背後からレオを包み込むように抱き寄せ、大きな掌でレオの頭と、小さなルカの頭を同時に撫でた。
ガウルの岩のような逞しい腕が、レオの細い肩を独占するように囲い込む。
数年経っても、ガウルのレオに対する「盾」としての、そして一人の男としての執着は増すばかりだった。


「失礼だね。僕の魔力が混ざっているからこそ、この子はこれほどまでに美しいんだ。……さあルカ、パパのところにおいで」


シリウスが優雅に歩み寄り、レオの腕からルカをひょいと抱き上げた。
シリウスはルカの額に自分の額を押し当て、魔力を通わせる。
冷涼で心地よい魔力の流れに、ルカは「パパ!」と嬉しそうに声を上げた。


「ずるいっすよ、シリウスさん! 次は自分の番っす! ルカ、今日は一緒に剣の素振りをするって約束したっすよね!」


カイトが訓練場から汗を滴らせて戻ってきた。
二十代に入り、騎士としての風格と逞しさが増したカイトだが、レオとルカの前では相変わらずの「大型犬」だ。
カイトはレオの腰に腕を回し、その首筋に顔を埋めて深く息を吸い込んだ。


「わわっ、カイトくん、汗が……っ。ルカもまだ小さいんだから、剣なんて早いよ」


「いいえ、レオさん! 自分、ルカにレオさんを守るための技術を叩き込むっす。自分たちがいなくても、レオさんを誰にも渡さないために!」


「……結局、独占欲の塊じゃないか」


シリウスが呆れたように鼻を鳴らすが、その瞳にはカイトと同じ、レオという「聖域」を守り抜こうとする烈しい光が宿っていた。


レオは三人の男たちに囲まれ、賑やかな笑い声の中で胸を熱くする。
かつて無能だと疎まれていた少年は、今や最強の三人に愛され、そして新しい命を共に育む幸福の中にいた。


けれど、レオは気づいていない。
ルカが生まれたことで、三人の男たちの「レオを誰にも渡したくない」という本能が、さらに危険な領域へと踏み出していることに。


「……レオ、今夜はルカを別室で寝かせる。……いいな?」


ガウルがレオの耳元で、地響きのような低音で囁いた。
大きな掌がレオのシャツの下に滑り込み、敏感な腰のラインを執執になぞり始める。


「えっ、でも、まだ一人じゃ寂しがるかも……」


「ふふ、心配いらないよ。僕が睡眠魔法をかけてあげたからね。……今夜は、僕たち三人の愛を、君の身体の隅々まで思い出させてあげる」


シリウスの冷たい指先が、レオの鎖骨を甘く這う。


「自分も、もう我慢の限界っす! 昼間はルカにレオさんを譲ってるっすから、夜は自分のものっす!」


カイトがレオの反対側の耳朶を、熱い唇で食んだ。


三方向から押し寄せる、逃げ場のない寵愛。
レオはルカを慈しむ「母性」のような穏やかさと、男たちに貪られる「愛し子」としての熱情の狭間で、甘く蕩けるような夜へと誘われていくのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

龍は精霊の愛し子を愛でる

林 業
BL
竜人族の騎士団団長サンムーンは人の子を嫁にしている。 その子は精霊に愛されているが、人族からは嫌われた子供だった。 王族の養子として、騎士団長の嫁として今日も楽しく自由に生きていく。

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』  ある日、教室中に響いた声だ。  ……この言い方には語弊があった。  正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。  テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。  問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。 *当作品はカクヨム様でも掲載しております。

無愛想な氷の貴公子は臆病な僕だけを逃さない~十年の片想いが溶かされるまで~

たら昆布
BL
執着ヤンデレ攻め×一途受け

姉の代わりに舞踏会に行ったら呪われた第三王子の初恋を奪ってしまった

近井とお
BL
幼少期、ユーリは姉によく似ていることから彼女の代わりに社交の場に出席することが多々あった。ある舞踏会の夜、中庭に姿を眩ませたユーリに誰かがぶつかってくる。その正体は呪われていると噂の第三王子であったが、ぶつかられたことに腹を立てたユーリは強気に接し、ダンスを踊った後、彼を捜している気配を感じてからかいながら立ち去る。 それから数年後、第三王子は初恋の令嬢を探し始めたが、それはユーリに違いなく……。 初恋の相手を捜す第三王子×軽口令息

悪役会計様に転生した俺は、生徒会長に媚び売って生き残る

桜城 寧
BL
処刑された記憶とともに、BLゲームに登場する悪役会計に転生したことに気付く。処刑されないために、チャラ男としての仮面を被り、生徒会長に媚び売ったり、どうにか能力を駆使したりして生きてたら、色々な人に構われる話。

【完結】僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました

楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。 ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。 喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。   「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」 契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。 エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。 ⭐︎表紙イラストは針山糸様に描いていただきました

処理中です...