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82 帰宅
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次の日
私が起きて準備が終わった頃には、師匠と騎士達は出発した後だった。
私とジェイクは、朝ごはんを食べてから出発した。
馬車の中では、お馴染みになりつつある膝抱っこ。
「リア、疲れないか?」
「大丈夫です。ジェイクこそ、私が膝にいて疲れませんか?」
「疲れないな。逆に、癒やされて疲れが飛ぶ。」
「そうですか。それなら良いのですが…。」
私達は窓を見ながら、他愛もない事を話していた。その中で、あの合図の話も出た。
「以前決めた合図を変えないか?」
「作戦も終わりましたし、あの合図は必要なくなりますよ?」
「そうなのだが、案外楽しくてな。残りの学園生活でも使えるように改良したい。」
「もしかして、『愛してる』ですか?」
「その通りだ。仕事中に、肘は触りづらい。」
「やはり、そうでしたか。」
「リアの動作は変えずに俺だけでも…。俺も『愛してる』を伝えたい。」
シュンとする、ジェイク。
もう!こういう所が可愛いのよ!
「では、太腿を叩く事を、親指と人差し指に分けるのはどうですか?」
「それなら、姿勢を崩さずできるな。…親指が『愛してる』で、人差し指が『可愛い·美しい』でどうだ?いや、逆が良いか?」
ジェイクは考えこむ。
そこは、どちらでも良いと思う…。
「やはり、親指が『愛してる』にする。」
「その合図が見れるのを楽しみにしていますね。」
「ああ。」
そうこうしている内に、馬車が我が家へ着いた。
家の前には、お父様以外の家族と使用人たちが並んでいる。
馬車のドアが開く前に、私はジェイクの膝を降りて、隣りに座った。
ジェイクは先に馬車を降り、私のエスコートをしてくれる。
お母様とお姉様は泣き、お兄様はお姉様の肩を静かに抱いている。
私も、私の立場が自分の子供だったら、心配で、心配で仕方なかったと思う。
しかし、私はそこまで危険だと感じていなかったし、今思えば、むしろ緊張感を楽しんでもいた。
前にもこんな事があったような…。
なんか、申し訳ない。
「リア、ご苦労様。無事で良かったよ。父上も心配していて、出迎えたいと言っていたが、王城に引き摺られて行った。」
「そうですか…。」
ロバートに連れられていくお父様の光景が目に浮かぶ。
私とジェイクは、お兄様に促され家へ入る。
お母様とお姉様は化粧直しの為、一旦自室へ。
お兄様、ジェイク、私で応接室のテーブルを囲んだ。
「どんな状況だったかは、父上が帰ってから聞くとして…。本当に何事もなくて良かったよ。」
「心配お掛けしました。」
「ジェイクも落ち着いていて良かった…。」
お兄様の言葉に、私はチラリとジェイクを見た。
ジェイクはバツが悪いのだろう。明後日の方向を見ている。
聞くなら、今かしら?
「師匠もおしゃっていましたが、仕事に支障が出ていたのですか?」
「聞いていないのかい?」
「ええ。聞くタイミングが分からず…。それに学園でリカルド殿下についていた時は、いつも通りだと感じていたので、驚きました。」
お兄様もチラリとジェイクを見る。
「あー、自分では言えないか。…仕事はきちんとしていたみたいだよ。仕事はね。」
「仕事は?」
「仕事の合間に、険しい顔で鬼訓練。自分も隊員も変わらずね。口数もいつもより少ないし、近づける雰囲気ではなかったそうだよ。」
「鬼…ですか?」
ジェイクをジッと見ると、ジェイクもこちらを見る。そして、小さい声で話し始めた。
「…囮になるリアの事を考えたら、何もしないではいられなかった。それなら隊の力を強化しようと…。」
「グレイさんがフォローに回っていたという話が理解できました。」
「…すまないと思っている。」
「私に言うことではありませんね。」
「その通りだ…。」
その光景を見て、お兄様は決めたようだ。
「リア、これからジェイクへのクレームはよろしく!ジェイク、昼過ぎですが軽食でもどうですか?」
「…頂く。」
ジェイクは複雑そうな顔をしている。
「ふふふっ。」
それを見て、思わず笑ってしまった。
私が起きて準備が終わった頃には、師匠と騎士達は出発した後だった。
私とジェイクは、朝ごはんを食べてから出発した。
馬車の中では、お馴染みになりつつある膝抱っこ。
「リア、疲れないか?」
「大丈夫です。ジェイクこそ、私が膝にいて疲れませんか?」
「疲れないな。逆に、癒やされて疲れが飛ぶ。」
「そうですか。それなら良いのですが…。」
私達は窓を見ながら、他愛もない事を話していた。その中で、あの合図の話も出た。
「以前決めた合図を変えないか?」
「作戦も終わりましたし、あの合図は必要なくなりますよ?」
「そうなのだが、案外楽しくてな。残りの学園生活でも使えるように改良したい。」
「もしかして、『愛してる』ですか?」
「その通りだ。仕事中に、肘は触りづらい。」
「やはり、そうでしたか。」
「リアの動作は変えずに俺だけでも…。俺も『愛してる』を伝えたい。」
シュンとする、ジェイク。
もう!こういう所が可愛いのよ!
「では、太腿を叩く事を、親指と人差し指に分けるのはどうですか?」
「それなら、姿勢を崩さずできるな。…親指が『愛してる』で、人差し指が『可愛い·美しい』でどうだ?いや、逆が良いか?」
ジェイクは考えこむ。
そこは、どちらでも良いと思う…。
「やはり、親指が『愛してる』にする。」
「その合図が見れるのを楽しみにしていますね。」
「ああ。」
そうこうしている内に、馬車が我が家へ着いた。
家の前には、お父様以外の家族と使用人たちが並んでいる。
馬車のドアが開く前に、私はジェイクの膝を降りて、隣りに座った。
ジェイクは先に馬車を降り、私のエスコートをしてくれる。
お母様とお姉様は泣き、お兄様はお姉様の肩を静かに抱いている。
私も、私の立場が自分の子供だったら、心配で、心配で仕方なかったと思う。
しかし、私はそこまで危険だと感じていなかったし、今思えば、むしろ緊張感を楽しんでもいた。
前にもこんな事があったような…。
なんか、申し訳ない。
「リア、ご苦労様。無事で良かったよ。父上も心配していて、出迎えたいと言っていたが、王城に引き摺られて行った。」
「そうですか…。」
ロバートに連れられていくお父様の光景が目に浮かぶ。
私とジェイクは、お兄様に促され家へ入る。
お母様とお姉様は化粧直しの為、一旦自室へ。
お兄様、ジェイク、私で応接室のテーブルを囲んだ。
「どんな状況だったかは、父上が帰ってから聞くとして…。本当に何事もなくて良かったよ。」
「心配お掛けしました。」
「ジェイクも落ち着いていて良かった…。」
お兄様の言葉に、私はチラリとジェイクを見た。
ジェイクはバツが悪いのだろう。明後日の方向を見ている。
聞くなら、今かしら?
「師匠もおしゃっていましたが、仕事に支障が出ていたのですか?」
「聞いていないのかい?」
「ええ。聞くタイミングが分からず…。それに学園でリカルド殿下についていた時は、いつも通りだと感じていたので、驚きました。」
お兄様もチラリとジェイクを見る。
「あー、自分では言えないか。…仕事はきちんとしていたみたいだよ。仕事はね。」
「仕事は?」
「仕事の合間に、険しい顔で鬼訓練。自分も隊員も変わらずね。口数もいつもより少ないし、近づける雰囲気ではなかったそうだよ。」
「鬼…ですか?」
ジェイクをジッと見ると、ジェイクもこちらを見る。そして、小さい声で話し始めた。
「…囮になるリアの事を考えたら、何もしないではいられなかった。それなら隊の力を強化しようと…。」
「グレイさんがフォローに回っていたという話が理解できました。」
「…すまないと思っている。」
「私に言うことではありませんね。」
「その通りだ…。」
その光景を見て、お兄様は決めたようだ。
「リア、これからジェイクへのクレームはよろしく!ジェイク、昼過ぎですが軽食でもどうですか?」
「…頂く。」
ジェイクは複雑そうな顔をしている。
「ふふふっ。」
それを見て、思わず笑ってしまった。
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