異世界で悪役令嬢として生きる事になったけど、前世の記憶を持ったまま、自分らしく過ごして良いらしい

千晶もーこ

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通された部屋の中にはリカルド殿下、クレマ、バートンくんがいる。

「遅かったな。また何かあったのかと思った。」
「申し訳ございません。途中で陛下に呼ばれまして。」
「そうか。それなら仕方ないな。…オパール嬢、此度も巻き込み申し訳なかった。」

ジェイクと話していたリカルド殿下は、私の方へ向き直り頭を下げる。

「いえ、今回は巻き込まれたというより、巻き込まれに行った形ですから。」
「…本当に君は。エメラルド隊長が羨ましいよ。」

リカルド殿下が穏やかな笑みを浮かべる。
それを見たジェイクは、私の肩を抱いた。

「あげませんよ。」
「貰ったら、毎日怯えることになるから、こちらから遠慮する。」
「…褒められているのか、貶されているのか分からないのですが。」

私は複雑な気持ちになった。

「殿下!私も話してもよろしいかしら?」

そこで、我慢ができなくなったのであろうクレマが、口を開いた。

「そうだったな。アメシスト嬢も言いたいことがあったのだったな。」
「はい。失礼します。…プルメリア!危険に自ら飛び込むなどおバカじゃないの!?」
「クレマ…。」
「囮としても、やりすぎよ!本当に捕まって、どうするの!何かあってからでは遅いのよ!」

心配してくれるクレマに嬉しくなる。

「何を笑っているのよ!もう!」
「ごめんなさい。心配してくれてありがとう。」
「今度から、危ない事に関わらないでよね。」

守れない、約束はできない。
クレマの言葉に微笑みで返す。

「…分かっているわよ。」

息を吐いて肩を落としたクレマは、バートンくんに背中を撫でられ、慰められている。

私は手土産をリカルド殿下へ渡した。

「これは、我が家の料理長が作りました。お茶請けにでもどうぞ。」
「ありがとう。お茶を入れさせるよ。」
「プルメリアの所のお菓子は、とても美味しいのですよ。」

復活したクレマが、何故か得意気に話す。

「そうなのか。楽しみだな。」

そして、お茶の時間が始まった。

「隊長とオパール嬢が並んでいるのは、いつ以来だろうな。」
「学園ではほとんど見ませんものね。」
「そうでしょうか。」
「そうよ。だから、破棄の噂も皆が信じたのよ。」
「でも、クレマ達は信じていなかったでしょう
?」
「そりゃそうよ。プルメリアがいる時と、いない時の隊長の空気が全然違うのだもの。」
「空気?」
「そうよ。いない時のはいつも以上にピリピリしてたのよ。」
「ああ、私は居心地が悪かった。」
「プルメリアが来た途端、空気が和らぐの。」

私がジェイクを見ると、顔を片手で隠し項垂れた。

「…それは、無意識だ。」
「他にもあるぞ。なぁ、副隊長。」

リカルド殿下は、今日の護衛担当であるグレイさんに話を振った。

「はい!それはもう、」
「グレイ!」

ジェイクは焦った様に名前をよぶ。

お兄様達が話していた以上に、何かあるのかしら?…知りたい。

ジッと、ジェイクを見つめる。

「リア、そんな目で見るな…。」

…どんな目でしょうか?

分からず、コテンと頭を倒す。

「…可愛い。」

ジェイクが、ボソッと言った。

「もう…。」

私の顔が熱くなる。

そんな私達を見て、他のメンバーは呆れている様だった。

その後は談笑し、卒業後の話になった。

クレマは花嫁修業を1~2年。バートンくんが卒業し、仕事が落ち着いてから結婚するそうだ。

「殿下は卒業したら、どうなさるか決めているのですか?」
「私は1度、国に戻るよ。兄さんのサポートをする準備を始める。」
「サポートですか?」
「ああ。せっかくの留学経験だ。活かせる所で活かしたい。」
「そうですか。殿下なら良いサポート役になれますよ。」

卒業後も会える機会があればいいな。

私とクレマの目が合った。
私もクレマも声には出さないが、思っている事は同じだと思う。

「また、こうして話しましょうね。」
「ええ。」
「ああ。」

クレマの言葉に、私だけでなくリカルド殿下も頷いた。


帰りの馬車の中…

「良い友を持ったな。」
「はい。ジェイクも。」
「ああ。」

私は、幸せな気持ちで帰った。





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