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55 夜の散歩
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私達は、森の中を歩く。
只々、歩く。
どこまで行くのかな?
と思っていたら、ザック様が立ち止まった。
「ザック様?」
「…ごめん。」
「はい?」
「改めて時間ができたのに、何を話せばいいか…。」
「そうですね。私もです。……手紙のやり取りをしていた時は、1日にあった事や今している事などを話していましたよね?」
「そうだね。」
「では今も、思っている事や、したい事を話してみましょうか。」
「今、思っている事…。」
「はい。」
「リーナが可愛い。横に並んで歩いているだけで幸せ。」
「!?」
サリーナの顔は一気に赤くなる。
「手を繋いでもいいかな?」
「は、はい!どうぞ…。」
サリーナは、顔を赤くしたまま手を差し出す。アイザックは、優しくその手を取った。
「リーナは?」
「はい?」
「今、思っている事。」
「ど、ドキドキしていて、今は何も…。」
「そう。」
「すみません。」
「いや、謝ることでは…」
その時、何かがサリーナの目の前に飛んで来た。
「きゃ!」
思わず避ける。…が、それが頭に止まったのが分かった。
さっきの見た感じと、頭の上の感触からして大きな虫………。
サリーナは、身体を強張らせる。
「ざ、ザック様、私の頭に…」
「そのまま。」
「な、何ですか?」
「リーナは知らない方がいい。今、取るから。」
「お、お願いします!」
「はい。取れたよ。」
「ふぅ…、ありがとうございました。」
一気に身体の力が抜けた。
「本当に、リーナにも苦手な事があるんだね。」
「…当たり前です。」
「なんか、安心したよ。…実は、少し焦っていたんだ。」
「?」
「完璧なリーナに相応しくなるためには、どうすればいいのかばかり考えていた。」
「完璧では…」
「うん。虫の嫌いな普通の女の子だった。」
「…ザック様こそ、苦手な事があるんですか?」
「あるよ。魔法とか…」
「でも、もう苦手ではありませんよね?」
「他にも、堅苦しい行事とか…」
「私は、まだ7歳なので出た事がありませんが、王族は強制参加ですものね。」
「そうなんだよね…。」
国の行事は、7年生から参加が許可される。自由参加ではあるが、付き合いがある為、ほとんどの貴族は参加する事になる。そして、王族は他の貴族とは違い、学校へ入学した年から強制参加だ。
「でも、パールが来てくれてから、少しは気が楽かな。」
「そうなのですか?」
「うん。煩わしい挨拶回りが楽になった。」
「挨拶回りが?」
「親が娘を勧めてくる事がなくなった。」
………あ、結婚したい人トップ!
サリーナは、ナンシーの言葉を思い出していた。その為、少しの沈黙ができた。
その沈黙を勘違いしたアイザックは、急いで否定する。
「僕はリーナだけだから!」
「あ、はい。ありがとうございます。」
「…反応が軽くない?」
「えーと、ザック様を疑う要素はありませんので…。」
「?」
「結婚相手として人気がある事は聞いておりましたし、女性に理由なく近づくことがないとも…。」
「誰がそんな事を?」
「ナンシー様です。入学当初、何も知らない私に教えてくれました。」
「そう。」
「それに今、ザック様はご自分で『煩わしい』と話してくださいました。」
「そっか。」
その時、パールが足元にすり寄ってきた。
あたかも、私も忘れないでと言うようだった。
「パールもいますしね。」
サリーナは、パールに向かって微笑んだ。
「まかせて!」
元気な返事が聞こえる。
「しかし、パールに監視させているようで、少し気が引けますが…。」
その言葉でパールが静かにアイザックを見る。
「監視?…考えたことなかった。リーナとの繋がりができて嬉しかったし、パールのアドバイスもありがたい。良い事しかないよ。」
「それならいいのですが…。ん?アドバイス?」
「……あ、結構な時間だね。戻ろうか。」
ザック様は、わざとらしく懐中時計を出し確認する。
嘘とか隠し事も苦手なようね。
パールのアドバイスも悪いことではないだろうし、知らないままでいましょうか。
「ふふっ。はい、戻りましょう。」
私達は手を繋いだまま、元いた場所へ戻った。
只々、歩く。
どこまで行くのかな?
と思っていたら、ザック様が立ち止まった。
「ザック様?」
「…ごめん。」
「はい?」
「改めて時間ができたのに、何を話せばいいか…。」
「そうですね。私もです。……手紙のやり取りをしていた時は、1日にあった事や今している事などを話していましたよね?」
「そうだね。」
「では今も、思っている事や、したい事を話してみましょうか。」
「今、思っている事…。」
「はい。」
「リーナが可愛い。横に並んで歩いているだけで幸せ。」
「!?」
サリーナの顔は一気に赤くなる。
「手を繋いでもいいかな?」
「は、はい!どうぞ…。」
サリーナは、顔を赤くしたまま手を差し出す。アイザックは、優しくその手を取った。
「リーナは?」
「はい?」
「今、思っている事。」
「ど、ドキドキしていて、今は何も…。」
「そう。」
「すみません。」
「いや、謝ることでは…」
その時、何かがサリーナの目の前に飛んで来た。
「きゃ!」
思わず避ける。…が、それが頭に止まったのが分かった。
さっきの見た感じと、頭の上の感触からして大きな虫………。
サリーナは、身体を強張らせる。
「ざ、ザック様、私の頭に…」
「そのまま。」
「な、何ですか?」
「リーナは知らない方がいい。今、取るから。」
「お、お願いします!」
「はい。取れたよ。」
「ふぅ…、ありがとうございました。」
一気に身体の力が抜けた。
「本当に、リーナにも苦手な事があるんだね。」
「…当たり前です。」
「なんか、安心したよ。…実は、少し焦っていたんだ。」
「?」
「完璧なリーナに相応しくなるためには、どうすればいいのかばかり考えていた。」
「完璧では…」
「うん。虫の嫌いな普通の女の子だった。」
「…ザック様こそ、苦手な事があるんですか?」
「あるよ。魔法とか…」
「でも、もう苦手ではありませんよね?」
「他にも、堅苦しい行事とか…」
「私は、まだ7歳なので出た事がありませんが、王族は強制参加ですものね。」
「そうなんだよね…。」
国の行事は、7年生から参加が許可される。自由参加ではあるが、付き合いがある為、ほとんどの貴族は参加する事になる。そして、王族は他の貴族とは違い、学校へ入学した年から強制参加だ。
「でも、パールが来てくれてから、少しは気が楽かな。」
「そうなのですか?」
「うん。煩わしい挨拶回りが楽になった。」
「挨拶回りが?」
「親が娘を勧めてくる事がなくなった。」
………あ、結婚したい人トップ!
サリーナは、ナンシーの言葉を思い出していた。その為、少しの沈黙ができた。
その沈黙を勘違いしたアイザックは、急いで否定する。
「僕はリーナだけだから!」
「あ、はい。ありがとうございます。」
「…反応が軽くない?」
「えーと、ザック様を疑う要素はありませんので…。」
「?」
「結婚相手として人気がある事は聞いておりましたし、女性に理由なく近づくことがないとも…。」
「誰がそんな事を?」
「ナンシー様です。入学当初、何も知らない私に教えてくれました。」
「そう。」
「それに今、ザック様はご自分で『煩わしい』と話してくださいました。」
「そっか。」
その時、パールが足元にすり寄ってきた。
あたかも、私も忘れないでと言うようだった。
「パールもいますしね。」
サリーナは、パールに向かって微笑んだ。
「まかせて!」
元気な返事が聞こえる。
「しかし、パールに監視させているようで、少し気が引けますが…。」
その言葉でパールが静かにアイザックを見る。
「監視?…考えたことなかった。リーナとの繋がりができて嬉しかったし、パールのアドバイスもありがたい。良い事しかないよ。」
「それならいいのですが…。ん?アドバイス?」
「……あ、結構な時間だね。戻ろうか。」
ザック様は、わざとらしく懐中時計を出し確認する。
嘘とか隠し事も苦手なようね。
パールのアドバイスも悪いことではないだろうし、知らないままでいましょうか。
「ふふっ。はい、戻りましょう。」
私達は手を繋いだまま、元いた場所へ戻った。
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