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事件録4-4
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取調室では、容疑者として連れて来られた中年男性と捜査官2名が取調べに当たっていた。名前は坂倉和成。43歳で無職。彼の自宅からは、改造されたエアガンと、エアガンで利用するための弾が発見されていた。被害者を攻撃した弾と彼の所持するものが一致するかは、鑑識が調べているとのことだった。
塚本と平端、そして幽体となった葵はその様子を静かに観察していた。
「だから、俺じゃないって何度も言ってるじゃないですか!」
「じゃあ何で逃げたんだ。改造されたエアガンも押収されてるんだぞ。」
「改造はただの趣味です!自分が加工したものが、どれくらい飛ぶかって実験してただけで…。子どもに向けて打つなんてしてません!」
坂倉は一連の容疑を否認。捜査官から逃げたのも、この近辺で起こっていた事件は粗方知っており、自分が疑われると思って怖くなったのだという。
否認し続ける坂倉に、刑事たちは何とか証言を引き出そうとするが、なかなか崩れない。塚本は、小声で平端を取調室の外に呼び出した。
「……どうだ、何かわかったか。」
「どうって言われても…、まぁ一番疑わしいとは思いますけどね。」
「そうじゃない。……その、お前にくっついてる子どもは、あいつを見て様子は変わったかって聞きたいんだ。」
「あぁ、そっちですか。んー…私も何か変わるかと思ったんですけど。」
葵は、平端の後ろで、特段変わった様子もなく、きょとんとしていた。少なくとも、坂倉に対する恐怖感、怯えはなく、一方で面識もないのか、この人は誰だ?という顔をしていた。
「一連の事件はともかくとして、葵ちゃんとは関連性はなさそうですね。むしろ、あの私立中学校の方が気になりますよ。何か話は聞けました?」
「教頭と話をした。あの公園は、小学生がよく使う公園でもあるから、配慮を持って使えと言い聞かせていたらしい。入試は筆記と面接で、それなりに選別はしてるらしいが、大人しい顔をしてても裏では何をやってるかわからんような生徒もいるらしい。」
「らしい、ってことは、思い当たる節があるんですかね?」
「それを聞こうと思ったら、お前から電話が入ったんだ。」
なるほど、邪魔しちゃいましたねぇ…、と小さくため息をつく平端。今は重要参考人である坂倉から、取れる情報をなるべく掬い取り、調べるしかない…と、本来の塚本であればそう指示するところだったが、いくぞ、と平端に一言声をかけただけだった。
「え、先輩、行くってどこへ?」
「本部長のとこだよ、一応組織人としてあの中学校を調べる許可を取りに行く。…おそらく、突っぱねるだろうけどな。」
塚本は、苦い顔をしながら捜査本部室へ向かって行き、平端もそれに続いた。葵もぴょこぴょこ歩きながら、嬉しそうに平端に着いていく。
平端は、葵の今後のことを懸念していた。
(……5歳ってまだ、生き物の生死については、わかってないことも多いわよね…。それこそ、身近な人が亡くなった、とかでもない限りは。事件が解決しても、成仏できるのかな…。)
そう考えを巡らせる平端に、葵は不安そうに平端の顔を見つめる。平端は気分を切り替えて、葵に心配ないよ、と伝えた。振り向くと、葵は屈託のない笑顔を平端に向けた。
「もう、重要参考人が上がってきたんだ、わざわざ調べるまでもないだろう。それに、君が言っていることは的を射ていないことが多い。ホシから情報が出るまで、大人しくしてるんだ。」
「もしあいつがホシじゃなければ、また被害者が出る可能性もあるぞ、その時はどうする、責任取れるのか。」
会話だけ聞いていると、上下関係がわからないくらいのやりとりだが、塚本は本部長に対して、中学校を調査させてほしいと訴えていた。しかし、犯行が十分に可能で、しかも自宅から改造エアガンが出てきたことから、ホシは坂倉だとほぼ断定されているのか、塚本の訴えは本部長に響いていない。
「じゃあ他にホシを探すとして、なぜ中学校なんだ。中学生がエアガンを手に入れることはできるとしても、あんな殺傷力のある改造を中学生がしたと?それに3人目は、薬品で昏倒させられて、刃物で刺殺されているんだ、それも中学生の仕業とでも言うのか。」
「……生徒が改造できなかったとしても、坂倉に依頼した可能性もある。それに、中学校には理科実験室や保健室がある。そこにあるものを利用した可能性だって…」
「さっきから君は、可能性の話しかしていない。それよりも、今一番に見つけたホシから糸口を見出すことが、我々の仕事だ。これ以上議論するつもりはない、早く坂倉の周辺を調べてこい。」
本部長は席から立ち上がり、他の捜査官と状況確認をするため別の会話に入ってしまった。塚本は、苦虫を噛み潰したような顔で、本部長を睨みつける。
「…先輩、行きましょう。先輩の言う通り、これ以上被害者出さないためにも、動ける範囲で動かないと。」
「……わかってるよ、くそっ。」
塚本は普段見せないような焦燥感と怒りを滲ませ、本部室を出ようとした。その時、1人の捜査官が飛び込んできた。
「どうした。」
「3丁目で4人目です!被害者は4歳女児、意識不明の重体で、今救急搬送されています!」
本部室に緊張が走った。さらに捜査官は、耳を疑うような報告を続けた。
「被害者の名前は、塚本光里、自宅前で血を流して倒れているところを、母親が発見したとのことです!」
塚本と平端、そして幽体となった葵はその様子を静かに観察していた。
「だから、俺じゃないって何度も言ってるじゃないですか!」
「じゃあ何で逃げたんだ。改造されたエアガンも押収されてるんだぞ。」
「改造はただの趣味です!自分が加工したものが、どれくらい飛ぶかって実験してただけで…。子どもに向けて打つなんてしてません!」
坂倉は一連の容疑を否認。捜査官から逃げたのも、この近辺で起こっていた事件は粗方知っており、自分が疑われると思って怖くなったのだという。
否認し続ける坂倉に、刑事たちは何とか証言を引き出そうとするが、なかなか崩れない。塚本は、小声で平端を取調室の外に呼び出した。
「……どうだ、何かわかったか。」
「どうって言われても…、まぁ一番疑わしいとは思いますけどね。」
「そうじゃない。……その、お前にくっついてる子どもは、あいつを見て様子は変わったかって聞きたいんだ。」
「あぁ、そっちですか。んー…私も何か変わるかと思ったんですけど。」
葵は、平端の後ろで、特段変わった様子もなく、きょとんとしていた。少なくとも、坂倉に対する恐怖感、怯えはなく、一方で面識もないのか、この人は誰だ?という顔をしていた。
「一連の事件はともかくとして、葵ちゃんとは関連性はなさそうですね。むしろ、あの私立中学校の方が気になりますよ。何か話は聞けました?」
「教頭と話をした。あの公園は、小学生がよく使う公園でもあるから、配慮を持って使えと言い聞かせていたらしい。入試は筆記と面接で、それなりに選別はしてるらしいが、大人しい顔をしてても裏では何をやってるかわからんような生徒もいるらしい。」
「らしい、ってことは、思い当たる節があるんですかね?」
「それを聞こうと思ったら、お前から電話が入ったんだ。」
なるほど、邪魔しちゃいましたねぇ…、と小さくため息をつく平端。今は重要参考人である坂倉から、取れる情報をなるべく掬い取り、調べるしかない…と、本来の塚本であればそう指示するところだったが、いくぞ、と平端に一言声をかけただけだった。
「え、先輩、行くってどこへ?」
「本部長のとこだよ、一応組織人としてあの中学校を調べる許可を取りに行く。…おそらく、突っぱねるだろうけどな。」
塚本は、苦い顔をしながら捜査本部室へ向かって行き、平端もそれに続いた。葵もぴょこぴょこ歩きながら、嬉しそうに平端に着いていく。
平端は、葵の今後のことを懸念していた。
(……5歳ってまだ、生き物の生死については、わかってないことも多いわよね…。それこそ、身近な人が亡くなった、とかでもない限りは。事件が解決しても、成仏できるのかな…。)
そう考えを巡らせる平端に、葵は不安そうに平端の顔を見つめる。平端は気分を切り替えて、葵に心配ないよ、と伝えた。振り向くと、葵は屈託のない笑顔を平端に向けた。
「もう、重要参考人が上がってきたんだ、わざわざ調べるまでもないだろう。それに、君が言っていることは的を射ていないことが多い。ホシから情報が出るまで、大人しくしてるんだ。」
「もしあいつがホシじゃなければ、また被害者が出る可能性もあるぞ、その時はどうする、責任取れるのか。」
会話だけ聞いていると、上下関係がわからないくらいのやりとりだが、塚本は本部長に対して、中学校を調査させてほしいと訴えていた。しかし、犯行が十分に可能で、しかも自宅から改造エアガンが出てきたことから、ホシは坂倉だとほぼ断定されているのか、塚本の訴えは本部長に響いていない。
「じゃあ他にホシを探すとして、なぜ中学校なんだ。中学生がエアガンを手に入れることはできるとしても、あんな殺傷力のある改造を中学生がしたと?それに3人目は、薬品で昏倒させられて、刃物で刺殺されているんだ、それも中学生の仕業とでも言うのか。」
「……生徒が改造できなかったとしても、坂倉に依頼した可能性もある。それに、中学校には理科実験室や保健室がある。そこにあるものを利用した可能性だって…」
「さっきから君は、可能性の話しかしていない。それよりも、今一番に見つけたホシから糸口を見出すことが、我々の仕事だ。これ以上議論するつもりはない、早く坂倉の周辺を調べてこい。」
本部長は席から立ち上がり、他の捜査官と状況確認をするため別の会話に入ってしまった。塚本は、苦虫を噛み潰したような顔で、本部長を睨みつける。
「…先輩、行きましょう。先輩の言う通り、これ以上被害者出さないためにも、動ける範囲で動かないと。」
「……わかってるよ、くそっ。」
塚本は普段見せないような焦燥感と怒りを滲ませ、本部室を出ようとした。その時、1人の捜査官が飛び込んできた。
「どうした。」
「3丁目で4人目です!被害者は4歳女児、意識不明の重体で、今救急搬送されています!」
本部室に緊張が走った。さらに捜査官は、耳を疑うような報告を続けた。
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