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1章
俺様が恋愛相談してやんよ~♪
しおりを挟む期末テストが全て返って来た後、追試があった。
補習のおかげか知らんけど、何とか赤点ギリギリを免れた俺は追追試を受けずに済んだ。補習は無くならねぇけどな。お陰で俺は部活にまともに顔を出せずにいた。つまり伊織と顔を合わせるのは、月曜日の朝か偶然会った時だけになった。
空の為にはちょうど良いかもな。
少し寂しくも思うけど、また会ったら雰囲気に流されてキスとかしちまいそうだし。
今日も補習を終わらせて待ってると言う空にメッセージを送って玄関に向かう。
くそー、これ毎日とかキツいな。
一週間と少しやってみたけど、一時間は勉強してなくちゃいけないんだ。時々玉山がやって来ては俺がちゃんと受けてるかチェックするしよ~。何より分かんねぇ時が辛い!教科書読んでも分からねーのに、どうしろっつーんだよ。
「あー、腹減った~。空と何か食ってくか」
鞄を背負いながら一人で喋ってると、誰かが教室に入って来た。一週間と少しやって来たけど、誰もいなくなった教室に玉山以外が来るのは初めてだった。
そいつは茶髪で緩いパーマを掛けた演劇部裏方リーダーの犬飼だった。
俺を見るなり縋り付くように鞄を引っ張って来やがった。
「秋山ぁ!頼む!話聞いてくれぇ!」
「何なんだよっ俺補習で疲れてっからそういうの辞めろよな!」
「茜ちゃんとの事なんだっ秋山ならここにいるって聞いて……俺の話、聞いてくれるのか?」
茜だと?俺は蔑ろに出来ねぇ奴の名前が出て犬飼を見る。いつもの余裕ぶった甘い笑顔はどこへやら。飼い主に叱られたような悲しい顔をした犬みたいに眉毛と尻尾を下げていた。尻尾は生えてねぇけど。
「聞いてやる。玄関で空が待ってるから空もいていいならな」
「いいよ」
「それと腹減った」
「……分かった。奢るから」
「やったー♪俺様が恋愛相談してやんよ~♪行こうぜ~♪」
「軽く食べるだけだよな!?そこら辺加減してくれよ!?」
そうなりゃ話は別だ。何か食いながら話聞いてやろうじゃん。
ま、茜が絡んでそうだし奢りとかなくても話は聞いてたけどな。
茜と桃山が別れてからしばらく経ったけど、周りは意外と騒がなかった。茜に気を使ってか、桃山が恐いからか。二人とも学校で会ったり話したりはするけど、何も変わらない感じに見えた。
いや、茜は変わらない。
桃山は前とは少し変わった。
見た目は黒髪だったのを明るい金髪に変えてとにかく派手になった。背中まで伸びてた髪もバッサリ短く切って、うざったかった前髪斜めも無くなり、かなり明るい印象になった。そしてマスクだ。桃山がイメチェンしてからマスクを付けてるのを一度も見ていない。あんなけ頑なに外すのを拒んでいたのに何でなんだ?それは今だに謎だった。
そして、学校一のイケメンが公になって中には騒ぐ奴もいた。同じ一年でも、「唐突に現れたイケメン」「美形で猛犬なのがまた良い」なんて言ってる奴もいた。
桃山がかっこいいのは知ってたけど、マスク外しただけでこうも周りの見方が変わるのは驚きだ。危険人物扱いされて腫れ物扱いされてたのが嘘のように、今の桃山は誰かと話してる姿がちらほらあった。
まぁ元からコミュ力はあるよな。ただ変な事言ったりすぐ手が出るだけで、あと自己中な。自分がこうだと思ったら絶対曲げないあの自己中さはさすがの俺でも負けるわ。
隣を歩く明らかに元気の無い犬飼は、見た目こそ華やかだ。俺的には詩音タイプだと思ってるけど、意外と神経質な奴だなと思う。そして頭が良い。そんな犬飼は茜の事が好きだ。茜もまんざらじゃなくて、二人に周りには言えない秘密があるのを俺は知っている。
だけど、茜が桃山と別れてからは何も聞いてなかった。多分付き合うとかなったら茜が俺に言うと思うんだよな。何だかんだ茜とは毎日メッセージのやり取りしてるし。
そしてこの元気の無さだ。多分上手くいってねぇんだろうな。
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