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1章
双葉、俺との約束覚えてるか?
しおりを挟む双葉は空の前に無表情で立って見下ろしていた。ゾンビの館の暗い雰囲気でより一層恐ろしい空気になっていた。
やべぇな。双葉のやつ俺が空に嫌な事されたと思って攻撃しようとしてんのか?早いとこ止めねぇと楽しいハッピーランドが悲劇のハッピーランドになっちまう。
「双葉、おい……」
「早川さん、貴方は貴哉に嫌な思いさせましたよね?」
「え、冤罪だ……てか過去の話だしもう時効だろっ」
「その事で傷付いたのは今だろうが」
双葉の声のトーンが下がって口調が変わった!これはまずい!
「また暴力か?こんなとこで暴れてみろよ。大騒ぎになるぞ」
「そうだぞ双葉!俺は平気だから抑えてくれ」
「貴哉……」
俺が呼ぶと双葉はチラッと見て、一瞬いつもの明るくて優しい双葉の顔に戻った。が、すぐに無表情に戻って空の胸ぐらを引っ張り自分に引き寄せる。
「貴哉に免じて引きます。次はないですよ」
「っ……」
そして笑顔になってパッと空を離して俺の隣に戻ってくる双葉。大事にならなくて済んだけど、俺達の雰囲気は最悪だった。
双葉に脅された空はグッと何かを堪えるように手を下にして握りしめていた。
はぁ、空は十分我慢してるんだよな~。双葉にはもう一回話して分かってもらうしかねぇか。
その後俺達はアトラクションを出て二手に分かれる事にした。
空の事は紘夢達に任せて、俺は双葉と二人きりで話そうと思った。
双葉は自分がした事で説教されると思ったのかしょんぼりしてるように見えた。普段は良い奴なんだけどな~。
近くの空いていたベンチに並んで座って話す事にした。
「双葉、俺との約束覚えてるか?」
「……はい。暴力はダメです」
「さっき破ろうとしたよな?何で?」
「早川さんが貴哉に嫌な思いをさせたからです」
「そっか。俺の為なんだな!そんじゃありがとな♪気持ちは嬉しいわ」
「貴哉……」
「でも暴力はダメだ。ああやって胸ぐら掴んで引っ張るのもダメ。それとまだ慣れないだろうけど、俺と空っていつもあんな感じなんだよ。お互いムカついたら言い合って喧嘩みてぇになるけど、すぐに元に戻るからさ。今度からは気にしないでくれないか?」
「分かりました。貴哉が言うなら……でも、貴哉が困ってたりすると嫌なんです。相手の人の事が許せなくなっちゃって……ごめんなさい」
謝る双葉はずっと下を向いていた。俺もキレやすい方だから気持ちは分からなくねぇよ。中学ん時なんか殴り合いの喧嘩とか普通にしてたし、でもさ、高校入っていろんな奴に出会っていろんな経験して、少しずつだけど大人の階段登ったらキレてばかりじゃダメだって分かったんだ。
そしたら相手を殴らなくても解決出来たり、前より良くなったりもした。てか今殴り合いの喧嘩とかダルくてする気も起きねぇわ。
桃山とやった時はマジで辛かったわ。
双葉もそれに気付けばもっと良い奴になって、こんな風に謝らなても済むようになるんだろうな。
どうしたら双葉のキレるのを辞めさせられるんかな?
「双葉はさ、今とキレてる時って別人になるけど、ちゃんと覚えてるんだよな?」
「はい。ハッキリ覚えてます」
「それなら大丈夫だろ。意識してれば人を殴らなくても解決出来るようになる。お前は俺と違って頭良いんだから、喧嘩するなら紘夢みてぇに頭使った方が良い」
「一条さんみたいに?あの、一条さんは確かに勉強教えるの上手だとは思います。でもあの人ってそんなに凄いんですか?」
「あいつはいろんな意味ですげぇよ。何てったって俺を謹慎処分にまで追い込んだ奴だからな。だからあいつだけは敵に回さねぇ方がいいよ。でもさ、あいつも一回地の底に落ちてんだわ。もう学校にいられないってぐらいまで落ちたけど、今じゃあんな風にヘラヘラ笑って普通にしてるんだ。本当に凄いよあいつは」
「貴哉を謹慎処分に……」
「おーい、キレんなぁ?まぁ弱み握られるような事した俺も悪かったってのもあるからな。それと茜もすげぇ奴だ。笑うとめちゃくちゃ可愛いんだけど、ガチモード入ると鬼になりやがるんだ。でもあいつは真っ直ぐで真面目だから、悪い方の鬼にはならねぇよ。俺と会う前は友達ゼロでむしろ煙たがられて嫌われてたんだけど、今では立派なモテ男だ」
「二之宮さんの鬼モード見てみたいです」
俺の話を聞いてここで双葉は楽しそうに笑い出した。
俺にとって紘夢と茜は胸張って自慢出来る友達だ。だから双葉には仲良くしてもらいてぇんだ。
どっちも性格や見た目で誤解されやすいタイプだけど、ちゃんと向き合えば誰よりも強い味方になる。
きっと双葉にはそんな存在が俺以外にも必要なんだ。
双葉にはもっとたくさんの人と話して欲しいし仲良くなってもらいてぇ。
だって双葉も俺にとって胸張って自慢出来る友達だからな♪
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