【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ6th season

pino

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4章

※ 神凪さんの悪ふざけに付き合う必要はない

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 ※侑士side

 俺は二之宮を助けたい。
 もっと多くの二之宮の笑顔を見たい。
 二之宮と……仲良くなりたいんだ。


「前田、ありがとう。お前は素晴らしい生徒会長だよ」

「二之宮っ」

「困らせて悪かったな。秋山の事は心配だが柴田先生に任せよう。一緒に教室へ行こう」

「茜っ!」


 二之宮が秋山くんの頭を撫でて離れようとすると、秋山くんは離れないでと二之宮の腕を引っ張った。


「秋山、授業が終わったら必ず行くから。待っていてくれ」

「ううっ茜ぇ」

「秋山、何をそんなに弱っている。お前らしくも無い」


 神凪さんが、ベソをかく秋山くんの横に座って聞いていた。すると、秋山くんは今度は神凪さんに抱き付いていた。何て男だ!あの神凪さんに抱き付くなんて!


「神凪ぃ!紘夢が大変なんだよぉ!階段から落ちそうになった俺を庇おうとして一緒に落ちちまったんだぁ!」

「紘夢が?」

「あれっ喧嘩したんじゃなかったのか!」


 何が起こったのかを必死で伝えようとしている秋山くんの背中を摩りながら、落ち着いた様子で聞いている神凪さん。それに対して柴田先生の方が驚いていた。
 確かに秋山くんは一条の名前を出していたけど、まさかそんな事が起きてたなんて、ここで初めて事件の内容を知った俺も二之宮も驚いた。


「そんなのするかよ!」

「ふむ。紘夢はどこだ?」

「先に保健室に運ばれた。目を覚まさなかったんだ」

「……秋山、お前は大丈夫なのか?」

「平気!足も捻っただけだから。でも、紘夢が!」


 一生懸命に一条の心配をする秋山くんに対して神凪さんはニヤッと笑った。
 この二人の関係は聞いていたけど、こんなに距離が近いとは知らなかった。


「案ずるな。紘夢なら平気だ。あいつは身を守る為の護身術など様々な体術を会得している。きっと無事だろう」

「本当か?護身術があれば紘夢は無事なのか?」


 やっと自分から離れた秋山くんを見てニッコリ笑う神凪さん。神凪さんのこんな優しい笑顔見た事ないぞ。秋山くんて本当に凄い男だな。
 

「さて、柴田先生はそろそろ秋山を保健室へ連れて行って下さい。紘夢もいるんでしょう?きっともう起きてケロッとしてる頃ですから、秋山を安心させてあげて下さい」

「行こう柴先!」

「えっ?えっ!?あ、ちょっと待ってよ秋山くん!えっとー、神凪くん!何かよく分からないけどありがとう!」


 神凪さんの言葉を聞いて慌てている柴田先生を置いて右足をひょこひょこさせながら保健室の方へ歩いて行く秋山くん。
 
 残された俺達はそんな二人を見ながらホッとしたように笑っていた。


「神凪さん!ありがとうございました!」

「何の礼だ?頑張っていたのはお前だろう」

「いえ、神凪さんが来てくれなかったら俺は秋山くんを安心させられなかったし、柴田先生には迷惑だけ掛けていたし、二之宮の事も……」

「前田!お前が柴田先生にあんな風に言ってくれて俺は嬉しかったぞ♪」

「……っ♡」


 二之宮に笑顔で言われて俺は照れて何も言えなくなってしまう。こんなに近くで二之宮が俺に向かって笑っているなんて、夢のようだ……
 そんな俺を見て神凪さんはニヤニヤと笑い出して俺を見た。


「ほーう?侑士、お前もそんな顔をするのだな。これは面白いものが見れた」

「か、からかわないで下さい!」

「なるほどな。頻繁に演劇部の様子を見に行っていたのはそう言う訳か」

「ちょ、神凪さん!やめて下さいってば!」

「その通りなんです。ちょくちょく演劇部の事を気に掛けてくれて!文化祭の準備から前田には大変お世話になりました♪」

「そうかそうか。役に立ったのなら良かった。時に二之宮、風の噂であの桃山と別れたと聞いたが本当なのか?」


 更に意地悪そうに笑いながら二之宮に質問する神凪さん。普段なら興味ないような話題をわざわざ俺の前で本人に聞くなんて絶対にからかってる!
 二之宮は神凪さんが相手だからすぐに答えていた。


「はい。別れました。湊……桃山が散々ご迷惑をお掛けしてすみませんでした」

「二之宮が謝る事ではないだろう?それにもう別れているんだ。どうだ?次に付き合う相手は決まっているのか?」

「二之宮行こう。神凪さんの悪ふざけに付き合う必要はない」

「随分な言いようだな。可愛い後輩の手助けをしてやろうと言うのに」

「俺にはからかって楽しんでるように見えましたけど?」


 俺と神凪さんのやり取りを不思議そうに見ている二之宮。二之宮が天然で良かった……。
 正直言って、神凪さんがした質問は俺も気になったさ。二之宮があの桃山と別れたんだから、俺にとってこんなに喜ばしい事はない。付き合いたいとかそう言うのじゃなくて、ただ二之宮から悪い憑き物が取れたようで嬉しいんだ。
 

「そう言うな侑士。私も勉強漬けの日々に退屈していたのだよ。少し面白かったぞ」


 神凪さんはいつものように余裕な笑顔を見せて階段を上って行った。
 とんでもない大物の登場で少し遅れてしまったけど、俺と二之宮も教室へ行く事にした。
 

「二之宮、行こう」

「ああ」


 もう自然と笑顔を見せてくれる二之宮に俺は心から嬉しく思った。このまま二之宮との距離が縮まればいいな。少しずつでも、今まで話せなかった分関わっていけたら嬉しい。
 今俺はとても幸せな気持ちだった。

 が、すぐにその幸せが遠のく出来事が起きた。
 誰かが走るような音が聞こえて玄関の方を見る。
 すると、体操着姿の金髪の細長い男が猛スピードで校舎へ入って来るのが目に映る。

 桃山湊!

 奴の姿を捉えた瞬間、俺の全身の毛が逆立つのが分かった。あいつは授業中に何故こんな所を猛ダッシュしているんだ?またサボりか?それならば然るべき処罰を与えないとな!

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