【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ6th season

pino

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7章

頑張って良かったな空!

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 9時ぐらいに病院に到着した。そろそろ聞いていた陽子さんの退院時間だと思うけど、空はもういるのかな?
 俺と紘夢で正面から入る。年末ってのもあって昨日同様、人は少なかった。すれ違うのも見舞いの客ぐらい。
 受付の所で空に会った。どうやら一人みたいだ。


「空~♪陽子さん元気~?」

「あ、貴哉に一条さん……母さんは元気なんだけど……」


 ん?空の元気がない感じ?
 少し焦ってるようにも見えた。


「どうした?何かあったのか?」

「実は、今回の支払いなんだけど、俺の手持ちじゃ足りないから来月まで待ってくれる事になったんだけど……」

「マジで?兄貴は?」

「もうすぐ来ると思う……でも兄貴が貸してくれるとは思えないんだ」


 うーん、これは元気無くなるわな。
 空の話聞いてる限り陽子さんは金持ってなさそうだし、俺も貯金使っちまったから貸せるもんも貸せねぇ。


「空くん、これ使って♪」

「一条さん……?」


 俺の隣で黙って聞いていた紘夢がコートのポケットから白いしっかりした封筒を取り出して空に手渡していた。えっ!まさか紘夢が貸すのか?
 空は戸惑いながら受け取って中身を確認すると、すぐに返そうとした。


「こんなに受け取れません!あの、病院代だけ貸してもらえますか?」

「貸すだなんて。それ、空くんのだよ?」

「何言ってるんですか。今冗談とか聞いてる余裕ないんですって」

「退職金だよ~。早川空!昨日付けで一条紘夢の家事手伝い終了~!って感じ~?」

「退職金!?」


 なるほどな。紘夢ってば面白い事思い付くじゃん。だから今日キッチリした格好して病院に来たって訳か。
 

「紘夢カンパニーは福利厚生はしっかりしてるんだ。バイトでも努力してるなと思えば退職金も出すよ。その分俺の世話しなきゃで結構ハードだけどね~。空くんも的場も良く頑張ったよ。今までありがとう♪」

「一条さんっ……本当に貰っちゃっていいんですか?」

「勿論♪好きに使って♪」

「頑張って良かったな空!ほらさっさと払って陽子さんとこ行こうぜ~♪」

「あ、ありがとうございます!社長!」


 空ってば泣きそうな顔してやんの。
 てか紘夢に金返してもまた何だかんだ言って結局貰う事になりそうだけどな。
 紘夢もかっこいい事するじゃん♪

 無事、病院への支払いも済んで安心したような顔になった空と三人で陽子さんの病室へ向かう。
 中に入るととても元気そうな陽子さんが紺色の膝上丈のワンピースに、若い女が着るようなモコモコフワフワした白い上着を羽織って隣のベッドにいたおばちゃんと楽しそうに話していた。


「空戻って来た来た~♪あ、貴哉くんも来てくれたのー?えっと、もう一人の子は……お友達?」


 俺達に気付いた陽子さんは俺にニッコリ笑い掛けた後、紘夢をジーッと見た。紘夢もなかなか男前だからな、また口説くんじゃねぇだろうな?


「初めまして。空くんと同じ学校に通う二年の一条紘夢です。空くんにはいつもお世話になってるので是非退院に立ち会いたいと思って来ちゃいました♪」

「まぁ♪空ってば先輩とも仲良いんだね♪さすがわたしの息子♪初めまして!早川陽子です。空がお世話になってます♪」


 紘夢がしっかりした挨拶をすると、陽子さんは両腕を前に揃えて出してペコリと頭を下げて挨拶していた。俺の時とは違うけど、この差は何だ!?


「母さん、一条さんには本当にお世話になってるんだ。失礼な事言わないでよな」

「言う訳ないじゃん~♪ね?貴哉くん♪」

「いや、陽子さんは分からねぇぞ?そこら辺は俺の母ちゃんよりヤバいと思う」

「あはは、とても陽気な方なんですね。空くんとも良く似てお綺麗だ。会えて良かったです♪」

「綺麗だなんてやだー♡おばさんをからかわないのー♡でも嬉しい~♡」


 紘夢のが口説いてんじゃねぇか。
 両手を顔に当てて喜ぶ陽子さんを呆れたように見てる空。
 何はともあれ陽子さんが元気そうで良かったわ。

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