【完結】取り柄は真面目な事だけです

pino

文字の大きさ
6 / 45
1章 大切な人

5.どう言う事だ?

しおりを挟む

 俺と伊吹さんは電車に乗って移動を始めた。
 今日は伊吹さんと事前のやり取りで大きな公園がある街へ行こうと決めていた。
 そこは駅近にお店が多く、ショッピングだけじゃなく、お腹が空けば困る事はない便利な街だった。
 その街にある大きな公園では今、ひまわりがたくさん咲いていて見頃だと言う。伊吹さんがお花に興味があるかは分からなかったけど、俺の憧れのデートだったから提案してみたら採用されたんだ。


「今日も暑いな~、尚輝くんは暑さには強いの?」


 爽やかな笑顔でそう言う伊吹さんは、とても暑そうには見えなかった。
 意外とカジュアルな格好が多い伊吹さんは、今日は白のTシャツに紺色の薄手のカーディガンを羽織り、黒いスキニーを履いていた。
 伊吹さんは何を着ても似合うんだ。

 対して俺は白のVネックに、七分袖の黒いジャケット。下は細身のジーンズ。年上の伊吹さんに合わせてシンプルで大人っぽくを意識し、ネットで調べた俺なりのお洒落だ。

 
「暑いのは苦手ですね。寒い方が我慢出来ます」

「へー、俺どっちも嫌い♪」


 へへと悪戯っ子のように笑う伊吹さんは天使のようだった。どっちも嫌いとか伊吹さんらしいなと思う。


「もう夏だもんな~、大学生なら夏休みとか海行ったりすんの?バーベキューとか?」

「みんなはすると思います。俺はそういう経験はありませんが」

「誘われたりしないの?尚輝くんキリッとしてて男前だから女子からモテるんじゃない?」

「どうなんでしょう?俺自身の恋愛対象が同性なので、異性からモテるとか分かりません。モテるのは伊吹さんですよ。いつも予約がいっぱいじゃないですか」


 人気No. 1だから伊吹さんの出勤時間はほぼ埋まるんだ。だから、伊吹さんが土曜日の出勤が上がるのを逐一チェックしていないと誰かに先を越されそうで毎回命懸けなんだ。
 伊吹さんは俺とのデートが終わったらその日の夜に次の土曜日の出勤を確定させるから、俺は家に帰ったら予約が完了するまでは勉強をせずにスマホを握りっぱなしでいる。

 その間に伊吹さんの他の出勤日の予約状況が見れるんだけど、いつもほとんど埋まっているんだ。
 俺はやっぱり凄い人気なんだなぁと感心しつつも、少しだけ嫉妬していたりもする。
 

「そうでもないよ?最近は前より予約減ってるし」

「そう言えば、出勤減らしました?前よりも時間も短くなってる気がします」

「あ、気付いた?実は今就活中なの♪」

「えっ!お店辞めるんですか!?」


 これには驚いた!と言うかショックだよ!
 推しである伊吹さんが辞めてしまうなんて、俺はこれから何を楽しみに生きて行けばいいんだ!?
 やっと見付けた理想の人なのに、もう会えなくなるなんて悲しいよ。


「仕事決まったらね。てか何でそんなガッカリしてんのよ。そこ喜ぶとこね?」

「た、確かに伊吹さんが他の人とデートしなくなるのは嬉しい事ですが、それって俺ともデートをして貰えなくなるって事ですよね?それは辛いです……」

「ん?尚輝くんとはデートするよ?今だってしてんじゃん」

「ど、どう言う事ですか!?」


 思わず大きな声で聞き返してしまった。
 これには伊吹さんも驚いたのか、慌てて周りの目を気にし始めた。

 でも、今伊吹さんが言った事は大きな声になってしまう程の事だったんだ。
 今の仕事を辞めても俺とデートをしてくれるって、そんな夢のような事が可能なのか!?


「どう言う事って、俺がどう言う事って聞きたいんだけど?何でそんな驚くの?」

「だって、伊吹さんがお店を辞めても俺とデートをしてくれるって言うからっ」

「そりゃするでしょ。付き合ってんだし」

「!?!?」


 ま、待って!
 今何て言った!?
 付き合ってる!?

 嬉しいけど、初耳だよ!!

 俺と伊吹さんはいつ付き合う事になったんだ!?


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

シスルの花束を

碧月 晶
BL
年下俺様モデル×年上訳あり青年 ~人物紹介~ ○氷室 三門(ひむろ みかど) ・攻め(主人公) ・23歳、身長178cm ・モデル ・俺様な性格、短気 ・訳あって、雨月の所に転がり込んだ ○寒河江 雨月(さがえ うげつ) ・受け ・26歳、身長170cm ・常に無表情で、人形のように顔が整っている ・童顔 ※作中に英会話が出てきますが、翻訳アプリで訳したため正しいとは限りません。 ※濡れ場があるシーンはタイトルに*マークが付きます。 ※基本、三門視点で進みます。 ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

下っ端公務員の俺は派遣のαに恋してる【完結済】

tii
BL
市役所勤めの野々宮は、どこにでもいる平凡なβ。 仕事は無難、恋愛は停滞、毎夜の癒しはゲームとストゼロだけ。 そんな日々に現れたのは、派遣職員として配属された青年――朝比奈。 背が高く、音大卒で、いっけん冷たそうに見えるが、 話せば驚くほど穏やかで優しい。 ただひとつ、彼は自己紹介のときに言った。 「僕、αなんです。迷惑をかけるかもしれませんが……」 軽く流されたその言葉が、 野々宮の中でじわりと残り続ける。 残業続きの夜、偶然居酒屋でふたりきりになり―― その指先が触れた瞬間、世界が音を立てて軋んだ。 「……野々宮さんって、本当にβなんですか?」 揺らぎ始めた日常、 “立場”と“本能”の境界が、静かに崩れていく。 ☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。 【第13回BL小説大賞】にエントリーさせて頂きました! まこxゆず の応援 ぜひよろしくお願いします! ☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。

僕たち、結婚することになりました

リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった! 後輩はモテモテな25歳。 俺は37歳。 笑えるBL。ラブコメディ💛 fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

ヤンキーDKの献身

ナムラケイ
BL
スパダリ高校生×こじらせ公務員のBLです。 ケンカ上等、金髪ヤンキー高校生の三沢空乃は、築51年のオンボロアパートで一人暮らしを始めることに。隣人の近間行人は、お堅い公務員かと思いきや、夜な夜な違う男と寝ているビッチ系ネコで…。 性描写があるものには、タイトルに★をつけています。 行人の兄が主人公の「戦闘機乗りの劣情」(完結済み)も掲載しています。

夢の続きの話をしよう

木原あざみ
BL
歯止めのきかなくなる前に離れようと思った。 隣になんていたくないと思った。 ** サッカー選手×大学生。すれ違い過多の両方向片思いなお話です。他サイトにて完結済みの作品を転載しています。本編総文字数25万字強。 表紙は同人誌にした際に木久劇美和さまに描いていただいたものを使用しています(※こちらに載せている本文は同人誌用に改稿する前のものになります)。

【完結】王子様と一緒。

紫紺
BL
田中明夫は作家を目指して10年、全く目が出ない男だ。 ある日、書店の前で金髪青い目の青年が突然話しかけてきた。最初は胡散臭く思っていたのだが……。 南の国の第2王子アスラン、その護衛トーゴー、田中が住むアパートの大家や住人の奨励会員などなど。 様々な人間模様と恋模様が織りなすBL多めのラブコメ開幕です!

【第一部完結】カフェと雪の女王と、多分、恋の話

凍星
BL
親の店を継ぎ、運河沿いのカフェで見習店長をつとめる高槻泉水には、人に言えない悩みがあった。 誰かを好きになっても、踏み込んだ関係になれない。つまり、SEXが苦手で体の関係にまで進めないこと。 それは過去の手酷い失恋によるものなのだが、それをどうしたら解消できるのか分からなくて…… 呪いのような心の傷と、二人の男性との出会い。自分を変えたい泉水の葛藤と、彼を好きになった年下ホスト蓮のもだもだした両片想いの物語。BLです。 「*」マーク付きの話は、性的描写ありです。閲覧にご注意ください。

処理中です...