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「ハァ...」
王立学園のお昼休み、伯爵令嬢のサブリナは中庭のベンチに座って、もう何度目になるか分からないため息を吐いていた。
彼女には一つ下に妹が一人居る。名をコリンナというその妹は、末っ子ということもあり両親から甘やかされて育った。その結果、
「お姉ちゃんばっかりズルい! アタシも一緒に行く!」「お姉ちゃん、それ欲しい! アタシに頂戴!」
このように我が儘放題な娘になってしまった。どこへ行くにもサブリナの後を付いて回り、サブリナが買って貰った物をなんでも欲しがる。姉として窘めるとすぐ両親に泣き付く。妹に甘い両親は、
「お姉さんなんだから我慢しなさい」
「お前は長女だから婿を取り我が伯爵家を継ぐ身だが、コリンナは何れ嫁として我が家を出て行く身だ。我が儘言えるのも今の内だけなんだから、少しくらい許してあげなさい」
いつもこんな感じで逆にサブリナの方が窘められてしまう。昨日もお気に入りだったドレスを妹に奪われた。その内、サブリナの持ち物は全て妹に奪われてしまうかも知れない。
「ハァ...」
もう一度サブリナが長い長いため息を吐いた時、
「あら? どうしたのサブリナ? 浮かない顔しちゃって」
クラスメートで隣の席の子爵令嬢ミシェルが話し掛けて来た。
「そう言うあなただって冴えない顔してるじゃないの」
「アハハ...分かっちゃう?」
ミシェルは苦笑しながらサブリナの隣に座った。
「また妹?」
「あなたは姉?」
二人は顔を見合わせお互いに頷き合った後、
『ハァ...』
揃って大きなため息を吐いたのだった。
ミシェルには一つ上に姉が一人居る。名をカミラというその姉は、とにかく高飛車で高慢ちきで支配欲が強いという困った人で、常にミシェルに対してマウントを取りたがる。
「アンタは妹なんだから姉である私に絶対服従を誓うのよ!」「アンタの物は私の物。私の物は私の物なのよ? いいわね? 分かったわね?」
こんな調子でミシェル自身のことを、ミシェルの持ち物までをも支配下に置こうとする。そんな姉の暴挙にはとても耐えられないと両親に抗議しても、
「我慢しなさい」
「お前は何れ嫁に行く身だが、カミラは婿を取り我が子爵家を継ぐ身だ。将来の家長に対して逆らうことは許されないと、今の内から骨身に叩き込んでおきなさい」
そんな良く分からない理屈で煙に巻くだけで姉を窘めたりはしない。昨日もお気に入りのイヤリングを姉に奪われた。
「あなたが妹だったら...」
「あなたが姉だったら...」
交換したい...
二人はお互いに心の底からそう思っていたのだった。
王立学園のお昼休み、伯爵令嬢のサブリナは中庭のベンチに座って、もう何度目になるか分からないため息を吐いていた。
彼女には一つ下に妹が一人居る。名をコリンナというその妹は、末っ子ということもあり両親から甘やかされて育った。その結果、
「お姉ちゃんばっかりズルい! アタシも一緒に行く!」「お姉ちゃん、それ欲しい! アタシに頂戴!」
このように我が儘放題な娘になってしまった。どこへ行くにもサブリナの後を付いて回り、サブリナが買って貰った物をなんでも欲しがる。姉として窘めるとすぐ両親に泣き付く。妹に甘い両親は、
「お姉さんなんだから我慢しなさい」
「お前は長女だから婿を取り我が伯爵家を継ぐ身だが、コリンナは何れ嫁として我が家を出て行く身だ。我が儘言えるのも今の内だけなんだから、少しくらい許してあげなさい」
いつもこんな感じで逆にサブリナの方が窘められてしまう。昨日もお気に入りだったドレスを妹に奪われた。その内、サブリナの持ち物は全て妹に奪われてしまうかも知れない。
「ハァ...」
もう一度サブリナが長い長いため息を吐いた時、
「あら? どうしたのサブリナ? 浮かない顔しちゃって」
クラスメートで隣の席の子爵令嬢ミシェルが話し掛けて来た。
「そう言うあなただって冴えない顔してるじゃないの」
「アハハ...分かっちゃう?」
ミシェルは苦笑しながらサブリナの隣に座った。
「また妹?」
「あなたは姉?」
二人は顔を見合わせお互いに頷き合った後、
『ハァ...』
揃って大きなため息を吐いたのだった。
ミシェルには一つ上に姉が一人居る。名をカミラというその姉は、とにかく高飛車で高慢ちきで支配欲が強いという困った人で、常にミシェルに対してマウントを取りたがる。
「アンタは妹なんだから姉である私に絶対服従を誓うのよ!」「アンタの物は私の物。私の物は私の物なのよ? いいわね? 分かったわね?」
こんな調子でミシェル自身のことを、ミシェルの持ち物までをも支配下に置こうとする。そんな姉の暴挙にはとても耐えられないと両親に抗議しても、
「我慢しなさい」
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そんな良く分からない理屈で煙に巻くだけで姉を窘めたりはしない。昨日もお気に入りのイヤリングを姉に奪われた。
「あなたが妹だったら...」
「あなたが姉だったら...」
交換したい...
二人はお互いに心の底からそう思っていたのだった。
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