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28 (ギルバート視点2)
しおりを挟む「ギルバート、お連れの方は?」
「あぁ、アンリエットなら挨拶回りに忙しく動き回っているよ」
「まぁ! パートナーであるあなたを放っておいて!? 信じられないわ!」
「仕方ないさ。彼女の立場からしたら、僕なんかより社交の方が重要だからね」
僕は自嘲気味にそう言った。
「えっ!? 待って、それってどういうこと!?」
僕はキャロラインに僕とアンリエットとの関係を説明した。
「なんてこと...ギルバート、あなたって不憫ね...」
黙って聞いていたキャロラインは、そう言って僕に寄り添って来た。キャロラインの甘い香水の匂いが僕を包む。
「不憫だって!? 僕は自分の立場に納得しているよ?」
キャロラインは同情するような目で見て来るが、僕はそんなこと思っていない。一体キャロラインはなにを言っているんだ?
「可哀想に...そう思い込むことで自分を慰めているのね...大丈夫よ。私は良く分かってるから。今夜は私があなたを慰めてあげるわ」
そう言ってキャロラインは僕を抱き締めて来た。甘い香水の匂いが更に強烈になり、僕の頭はクラクラする。
「きゃ、キャロライン!? な、なにを!?」
「いいのよ。身も心も私に委ねなさいな」
キャロラインの声が耳元で響く。僕の胸はドキドキが止まらない。段々と思考が止まって行く。もうキャロラインのことしか考えられない。
「だ、だがキャロライン、き、君のパートナーは!?」
「あぁ、いいのよ。あんな退屈な人、放っておいて構わないわ。そんなことより、ねぇ? 二人で抜け出さない?」
「ぼ、僕は...」
その夜、僕とキャロラインは男女の関係になった。
◇◇◇
「ギルバート、体の方はもういいの?」
「あ、あぁ、ありがとう。心配掛けたね。もう大丈夫。大分良くなったよ」
翌日、アンリエットに聞かれた僕はちょっとだけ焦った。昨夜の夜会では体の具合が良くないからとアンリエットにウソを吐き、先に帰ると言ってキャロラインと一緒に帰ったからだ。
「そう。無理だけはしないでね?」
「あぁ、そうするよ」
僕は何も知らずに心配してくれるアンリエットの顔をマトモに見られず、顔を背けてそう言った。
その時、アンリエットの机の上に置いてある本が目に付いた。
「アンリエット、この本はなに?」
「あぁ、それ? ウチの出版社から出しているベストセラー小説よ。良かったら読んでみる?」
「いいのかい? それじゃ遠慮なく」
そしてその本『真実の愛は永遠なり』との出会いが、僕を破滅へと誘う二歩目になるのだった。もちろんその時の僕は、そんなこと思いもしなかった。
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