我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

文字の大きさ
81 / 276

81

しおりを挟む
 私の予想通り、次の日からエリザベートは事ある毎に我が家へとやって来ては、兄に纏わり付くようになって行った。

 さすがに婚約者の居る身でありながら、こんな頻繁に他の男の元へ通うのは外聞が悪いだろう。

 エリザベートにそう注意したのだが、あくまでも表向きは「お兄様とお似合いになりそうな令嬢の釣書を持って来た」という体にしているのでなにも問題はないとの一点張りである。

 そして今日も今日とて「お兄様~♪」と完全に目をの中をハートマークにしながら兄に纏わり付いている。だからお兄様呼びは止めれ!

 兄は顔を強ばらせながらも辛抱強く応対している。少しは対人関係に進歩が見られたようでなによりだ。その点だけはエリザベートに感謝しよう。

 私は私で、お世話になった人達の挨拶回りに忙しかった。特にもう一人の友人であるケイトリンには寂しがられた。

 ケイトリンには私が居なくなった後、エリザベートが暴走しないようにストッパーとなって貰うことと、兄にお似合いの令嬢を紹介して欲しいと頼んでおいた。どちらも快く承諾してくれたので一安心だ。

 それから出版社で業務の引き継ぎを行った。今まで兄の正体を明かさなかったことで「せめて自分達には教えて欲しかった」など恨み節を言われたが、そこら辺はこっちの事情もあるんだから勘弁して欲しい。

 そうこうしながら約一ヶ月、兄に業務の引き継ぎと教育を施し、そろそろ大丈夫だろうと判断した私は、明日領地に旅立つことを決めた。

 私に同行するのはアランだ。最初はセバスチャンが付いて行きたいと言ってくれたが私が断った。

 まだ慣れない兄の補佐が出来るのは、セバスチャンをおいて他には誰も居ないからだ。私に付いてセバスチャンまでこの屋敷を離れたら、恐らく兄は大変な目に遭うこととなるだろうからそれは避けたかった。

 それにアランも大分執事として成長したみたいだし、セバスチャンが居なくてもなんとかなるだろうと判断した。セバスチャンはまだまだ不安そうだったが。

 そして出発の日、見送りにはエリザベートとケイトリンも来てくれた。今生の別れでもないのに号泣しているエリザベートに苦笑しながらも、皆一人一人と挨拶を交わし笑顔で旅立った。


◇◇◇


 領地までは馬車で約2日掛かる道程だ。

「お嬢、今日はこの町で一泊しようか?」

 そろそろ日が暮れる頃合いになって、御者席から顔を覗かせたアランが街道近くにある町を指差す。

「そうね。ちょうど良い時間だし」

 急ぐ旅ではないから野宿などという危険は冒さない。私達は町のホテルに泊まることにした。

 ホテルに着いて宿泊名簿に記入していると、いきなり横から声を掛けられた。

「アンリエット!? もしかしてアンリエットじゃないのか!?」

「えっ!? あ、あなたはウィリアム!?」

「そうだよ! いやぁ、懐かしいな!」

 そこに居たのは私の幼馴染みのウィリアムだった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜

くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。 味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。 ――けれど、彼らは知らなかった。 彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。 すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、 復讐ではなく「関わらない」という選択。 だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った

Mimi
恋愛
 声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。  わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。    今日まで身近だったふたりは。  今日から一番遠いふたりになった。    *****  伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。  徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。  シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。  お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……  * 無自覚の上から目線  * 幼馴染みという特別感  * 失くしてからの後悔   幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。 中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。 本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。 ご了承下さいませ。 他サイトにも公開中です

捨てられたなら 〜婚約破棄された私に出来ること〜

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
長年の婚約者だった王太子殿下から婚約破棄を言い渡されたクリスティン。 彼女は婚約破棄を受け入れ、周りも処理に動き出します。 さて、どうなりますでしょうか…… 別作品のボツネタ救済です(ヒロインの名前と設定のみ)。 突然のポイント数増加に驚いています。HOTランキングですか? 自分には縁のないものだと思っていたのでびっくりしました。 私の拙い作品をたくさんの方に読んでいただけて嬉しいです。 それに伴い、たくさんの方から感想をいただくようになりました。 ありがとうございます。 様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。 ただ、皆様に楽しんでいただけたらと思いますので、中にはいただいたコメントを非公開とさせていただく場合がございます。 申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。 もちろん、私は全て読ませていただきますし、削除はいたしません。 7/16 最終部がわかりにくいとのご指摘をいただき、訂正しました。 ※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。

<完結> 知らないことはお伝え出来ません

五十嵐
恋愛
主人公エミーリアの婚約破棄にまつわるあれこれ。

断罪の準備は完璧です!国外追放が楽しみすぎてボロが出る

黒猫かの
恋愛
「ミモリ・フォン・ラングレイ! 貴様との婚約を破棄し、国外追放に処す!」 パルマ王国の卒業パーティー。第一王子アリオスから突きつけられた非情な断罪に、公爵令嬢ミモリは……内心でガッツポーズを決めていた。 (ついにきたわ! これで堅苦しい王妃教育も、無能な婚約者の世話も、全部おさらばですわ!)

恋人に夢中な婚約者に一泡吹かせてやりたかっただけ

恋愛
伯爵令嬢ラフレーズ=ベリーシュは、王国の王太子ヒンメルの婚約者。 王家の忠臣と名高い父を持ち、更に隣国の姫を母に持つが故に結ばれた完全なる政略結婚。 長年の片思い相手であり、婚約者であるヒンメルの隣には常に恋人の公爵令嬢がいる。 婚約者には愛を示さず、恋人に夢中な彼にいつか捨てられるくらいなら、こちらも恋人を作って一泡吹かせてやろうと友達の羊の精霊メリー君の妙案を受けて実行することに。 ラフレーズが恋人役を頼んだのは、人外の魔術師・魔王公爵と名高い王国最強の男――クイーン=ホーエンハイム。 濡れた色香を放つクイーンからの、本気か嘘かも分からない行動に涙目になっていると恋人に夢中だった王太子が……。 ※小説家になろう・カクヨム様にも公開しています

婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。

パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。

処理中です...