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「そ、それは...虫刺されじゃなかったのか...」
「あぁ、ウィリアムに聞いたのね? 面倒だから彼にはそう伝えていたのよ」
「そうだったのか...」
「でも実際は違うの。元婚約者だった人には将来を誓い合った女が別に居てね、その女が私に嫉妬して切り付けて来たのよ」
事実とは若干異なるが、全くのウソという訳でもない。実際、クリフトファー様とは婚約一歩手前まで行ってた訳だし。
ギルバートやキャロラインのことまで語り出すとややこしくなると思ったんで、そこら辺は端折らせて貰うことにした。これくらいはいいよね?
「そうだったのか...大変な目に遭ったんだな...だがそのせいでアンリエットが婚約破棄されるなんておかしくないか? 相手の男は責任持ってアンリエットを娶るべきなんじゃないのか? 顔に傷が付いたってことだけで女を捨てるなんて! 許せない! 男の風上にも置けんヤツだ! そもそもその男のせいでアンリエットは傷付いたんだろう? だったら責任を取って然るべきじかないのか?」
なんだかパトリックがヒートアップしてしまった。どうやら彼の正義心を刺激してしまったらしい。
「パトリック、ちょっと落ち着いてちょうだいな。婚約破棄を持ち出したのは私の方からなんだから」
「なんだって!? アンリエットの方から身を引いたっていうのか!? なんでまたそんなことを!? アンリエットはなにも悪くないじゃないか!」
「逆に聞くけどパトリック、そんな女がいるって時点で百年の恋も冷めるって思わない? あなたならそんな相手でも好きになれるっていうの?」
「そ、それは...確かに...」
「でしょう? 一人の女を隠していたなら他にもう一人や二人隠していたっておかしくないと思わない? 今回はこの程度の傷で済んだから良かったようなものの、次は別の女に今度は命を狙われるかも知れない。そんな目に遭うのなんて真っ平ゴメンよ」
まぁ実際の所、クリフトファー様は別にスカーレットのことを隠していた訳でもなんでもないんだけどね。あれは完全にスカーレットっていう狂った一人の女の八つ当たりでしかなかったんだから。そして実は既に命を狙われた後なんだけどね。
まぁでもパトリックを納得させるためには、申し訳ないけどクリフトファー様に最低な男を演じて貰うしかない。
「有り得る話だな...」
「それにねパトリック、さっきあなた責任を取るべきだって言ったわよね? 冗談じゃないわよ。そんな気持ちで結婚されたって長続きする訳ないじゃないの」
これは私の本心だ。責任を迫って結婚を強いるのも、責任を取って結婚して貰うのもどっちも本意じゃない。
「あぁ、ウィリアムに聞いたのね? 面倒だから彼にはそう伝えていたのよ」
「そうだったのか...」
「でも実際は違うの。元婚約者だった人には将来を誓い合った女が別に居てね、その女が私に嫉妬して切り付けて来たのよ」
事実とは若干異なるが、全くのウソという訳でもない。実際、クリフトファー様とは婚約一歩手前まで行ってた訳だし。
ギルバートやキャロラインのことまで語り出すとややこしくなると思ったんで、そこら辺は端折らせて貰うことにした。これくらいはいいよね?
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なんだかパトリックがヒートアップしてしまった。どうやら彼の正義心を刺激してしまったらしい。
「パトリック、ちょっと落ち着いてちょうだいな。婚約破棄を持ち出したのは私の方からなんだから」
「なんだって!? アンリエットの方から身を引いたっていうのか!? なんでまたそんなことを!? アンリエットはなにも悪くないじゃないか!」
「逆に聞くけどパトリック、そんな女がいるって時点で百年の恋も冷めるって思わない? あなたならそんな相手でも好きになれるっていうの?」
「そ、それは...確かに...」
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