我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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「確かにその通りだな...アンリエット、済まん...どうやら俺が無遠慮過ぎたようだ...」

「気にしないで。パトリックが悪い訳じゃないんだから。それにね、嬉しかったわよ? 私のために怒ってくれたんでしょう?」

「そ、そりゃあ...まぁ...アンリエットは大事な...その...幼馴染みな訳だしな...怒るのは当然だろ?」

「ありがとうね」

「お、おぅ...」

 ん? どうしたんだ、パトリック? 顔が茹で蛸みたいに真っ赤になってんぞ?

「あぁそうそう、パトリック。今日の話は口外しないでね? 面白おかしく噂されたくないからさ」

「あぁ、無論だ。決して口外しないと約束する。それでこれからアンリエットはどうするつもりなんだ?」

「ハンスに代わって領地経営をするつもりよ。もう引き継ぎも始めてるの。いい加減、ハンスを隠居させてあげないとね」

「そうか...」

 そこで今まで黙っていたハンスが口を挟む。

「お嬢様、差し出がましいようですが...このハンス、まだまだ現役を続けられますぞ? 朦朧なんてしておりませんからな」

 私は苦笑しながら、

「分かってるわよ。物の例えよ。本気に取らないで頂戴な。相変わらずハンスには冗談が通じないんだから。ねぇ、パトリック?」

「......」

「パトリック? どしたん?」

「あ、あぁ、いや、なんでもない...確認なんだが...ということは今、アンリエットには相手が居ないってことでいいんだよな?」

「相手? 結婚相手ってこと?」

「あぁ、そうだ」

「居ないわよ。今もこれからもずっとね。私は仕事に生きることにしたんだから」

「一生独身で居るつもりか?」

「そうだけど?」

「だったらその...良かったら俺の嫁さんになってくれないだろうか?」

「......」

「アンリエット?」

 ハッ! いかんいかん! トリップしていた! なんだって!? 今、パトリックはなんて言った。嫁さん!? 嫁さんって...

 パトリックの言葉を脳が意識した瞬間、私は顔の熱が急上昇したのを感じた。きっと私の顔は今、間違いなくさっきのパトリックみたいな茹で蛸状態になっていると思う。

「ちょ、ちょっと! い、いきなりなに言い出すのよ!」

「俺は本気だ。アンリエット、子供の頃からずっと好きだった」

「ちょっと待ってちょっと待ってパトリック! それは私もだけど、だからと言っていきなりその...ぷぷぷぷプロポーズって!?」

 私は混乱の極みにあり、なにを言っているのか自分でも良く分かってなかった。だってこんな急展開予想してないんだから仕方ないじゃん!
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