我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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 エリザベートはそんな私とアランのやり取りをポカンと眺めていた。

 そしてアランが出て行った後、

「なんだかアンタ達、仲良いのね...主と使用人っていうより、どっちかというと気の置けない仲間みたいな雰囲気を感じたわ...」

「あぁ、そっか。エリザベートには話してなかったわね」

 私はアランを拾った経緯を話して聞かせた。

「そんなことがあったのね...」

「えぇ、だからアランはこういった裏の事情に精通しているの。使い勝手が良くて便利よ?」

「便利って...」

 うん!? エリザベートがなんか微妙な顔してるな。表現の仕方間違えたかな!?

「それよりさっきも言ったけど、あんまり期待しないでね? これはあくまでも普通の悪党が辿るかも知れないっていうルートなんだから。クリフトファー様に当て嵌まるかどうかは未知数よ?」

 寧ろ当て嵌まらない可能性の方が高いような気がするよね。

「分かってるわ...なにか他の手も考えておかないとね...」

「考えでもあんの?」

「う~ん...バカ兄の食い付きそうなエサを撒くのが一番なんだろうけど...そんな都合の良いものなんかそうそうあるとも思えないしなぁ...」

 すると考え込んでいたエリザベートの目が私を捉えた。そしてポンッと手を叩いた。

「ねぇ、アンリエット」

「イヤよ。お断り」

 私は皆まで言わせなかった。エサになるなんて冗談じゃない!

「まだなにも言ってないじゃない...」

「言わなくたってアンタの考えてることなんか丸分かりだっての。アンタと何年付き合って来たと思ってんのよ」

「さすがは親友」

「やかましゃあ! 親友だと思ってんなら尚更じゃ! 危険な目に遭わせようとすんなや!」

「そこをなんとか...」

「しつこい!」

 アランから屋敷の外に出るなって言われてんだ! 梃子でも動くもんかい!


◇◇◇


 その後もエリザベートに粘られたが、私がガンとして首を縦に振らないと見るや、諦めたのか自分の連れて来た使用人と共に、クリフトファー様を探しに町へと向かって行った。

 ちょうどそれと入れ違いになる形でアランが戻って来た。

「お帰り。首尾はどうだった?」

「ん~...客を装おってさりげなく聞き込みしてみたり、金を握らせて聞き出そうとはしてみたんだけどねぇ~ やっぱ口が堅いわ~ 特にこれと言った情報は手に入らなかったよ~」

「そう...ご苦労様」

「エリザベート嬢は?」

「当て所もなく町へ探しに行ってるわ」

 そこで私はさっきのやり取りをアランに聞かせた。

「エサを撒くか...うん、それ良いかも知んない」

「ハァッ!?」
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