我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

文字の大きさ
160 / 276

160

しおりを挟む
「エリザベート、私怖いんだけど...」

 私の体は恐怖からか小刻みに震えてしまっていた。

「大丈夫よ。心配しないで。あなたには指一本触れさせたりなんかしないから。約束するわ。ね?」

 そんな私の体をエリザベートは優しくそっと抱き締めてくれた。

「うん...」

 エリザベートの温もりに触れたことで、安心したのか私の体の震えは徐々に収まって来た。

「それでカイル、他の二人は?」

「ネオとリックは念のため、この屋敷の周りを警戒中です」

「そう。引き続き警戒するように言って頂戴」

「分かりました」

「それとあなたも屋敷周りの警戒に参加してくれる?」

「よろしいのですか?」

「アンリエットには私がずっと付いてるから心配要らないわ」

「承知しました」

 エリザベートは私の体を抱き締めたままカイルに指示を下している。ちなみにネオとリックというのは、隠密衆残りの二人の名だと後でエリザベートが教えてくれた。


◇◇◇


「お嬢様、ただいま戻りました」

「お嬢、なんだか大変なことになってるみたいだな」

 ややあって国の査察官の所に行っていたハンスとアランが戻って来た。どうやら事情はウチの周りを警戒中の隠密衆に聞いたらしい。

「二人ともゴメンなさいね...ウチの身内が迷惑ばっかり掛け続けちゃって...」

「あぁいやいや、それはエリザベート嬢が謝ることじゃないんだから別にいいんだけどさ。というか、エリザベート嬢は何しに来たの?」

「それは...今回の件にケリが付いてからゆっくり話すわ」

 アランの核心を突いた質問に、思わず私はエリザベートの胸に顔を埋めたまま固まってしまった。

「ふうん、良く分かんないけどまぁいいや。取り敢えず俺も屋敷周りの警戒に加わることにするよ」

「では私はお嬢様方のお側に居ります」

「二人ともありがとう。そうしてくれると助かるわ」

 アランが部屋を出て行ったのを確認してから、ようやく震えが収まった私はエリザベートの腕の中から離れた。

「アンリエット、大丈夫?」

「ありがとう。もう大丈夫よ。あぁハンス、ウィリアムとマックスにも屋敷の外に出ないよう伝えて貰える?」

「畏まりました」

「それと念のため、エリザベートに何か武器を用意してやって頂戴」

「あら? 私なら徒手空拳でも平気よ?」

 エリザベートはその場でシャドーボクシングを始めた。それを見た私は苦笑しながら、

「あなたそれ、嫁入り前の娘がやる仕草じゃないからね?」

「問題無いわ。もうすぐウチの旦那になる予定のベンジャミンには既にバレてるから」

 エリザベートは全く悪びれることなくそう言い切った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜

くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。 味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。 ――けれど、彼らは知らなかった。 彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。 すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、 復讐ではなく「関わらない」という選択。 だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った

Mimi
恋愛
 声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。  わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。    今日まで身近だったふたりは。  今日から一番遠いふたりになった。    *****  伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。  徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。  シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。  お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……  * 無自覚の上から目線  * 幼馴染みという特別感  * 失くしてからの後悔   幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。 中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。 本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。 ご了承下さいませ。 他サイトにも公開中です

捨てられたなら 〜婚約破棄された私に出来ること〜

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
長年の婚約者だった王太子殿下から婚約破棄を言い渡されたクリスティン。 彼女は婚約破棄を受け入れ、周りも処理に動き出します。 さて、どうなりますでしょうか…… 別作品のボツネタ救済です(ヒロインの名前と設定のみ)。 突然のポイント数増加に驚いています。HOTランキングですか? 自分には縁のないものだと思っていたのでびっくりしました。 私の拙い作品をたくさんの方に読んでいただけて嬉しいです。 それに伴い、たくさんの方から感想をいただくようになりました。 ありがとうございます。 様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。 ただ、皆様に楽しんでいただけたらと思いますので、中にはいただいたコメントを非公開とさせていただく場合がございます。 申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。 もちろん、私は全て読ませていただきますし、削除はいたしません。 7/16 最終部がわかりにくいとのご指摘をいただき、訂正しました。 ※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。

<完結> 知らないことはお伝え出来ません

五十嵐
恋愛
主人公エミーリアの婚約破棄にまつわるあれこれ。

断罪の準備は完璧です!国外追放が楽しみすぎてボロが出る

黒猫かの
恋愛
「ミモリ・フォン・ラングレイ! 貴様との婚約を破棄し、国外追放に処す!」 パルマ王国の卒業パーティー。第一王子アリオスから突きつけられた非情な断罪に、公爵令嬢ミモリは……内心でガッツポーズを決めていた。 (ついにきたわ! これで堅苦しい王妃教育も、無能な婚約者の世話も、全部おさらばですわ!)

恋人に夢中な婚約者に一泡吹かせてやりたかっただけ

恋愛
伯爵令嬢ラフレーズ=ベリーシュは、王国の王太子ヒンメルの婚約者。 王家の忠臣と名高い父を持ち、更に隣国の姫を母に持つが故に結ばれた完全なる政略結婚。 長年の片思い相手であり、婚約者であるヒンメルの隣には常に恋人の公爵令嬢がいる。 婚約者には愛を示さず、恋人に夢中な彼にいつか捨てられるくらいなら、こちらも恋人を作って一泡吹かせてやろうと友達の羊の精霊メリー君の妙案を受けて実行することに。 ラフレーズが恋人役を頼んだのは、人外の魔術師・魔王公爵と名高い王国最強の男――クイーン=ホーエンハイム。 濡れた色香を放つクイーンからの、本気か嘘かも分からない行動に涙目になっていると恋人に夢中だった王太子が……。 ※小説家になろう・カクヨム様にも公開しています

婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。

パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。

処理中です...