我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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178 (第三者視点10)

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「アラン、具合はどう?」

「あぁ、エリザベート嬢。ご覧の通り、ミイラ男状態だよ」

 アランは苦笑しながら自分の体を見下ろした。頭の先から爪先まで包帯塗れになっている様は、確かにミイラ男を彷彿とさせる。

「アラン...大丈夫? 痛くない?」

 エリザベートの肩越しに覗き込んだアンリエットが心配そうに声を掛ける。

「お嬢も来てくれたんだ」

「うん...それでどう? まだ痛む?」

「まぁ、確かに痛いことは痛いけどさ、幸いなことにどこも骨折はしてないみたいだから、回復は早そうだって医者は言ってたよ」

「そう...良かったわ...不幸中の幸いね...」

 アンリエットはホッと胸を撫で下ろした。

「それでね、アラン。こんな時になんなんだけど、私からとある提案があるのよ。良かったら聞いて貰えないかしら?」

「なに? 改まって?」

「単刀直入に言うわね。あなた、貴族になる気はない?」

 エリザベートが鋭く切り込んだ。アンリエットは緊張した表情を浮かべている。

「ほへ!?」

 アランはなんとも間の抜けた返事を返した。

「貴族になる気はない?」

 エリザベートはアランが理解できていないと判断して繰り返した。

「き、貴族ぅ!? お、俺がぁ!? な、なんでぇ!?」

 ようやく理解したアランがすっとんきょうな声を上げる。

「貴族になれば身分的にアンリエットと釣り合うでしょう? そうすれば堂々とアンリエットに告白して結婚できるようになるわよ?」

「コココクハク~!? ケケケケッコン~!?」

 アランの言語機能が深刻なダメージを受けたようだ。

「あんたはニワトリか」

 思わずエリザベートは苦笑した。その隣でアンリエットはトマトよりも真っ赤っかになって俯いていた。

「ちょっと! ちょっと待って! ダメだ! 脳に理解が追い付かない! なんだか訳分かんない! あ痛ててて!」

 無意識に頭を抱えようとしたアランは、途端に痛みに気付いて悶絶した。

「アラン、無理しないで? いきなりこんなこと言われて混乱するのは分かるけど、少し冷静になって考えてみて? あなたにとって悪い話じゃないはずよ?」

「うぅ...」

 アランが呻いたのは怪我の痛み故か、それとも内心に吹き荒れる感情の嵐故だろうか。あるいはその両方なのかも知れないが。

「まぁでもまずは、怪我を治すのが先決かしらね。しばらくは安静にしてなさい。その間に考えといて?」

「...分かった...」

 アランは放心したように頷いた。

「それじゃあお大事に。アンリエット、行くわよ?」

「うん...アラン、お大事に...」

 アンリエットはまだ真っ赤になった顔のまま頷いた。



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