我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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212 (第三者視点3)

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 幸いなことに部屋は空いていたので、アランとパトリックは無事に宿を取ることが出来た。

 部屋に入ってお互いに一息付いた頃、パトリックがアランの部屋を訪ねて来た。

「...アラン、ちょっといいか?」

「どうした?」

「...あぁ、その...聞いておきたいことがあってな...」

 なにやらパトリックは言い辛そうにしている。

「なにを?」

 アランが訝しむ。

「...このホテルで会った時、マーガレットとウィリアムはどんな感じだった?」

「あぁ、そういうことか」

 アランは合点がいった。

「やっぱり気になるのか?」

「...まぁ...な...マーガレットの話を信じてない訳じゃないんだが...マックスが本当に俺の子かどうか...ハッキリさせておきたくてな...」

「なるほど...」

 アランはちょっと考え込んだ後、

「正直に言っていいか?」

「...あぁ...頼む...」

「仲睦まじいカップルに見えた」

「...そうか...」

 パトリックは目を閉じて考え込んでしまった。

「いいかパトリック、これはあくまで俺の主観だからな? 実際どうだったかなんて分からないんだぞ?」

 アランは少しでも慰めるようにそう言った。

「...あぁ、分かってる...ありがとう...」


◇◇◇


 次の日、馬車は元ヘンダーソン領には直行せず、まずはアンリエットの実家があるフィンレイ伯爵領に立ち寄った。

 ハンスに挨拶するためである。

「親父っさん、連絡ありがとう」

「あぁ、アランか。お前さんも一緒だったのか」

「まぁな。お嬢の命令だ。パトリックを一人にさせられないってな」

「なるほど、そういうことか」

「...ハンス殿、迷惑掛けて済まない...」

 パトリックはハンスを敬称を付けて呼んだ。もう貴族ではないという事実を如実に表している。

「いえ、別に構いませんが...パトリック殿もなにかと大変ですな...」

「親父っさん、それで今はどういった状況なんだ?」

「手紙に書いた通りだ。マーガレット嬢は国の保護施設で治療を受けている。心と体に深刻なダメージを負ったみたいでな」

「具体的には?」

「何者かに長い間監禁されていたらしい」

 アランとパトリックはビックリして思わず顔を見合わせた。

「...マーガレットは昔の男にストーキングされていると言っていた...ソイツの仕業かも知れないな...」

「そうなのか...」

 アランは重々しく頷いた。

「親父っさん、その保護施設の場所は?」

「ここだ」

 ハンスは住所を書いたメモをアランに渡した。

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