我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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214 (第三者視点5)

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「ううん...」

 その時、マーガレットが薄目を開けた。どうやら薬が切れたらしい。虚ろな瞳が辺りを彷徨った後、パトリックの姿を映した所で止まった。

「あぁっ! ウィリアム! 来てくれたのね!」

 どうやらパトリックのことをウィリアムと勘違いしているらしい。マーガレットは包帯塗れの顔に笑顔を浮かべた。

 訂正しようとしたパトリックだったが、次のマーガレットの言葉で固まってしまった。

「あなたってちっとも来てくれないんですもの! マックスが寂しがっているのよ? 父親なんだからちゃんと自覚持ってよね!」

「...本当に俺の子なのか?」

 パトリックはウィリアムのフリをすることにした。

「当たり前じゃない! あなた以外はしっかり避妊してたんだから! あなたの子で間違いないわよ!」

「...そうか...」

「あら? ここはどこ? 私なんで縛り付けられてんの?」

 マーガレットはキョロキョロと辺りを見回して自分の体の状態を確認した。

「...記憶が混乱しているようです...」

 所長がコソッと囁いた。

「...マーガレット、ここは病院だ。お前は怪我をしたんだよ。だから治療をしている最中なんだ」

 パトリックは諭すように説明した。

「そうなのね。マックスはどこに居るの?」

「...マックスなら心配ない。俺が保護している。だからお前は安心してゆっくり休め」

「分かったわ。まだちょっと眠いし...zzz」

 マーガレットは言い終わる前に眠りに落ちた。パトリックはその姿を痛ましそうに見詰めていた。

「...そろそろ時間ですので...」

 すると所長が申し訳無さそうにそう囁いた。

「...分かりました...」

 パトリックは名残惜しそうに病室を後にした。

「...所長さん、マーガレットはやはり...」

 病室を出た所でパトリックが重々しく尋ねた。

「...えぇ、記憶障害を引き起こしていると思われます...」

「...記憶障害...」

「...恐らくですが、記憶が退行しているのではないかと...」

「...退行ということは...」

「...幸せだった頃の記憶に退避している状態だと思われます...そうしないと心が壊れてしまうくらい酷い目に遭わされたということでしょう...」

「...するとさっき言っていたことは...」

「...えぇ、実際にあった記憶だということになります...」

「...そうですか...」

 パトリックは遠い目をしながらそう呟いた。

「パトリック...」

 アランはなんて声を掛けて良いものやら言葉に詰まった。

 
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