我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します！

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「ウィリアム、今日はウチに泊まっていきなさいよ?」

　私は、遊び疲れて眠ってしまったマックスの体に毛布を掛けてあげながらそう言った。

「いいのか?」

「えぇ、マックスを起こすのも可哀想だし」

「済まない」

「気にしないで。セバスチャン、居る?」

「はい、ここに」　

「ウィリアムとマックスを泊めるから部屋を用意してあげて?」

「畏まりました」

　ウィリアムが寝ているマックス起こさないように注意しながら抱き上げ、セバスチャンの後に続いて行ったのを見送った私は、

「フゥ...」

　と長い息を吐きながら、すっかり冷めてしまったお茶を口に運んだ。


◇◇◇


「ねぇアンリエット、なんか子供の泣き声が聞こえたんだけど?」

　ウィリアム達と入れ違うようにエリザベートがやって来た。

「あぁ、それは」

「あなたまさか!?」

　なにを勘違いしたのか、エリザベートのアホが私の下腹部を凝視して来やがった。

「んな訳あるかい!」

　揶揄ってるんだというのは頭では分かってたけど、気付いたら私は思わず叫んでしまっていた。

「一体いつの間に!?　父親は誰なの!?　アランはこのこと知ってるの!?」

「いやだから聞けよ!」

「あぁ、なんてこと...私はあなたをそんな娘に育てた覚えは無いわよ...」

「さてはお前、話を聞く気ねぇな!」

「ヨヨヨ～...」

「喧しいわ!」

　全くもう...コイツは...


◇◇◇


「なあんだぁ～ そういうことだったのねぇ～」

「だから最初っからそう言って...って、もういいや...どうせわざとやってんだろ...」

　私はすっかり疲れ切ってしまった。

「あ、バレた?　テヘペロ♪」

　コイツは...

「ハァ...用が済んだんならお前もう出てけよ...つ～か、なにしに来たんだよ...バカ兄と乳繰り合ってんじゃなかったのかよ...」

「それがねぇ～ ハニーがちょおっちお疲れみたいなのよねぇ～」

「やり過ぎだっての...少し控えろよ...バカ兄早死にすんぞ...」

　私は頭を抱えた。コイツは絶対サキュバスだと思う。

「そうするわ～ 私、一旦ウチに帰るわね～」

「はいはい...」

　私は塩でも撒いてやろうかと本気で思った。


◇◇◇


　アランとパトリックが戻って来たのは次の日だった。

「お嬢、ただいま」

「お帰り。どうだった?」

「それが...」

　アランが珍しく口ごもった。そして隣に立っているパトリックは、辛そうな表情を浮かべて唇を噛んでいた。

　これは...どうやら好ましくない展開になったのは間違い無さそうだな...私は固唾を呑んで見守った。