我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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「なにがあったの?」

「それが...」

 アランがなにか言い掛けた時だった。

「パパ~!」

 ドアを勢い良く開けてマックスが駆け寄って来た。

「ま、マックス!? な、なんでここに!?」

 パトリックは躊躇いがちにマックスを抱き上げた。

「俺が連れて来たんだよ。マックスのヤツが愚図っちゃってどうしようもなかったんでな」

 その後ろからウィリアムも現れた。

「ウィリアム...」

「お帰り、兄貴。どうだった?」

「......」

 ウィリアムの問い掛けにパトリックは無言で応えた。

「兄貴?」

「...すまん、ウィリアム。ちょっとだけマックスを連れて外で待っていてくれるか?」

「えっ!?」

 マックスを押し付けるように渡されたウィリアムが狼狽えている。

「...頼むよ...」

「なんだか良く分からんが...分かった...」

 そう言ってウィリアムは「パパ~!」と叫び続けているマックスと共に部屋を出て行った。

「それで?」

 私が改めてそう問い掛けると、今度はパトリックがやっと重い口を開いた。

「実は...」


◇◇◇


 明かされた真実に私は開いた口が塞がらなかった。

「なんてこと...それじゃ初めから騙されていたって訳なのね?」

「...そういうことになるな...」

「こんなこと、とてもじゃないけどウィリアムには明かせないわね...もちろんマックスにも...」

「...あぁ、今更...だよな...」

「パトリック、あなたはこれからどうするつもりなの?」

「...これまで通りマックスの父親を演じるつもりだ...」

「貫き通せそう?」

「...分からない...だがやるしかないと思ってる...」

「分かった...あなたがそう決めたんなら私はもうなにも言わないわ。出来るだけ応援はするからせいぜい頑張りなさい」

「...ありがとう...」

「ところでマーガレットは二度と正気に戻りそうもないの?」

「...あぁ、医者の話では難しいだろうとのことだ...」

「そう...入院費は立て替えてあげるから安心しなさい」

「...重ね重ね本当に申し訳ない...この恩は必ず返すから...」

「気にしないで。乗り掛かった船だからね」

「...済まない...」

「ウィリアムにはどう話すつもり?」

「...マーガレットの状態だけ話すつもりだ...」

「マックスには?」

「...なにも言わない...母親は恋しいだろうが...我慢して貰う...その分、愛情込めて育てるつもりだ...」

「そう...可哀想だけど、その方がマックスのためになるのかも知れないわね...」

 母親の変わり果てた姿なんか見たくないだろうから...

 
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