悪役令嬢の末路

ラプラス

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探し人《夢》【12】

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 「…助かった。礼を言う」

 結局、放っておけなかったアイシアナは青年の脚の傷をきれいに洗い、水気を切った後清潔な布でぐるぐる巻いた。一応応急処置なので、すぐにお医者さんに診てもらったほうが良いだろう。

 「別にいいのよ。そのまま見ないふりをするのも、私の良心が痛むから助けただけで…」
 「それでも、見ず知らずの人間を助けるには勇気がいる。あんたは優しい人だ」
 「ありがとう。ところで、あなたの名前を聞いてもいい?」
 「俺はハルト。山賊だ」
 「へぇ~。山賊ね。山賊かぁ。…ん?山賊?」
 「山賊だが。どうした?」

 青年は平然としている。

 「何か勘違いしているようだが、俺たちは別に近くの村を襲って略奪したりはしてないぞ」
 「え?」
 「俺たちは元々ソンニの出身でな。だが、村の連中は捨て子だなんだと言って、俺らのことを村の住民だと認めない。だから俺らは村を襲いに来る連中を退治しながら山にこもって生活してんだ。村の連中はいけすかねぇが、あの土地は俺らの故郷だからな、仲間が死んでも、俺が死んでも、ずっとこの意思は仲間一人が胸の内に秘めてりゃ、つながってく。俺はこの意思を次の世代にもつないでいくんだ。ずっと先の未来まで」
 「あなた、すごいわね」

 誰かに敵意を向けられたら、逃げたり、自分も相手に敵意を向ける人もいる中、この人は故郷だからという理由で、あの村を守ろうとしている。
 正直、かっこいいと思った。

 「そうだ。あんたの名前、教えてくれよ。恩人の名前聞き逃したなんて、男が廃れちまう」
 「私は、アイシアナ・シュラバス・スコッティング・アリセラ・モゼットよ。アイラって呼んで」
 「おぅ!よろしく。アイラ」
 「ええ。って、忘れてた!ハルト。私ソンニの村に用があって来たの。行かなきゃ!じゃあね!」
 「あ、おいっ!」

 お大事に!
 そう言って、逃げるように山を降りた。

 

 
 あの書類には、いずれソンニの村で起こる大火災の原因解明とあったけれど。それがいつなのか、記載されていなかったわ。
 おまけに、今がいつなのかもわかってない…。もう少し調べたり段取りとって行動しとけばよかった…。

 後悔ばかりが押し寄せてきて、さらに夏の日差しもじりりと追い討ちをかけてくるように暑い。

 少し、あそこの木陰で休んでいこう。
 きっと弱気になるのも、後悔するのも、この暑さのせいだわ。

 だから、きっと少し休んだら頭もスッキリするはず…と、アイシアナは木の根に腰を下ろして目を瞑った。



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