悪役令嬢の末路

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探し人《夢》【11】

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 アイシアナは婆様から渡された資料を読み込んでタイムリープの準備を始めた。

 今回の調査は…。


 「さ、レディ。こっち向いててね」
 「はーい!」

 自分の首にかけられた水晶の首飾りを、今度はレディにかけてやる。
 レディも、もう2歳。自分の行きたいところに歩いて行ける。いろんなことに興味を持って知りたがる年。
 だから、婆様の心配もわかる。

 「これ、レディにあげる」
 「なーに?ママ」
 「お守りよ。婆様が私にくれたものなの。でも、私はもうこのお守りがなくても大丈夫だから、レディにあげるわ。今度は、そのお守りがレディを守るの」
 「まもる?」
 「そう。私がいない間、家のみんなや、このお守りがレディを守るの。だからね…」

 行ってきます。レディ。


 そうして、私は過去へ飛んだ。
 2年前のソンニという村へ。

 時空の中に入ると、未来へ流れていく記憶とは逆方向に向かっていく。

 「いいかい、アイシアナ。わかっていると思うが確認しておくよ。一度過ぎ去った過去を変えてはいけない。もし変えてしまえば、矛盾が発生して現在いま存在しているものは、存在しないものとして、現在から消えることになる。そんなことが起これば、この世は混乱に巻き込まれるであろう。過去に干渉することなく、任務を終えてくるんだ。わかったね」
 「はい」

 過去を変えることも、干渉することもしてはいけない。
 それは、一番初めに婆様から教えられたこと。

 「気を付けていれば、きっと大丈夫…」

 帰ってきたら、家族が消えていませんように。
 アイシアナはただそれだけが心配だった。


 時空から降りると、そこは森の中だった。

 「?」

 そこからしばらく歩いていくと、山小屋のような小さな建物を見つける。
 ちょうど良いところに窓があったから、外から中を覗いてみる。
 中には、黒ずくめの衣装を着た山賊(?)たち。
 だが、どうやら調査には関係なさそうだ。
 ここは、いったん引き上げよう。私は空気…。私は空気…。

 ドサッ。

 こ、今度は何?!

 振り返ってみれば、さっきの山小屋でみた山賊たち(仮)と同じ服を着ている青年が倒れている。どうやら足を怪我しているようだ。
 助けるべきか、助けざるべきか。
 …でも、道に倒れている人を放っておくのは人としての良心が痛む。
 …だからと言って、あんまり過去には干渉したくない。

 でも、でも、でもーー。

 っっ。もう、どうにでもなれ!!

 「大丈夫ですか?!」

 アイシアナは青年に手を差し伸べた。



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