絶死の森で絶滅寸前の人外お姉さんと自由な異世界繁殖生活 転移後は自分のために生きるよ~【R18版】

萩原繁殖

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戦闘訓練・近距離(対ダイオーク)

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「……ではシュレアを探しに行ってくる」

「……ええ、気を付けて」

 次の日。
 爽やかな朝の気温と澄んだ空気。朝光が絶死の森を照らす。

 朝から暗い顔の亜人たち。ちなみに二日酔いはあったけど、浄化で治せた。流石すぎる。だから二人が気落ちしているのは別の理由だ。

「はあ……昨日はしゃぎすぎたわね……」

 頭を抑えため息を吐くベステルタ。

「記憶あるの?」

「ばっちりあるわよ。はぁー、油断してたわ。あんなに美味しくて、酔っぱらうなんて」

「めっちゃ笑ってしげ「それ以上は言わないで」むごっ!」

 ベステルタの岩をも砕く手が優しく僕の口を覆った。意外と柔らかい。しっとりしているけど、ちょっとバチバチいってない? 肌がピリピリするんだけど。いずれにしろ、このまま力入れたらプチトマトだからね。逆らわないぞ。

「ふん、まあいいわ。そんな冗談言える余裕があるならケイには張り切ってもらいましょうか」

「ほ、ほどほどでお願いします」

「ふふふ……楽しみにしてなさい」

 そんなこんなで、ベステルタに連れられ家からしばらく進む。途中からは進むのが遅いということで、ベステルタにおぶられて移動した。ちょっと情けないけど仕方ないよね。レベルが上がればもうちょい速くあるけるのだろうか。

 二十分くらい経ったかな? 安心感ありすぎてうとうとしちゃったよ。電気自動車並みの静かさだ。景色は凄まじいスピードで後ろに流れてるけど。

 やがて森の少し開けた場所で亜人タクシーベステルタ号は停まって僕を降ろした。
 なんか変な臭いがする。鉄っぽいというか。……血生臭い? もしかしてベステルタの日か? そんなこと言ったらぶち転がされるな。

 ……あれ、気のせいかな。木が動かなかった? いや、木じゃないな。黒い……豚?

「ここがダイオークの巣ね。向こうに見えてるのがやつらよ。血生臭いわね」

 嫌そうな顔をして鼻をつまむ。

 いやいや、まてまてまて。百歩譲ってダイオーク? は良いとしよう。物騒な名前だとは思う。木ぐらい大きいのは見間違えだと思い込もう。

「いきなり巣なの!? 集団相手とか無理だよ?」

 もしそうだとしたらスパルタ過ぎる。

「そんなわけないでしょ。釣り出すのよ」

 ベステルタは苦笑する。
 あっぶねえ……。本気で逃げようかと思ったよ。だってこういうのって普通もう少し弱いのと戦うでしょ。スケルトンとかさ。

「じゃあ一匹釣ってくるわ。爪出しときなさい」

 爪ってベステルタソードのことね。

「え、ちょま」

 あぁぁぁ……。行っちゃったよ。

 しぶしぶ鞄からベステルタソードを取り出す。握り手の部分をフレイムベアの毛皮でぐるぐる巻いた簡素なものだ。鍔も無いからつばぜり合いも出来ない。五右衛門スタイルだね。オークとそんなことしたら潰されるだろうけど。

 えっ、なし崩しに始まったけどどうすんの? 何も策とか無いよ。打ち合わせも無かったし。おぶられてる時に相談しておけばよかった。この鋭利すぎる爪剣振ってどうにかなるものなの? これ、振ると風鳴りが半端じゃないんだよね。自分まで切れそうでおっかない。

 どすんどすん……。

 ドシンドシン……。

 森野奥からこちらに向かってくる大きな音。
 もう来たの!? あぁぁぁ! やばい! どうしよう! どうすればいいんだ!

「ブビイイイイィィィ!」

「ひええええ」

 思わず尻餅をついてしまったけど許してほしい。怖すぎる。

 全身が真っ黒で、肩に赤い模様が入った三メートルくらいの豚。地獄の豚だ。顔が凶悪過ぎる。牙が生えて、目まで真っ黒だ。恐ろしい。手にそこら辺で引っこ抜いてきた木を持っている。けっこう速い。

「ブビャッビャッビャッ!」

 黒豚が僕を見て嘲笑う。屈辱だけど、腰に力が入らない。圧倒的だ。フレイムベアよりも相対している時間が長いから余計怖い。手も歯も、全身がカタカタ震えてる。これ、人間が勝てるの?

「何を笑っているのかしら、雑魚豚」

「ブビッ?」

 すく側にベステルタが立っていた。彼女の小指から爪が伸びている。

 シュピッ。

 紙を切るような軽い音がした。

「プッ、プギャアアアア!」

 どすんどすん。

 ドチャッ。

 直後にダイオークの両手が肩から落下し地面に落ちた。慌てて体勢を立て直そうとするも膝から下も寸断されており、胴体も脚から転げ落ちる。

「うっ、うっわ」

 黒い大きな肉の塊がのたうち回っている。グロすぎるよ。

「フン。豚ごときが、嘲笑うなんて不快だわ」

  不機嫌そうにダイオークを睥睨する。

「さっ、ケイ。この豚やっちゃいましょうか」

 晴れやかな笑顔で言った。爪がまだ血濡れなんだけど?

「もうほとんどやっちゃってない?」

「まだ生きてるでしょ? まずは止め刺すところからよ。スッと行って、ドンよ」

「プギィィッ! プギィィンンンッ!」

 ひたすら叫びまくるダイオーク。さすがに憐れに見えてきた。これに止め刺すのか……。

「一応言っておくけど、こいつら放っておいたら際限なく増えていくし、人間にしたらそれなりに脅威らしいわよ? 女子供さらっていくしね」

 僕に踏ん切りが付くように後押ししてくれた。それなら、しかたない、やるか。単純だけど自分以外のところに理由を見出だせると、躊躇いは無くなるものだ。

 えいっ。

 その後、ベステルタが釣ってきたダイオークに止めを刺し続けた。二、三匹ほどやったこところで、腕を一本残すことになった。

 一本腕のダイオーク。さてどんなものか。

 ブォン!

「うわっ」

 腕一本だけの死に体のダイオーク。それでも僕にとっては脅威だった。丸太が勝手に僕をぶっ飛ばそうとしてくる訳だからね。

「プビウッ!」

 僕に狙いを定めていたダイオークが顔をのけ反らせ苦しむ。な、なんだ?

「ケイ、大丈夫よ。相手の動きをよく見なさい。攻撃は全部防いであげるから」

 ベステルタは手に小石を握りしめ、それを親指で弾いた。再びダイオークに当たって悲鳴が上がる。

 うわ、片目が潰れてる……。
 これ指弾ってやつだよね。器用というか何というか。

 でも、ベステルタの言う通り相手の動きをよく見るようにしたら攻撃が避けられるようになり、すると怖くもなくなった。うーん、調教されてるな。

「次は二本残しでいくわよー」

 少し楽しそうな彼女の声とダイオークの苦悶の声が対照的だった。自然界って残酷だ。

 その後も訓練を積み、二本腕のダイオークとも問題なく戦えるようになった。これで度胸とどこを攻撃すれば良いか、が少しは分かったかな。

「いい感じね。次は脚あり腕無しでいくわよ」

 成す術無く狩られ続ける黒豚たち。

 なんか、意外といけてしまうもんだね。こんなグロ状況も受け入れてるし。こっちにきてグロ耐性をいじられたのだろうか。いや、いかんいかん。考えるのはやめておこう。

 フレイムベア先輩に続いてダイオークにも、なんかこう少し哀れみを感じてきた。

 うーん、でもこいつらは人に相当迷惑かけてるみたいだし、ここは心を鬼にしよう。僕の善悪を判断するキャパシティは少ないんだ。

「クワッ」

「何で目に力入れてるの? おかしいわよ?」

「ちょっと目にゴミが入ったんだ。気にしないで」

 さて、次は脚ありダイオークだ。どうなるかな?

「プギィィッ!」

 うわっ!

 けっこうはやい!

 一歩が大きい!

 バシュッ!

「ブギャアァ!」

 汚い悲鳴を上げて足を抑えている。かなりの出血だ。振り向くとベステルタの指から煙が出ている。いや、どんな速度で飛ばしたんだよ。ほとんど銃弾じゃん。

「でも、戦いやすくなったな」

 まずは相手の動きに慣れよう。絶望の表情を浮かべるダイオークにベステルタソードを振りかざす。
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