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弟子
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さて、今日も色々あったな。リッカリンデン孤児院に寄って子供達と遊んで疲れを癒やそう。その前に遠吠え亭に寄らなきゃな。
遠吠え亭に寄り、今日は孤児院に泊まることを伝える。
ブラガさんが例の料理の作り方についてあれこれ訊いてきた。僕も分かる範囲でレシピを伝える。匂いが出るかもしれないから慎重にとも伝えた。あの匂いがいいんだけどね。
シャロンさんはあくせくと働いていた。今更だけど彼女って成人してないよね。この世界では労基法とか無さそうだしな。家族も働いているのだろうか。大変だ。
リッカリンデン孤児院に着いた。なんか落ち着くな。何でだろう。ジオス神のお膝元だからか? ちょっと気に食わないけど。それにしても布教のフの字も意識してないんだけど大丈夫なのかな。うーん、ジオス神の狙いが分からん。僕はやりたいようにやるけどさ。
「使徒様、お帰りなさいませ」
うわ、カリンが跪いて頭を垂れてきた。油断してたよ。僕使徒だった。彼女の全身から迸る信者オーラはどうにかならないのだろうか。
「あーしとさまだー!」
「おかりなさいませ」
「ませー、ひん」
「ふふ、みんな。ケイも疲れているから飛びついちゃだめよ。ケイ、おかえり」
ベステルタが元気いっぱいの子供達をぶら下げたり引っつけたりしながら、出迎えてくれた。すっかり保母さんみたいになっている。ありだな……。
「あ、お姉様あああ」
背中に特徴的な小さい羽を生やした子供がプテュエラに突撃する。この子、初対面の時から随分プテュエラに懐いていたよな。
「わぷ、な、なんだ」
「その子はバルデよ。何か妙にプテュエラに会いたがっていたのよね」
「ば、バルデは、プテュエラ様をお慕いしておりますぅぅぅ!」
ふがふがとプテュエラの身体に顔を埋めて恍惚そうな顔を浮かべるバルデちゃん。
「こ、こら。バルデ、お止めなさい! 失礼でしょう!」
慌てるカリンと状況が分からないプテュエラ。通訳してバルデのことを伝える。
「あ、いや、別にいいんだ。ジオス教徒の子供に懐かれるのは嬉しい。ただ、何で私をこう慕うのか分からなくてな」
バルデが慕っていることを伝えると何となく理解したようだった。でも自分よりずっと小さな子供にモフられ困惑している。こんな感じのプテュエラは珍しいな。新鮮だ。
「バルデは蝙蝠族だから、プテュエラ様みたいにかっこよく飛べるのが羨ましいんだよ!」
とりわけ元気いっぱいの子が答える。あー、確かリーノウちゃんだっけな。
「バルデちゃんはまだうまく飛べないから……ひん」
この男の子はザルドくんだな。もじもじしているが美少年だ。これはお姉さんキラーになりそう。気をつけねば。
よく見ると二人とも身体に特徴があるな。種族は何だろう。
「二人は何族なの?」
「リーノウは誇り高き犀人族だ!」
「ひん、ザルドは気高き蜥蜴人族」
蝙蝠族、犀人族、蜥蜴人族。よりみどりだな。確かにリーノウちゃんの頭にはちっちゃな角が生えているし、ザルドくんの肌には鱗がある。なるほど、バルデちゃんの羽は蝙蝠か。
「お姉様! バルデに飛び方を教えて下さい! お姉様みたいに飛びたいので! かっこよくなりたいので!」
バルデちゃんが必死に頼み込んでいる。この子最初は結構大人しいように見えたんだけどな。
「はは。もちろんだ。飛び方を教えるのは初めてだが、楽しそうだ。よろしく、バルデ、と伝えてくれるか?」
いちいち僕の通訳挟むのはめんどいけど仕方ない。バルデに内容を伝える。
「やったぁ! お姉様好きぃ!」
もふもふもふ、と顔を埋めるバルデ。まるで僕がいないかのように振る舞い。うーん、そろそろ中に入りたい。
「バルデちゃん、モフるのはそれくらいにして、そろそろ部屋の中に入ってもいいかい?」
「え……? あ、はい。どうぞ使徒様」
うおっ、首だけぐるっとこっちを向いた。無表情だ。しかも声のトーンも変わっている。この落差。何もしてないのに凹むんだが。
「申し訳ございません、使徒様。後で言って聞かせますので」
カリンが申し訳なさそうに謝ってくる。
「ううん、気にしてないよ。それよりも子供達が僕やベステルタたちと話したいらしいね。あ、もしかしてカリンも?」
「す、すみません」
恥ずかしそうに顔を伏せる。くっ、可愛い。線が細くて気弱な薄幸シスター。しかしその実、超がつく狂信者だからね。
質素な礼拝堂を通り過ぎ、孤児院の一角、たぶん普段みんなが過ごしている部屋、というか教室に案内される。小さな机が行儀よく並べられ、カリンが使っているであろう教壇がある。ここで勉強を教えているんだろうね。
「みんなのために使徒様が来て下さいました。ちゃんとお礼を言いましょう」
「「「しとさま、ありがとうございます」」」
子供達の元気な声。はー、癒やされる。使徒とか関係無ければもっとよかったんだけど。
「では使徒様。恐れながら子供達の質問に答えて頂いても宜しいでしょうか? もちろん、答えられる範囲で構いません」
「はーい」
教壇に立って椅子に座って目を光らせる子供達を見渡す。好奇心旺盛だ。いいことだね。
「しとさま、亜人様好きですか!」
リーノウちゃんだ。
「好きだよ」
当たり前だ。愚問やで。
『ふふ』
『はは』
二人とも笑ってる。別にいいでしょ。
「得意な武器は何ですか?」
冷静そうな男の子。うーん。
「ベステルタの爪だよ」
「爪?」
分からなそうだったから、実際に爪を見せてひゅんひゅん振ると「ふぉぉぉぉ」とちびっ子たちが大興奮してくれた。カリンもそれに混じって興奮……。
「なるほど! 状況に応じて何でも使えるようになれ、ということですね。勉強になりました」
何だか納得してくれたようだ。まあそれしかないから使ってた、というのは合ってる。今はフランチェスカもあるんだけど、ここで出したら驚かれちゃいそうだからやめておこう。
「今まで一番強かった敵はなんですかー?」
ぽわぽした女の子。何か戦闘系の質問多いな。意外だ。
「面倒くさかったのは群れたマスキュラス、厄介だったのは徒党を組んだダークエイプ、強いっていうか目標はフレイムベアだね」
「フレイムベアなんて倒せるのか!? でんせつの魔獣だろ!?」
生意気そうな男の子。立ち上がって目が爛々だ。伝説なのかあれは。
「僕はまだ無理だけど、亜人たちなら冗談抜きに一瞬だよ」
誇張無しなんだよなあ。
「すっげえええ! やっべえええ!」
大喜びだ。やっぱ男の子はこういうの好きだよなー。女の子たちも楽しそうにしているのがよく分からないけど。騎士でも目指しているのかな?
「お姉様とはどこまで?」
バルデちゃんが際どい質問を投げかける。うわ、教室が静まり返ってしまった。
「どうした?」
「何かあったの?」
(しとさまと亜人様、なんて言っているんだろうね)
僕がうまく言えないでいると、二人が訊いてくる。
(分からないね)
(きっとお姉様に命令しているのよ)
(ひん、そんなことないと思うよお)
何だかひそひそ声が聴こえてくるが。
「いや、プテュエラとはどこまでいったのかって……何て答えればいいか分からなくて。はは」
こういう繊細な質問、子供になんて答えればいいかなんて分からないよ。
二人は少し思案して、プテュエラが言った。
「ふむ、ならばこれでどうだ」
不意に顔が近づけられる。
ズギューーーン!
う、奪われた。公衆の面前で。
「うおおおおおおおお」
「ひいいいいいいいん」
「きいいいいいいいい!」
ざわめく子供達を見てニヤリ。
「これ以上だ」
キメ顔。
「やべえええええええ」
「大人すげえええええ」
「お、おねっ、おねえさまあああ!」
子供たちけっこうマセてるな。ガン見してくるじゃん。そしてバルデが血を吐くような叫び声を上げる。うっ、僕を見る視線に殺意が込もっている。子供がそんな目したら駄目だよ……。
「なら私も」
ベステルタが、あっ。
ズギュゥゥウウン!
ま、またしても。
「ふぁぁぁぁぁぁぁ」
ぱちぱちぱち。
手を叩いて興奮するカリン。完全に立場を忘れている。あーあ、これしばらく続きそうだ。
やっと落ち着いて質問タイムが再開した。今度は僕からだ。
「みんなは何歳?」
「「「11さ14い145525さい3421242さ82451さいさいさい!!!」」」
だめだ訊き方が悪かった。一人一人に訊かないと。
「リーノウは?」
「11歳だ!」
その割には大きいな。犀人だし種族的なものかな?
「バルデは?」
「12歳ですが?」
何か? と冷たい眼差し。これ完全によく思われていないなあ。
「ザルドは?」
「14ひん歳です」
ええ、どう考えても低学年にしか見えないのだが。ここら辺のバラツキはなんだろう。
「使徒様、獣人は種族によって心と身体の成長スピードが異なります。さらに人族よりもレベルに依存した成長をするので、違和感を感じるのかと」
カリン、ナイスフォロー。
はー、なるほどな。じゃあみんな見た目通りでないし、逆に見た目通りの年齢ってことか。ゴドーさんやブラガさんも実は結構若いってことかな。でも二人は獣の特徴が強く出ているし。うーん、よく分かんなくなってきた。見た目は低学年のザルドもレベル上げればぐんぐん成長するってことだよね?
「あ、そうだ。みんな僕のことはケイとかお兄さんって読んでね。カリンもね」
そうそう。正直、使徒って呼ばれていると課長、部長って言われているようで嫌だし。名前で読んで欲しいんだよね。
「そ、そんな。恐れ多いです……」
「いいからいいから」
「う、け、ケイ様……」
恐縮するカリンを何とか説得して、名前で呼ばせることには成功した。
「アニキ!」
「ケイ……さん」
「師匠!」
リーノウは素直で良い子供だね。バルデはなんで一瞬躊躇ったのかな。そして、ザルド。師匠ってどういうこと?
「ひ、ひん。ザルドは師匠の弟子になりたいです。お願いします」
ぺこり、と頭を下げる美少年。どういうことだ?
「話が見えないよ。どういうことかな?」
「ひ、ひん。ザルドはリザードマンです。雌とたくさん番って繁殖することが使命であり、男の証です。師匠はものすごく強い亜人様を三人も契約しています。亜人様と繁殖できる人は少ないのに、師匠はさらに三人も相手取っています。だ、だから、師匠に繁殖術を教えて欲しいです、ひん」
世のお姉さん方がきゅんってしそうなショタフェイスでとんでもない事を口走るザルド。あと、君結構喋るのね。
ていうか、繁殖術って……。
遠吠え亭に寄り、今日は孤児院に泊まることを伝える。
ブラガさんが例の料理の作り方についてあれこれ訊いてきた。僕も分かる範囲でレシピを伝える。匂いが出るかもしれないから慎重にとも伝えた。あの匂いがいいんだけどね。
シャロンさんはあくせくと働いていた。今更だけど彼女って成人してないよね。この世界では労基法とか無さそうだしな。家族も働いているのだろうか。大変だ。
リッカリンデン孤児院に着いた。なんか落ち着くな。何でだろう。ジオス神のお膝元だからか? ちょっと気に食わないけど。それにしても布教のフの字も意識してないんだけど大丈夫なのかな。うーん、ジオス神の狙いが分からん。僕はやりたいようにやるけどさ。
「使徒様、お帰りなさいませ」
うわ、カリンが跪いて頭を垂れてきた。油断してたよ。僕使徒だった。彼女の全身から迸る信者オーラはどうにかならないのだろうか。
「あーしとさまだー!」
「おかりなさいませ」
「ませー、ひん」
「ふふ、みんな。ケイも疲れているから飛びついちゃだめよ。ケイ、おかえり」
ベステルタが元気いっぱいの子供達をぶら下げたり引っつけたりしながら、出迎えてくれた。すっかり保母さんみたいになっている。ありだな……。
「あ、お姉様あああ」
背中に特徴的な小さい羽を生やした子供がプテュエラに突撃する。この子、初対面の時から随分プテュエラに懐いていたよな。
「わぷ、な、なんだ」
「その子はバルデよ。何か妙にプテュエラに会いたがっていたのよね」
「ば、バルデは、プテュエラ様をお慕いしておりますぅぅぅ!」
ふがふがとプテュエラの身体に顔を埋めて恍惚そうな顔を浮かべるバルデちゃん。
「こ、こら。バルデ、お止めなさい! 失礼でしょう!」
慌てるカリンと状況が分からないプテュエラ。通訳してバルデのことを伝える。
「あ、いや、別にいいんだ。ジオス教徒の子供に懐かれるのは嬉しい。ただ、何で私をこう慕うのか分からなくてな」
バルデが慕っていることを伝えると何となく理解したようだった。でも自分よりずっと小さな子供にモフられ困惑している。こんな感じのプテュエラは珍しいな。新鮮だ。
「バルデは蝙蝠族だから、プテュエラ様みたいにかっこよく飛べるのが羨ましいんだよ!」
とりわけ元気いっぱいの子が答える。あー、確かリーノウちゃんだっけな。
「バルデちゃんはまだうまく飛べないから……ひん」
この男の子はザルドくんだな。もじもじしているが美少年だ。これはお姉さんキラーになりそう。気をつけねば。
よく見ると二人とも身体に特徴があるな。種族は何だろう。
「二人は何族なの?」
「リーノウは誇り高き犀人族だ!」
「ひん、ザルドは気高き蜥蜴人族」
蝙蝠族、犀人族、蜥蜴人族。よりみどりだな。確かにリーノウちゃんの頭にはちっちゃな角が生えているし、ザルドくんの肌には鱗がある。なるほど、バルデちゃんの羽は蝙蝠か。
「お姉様! バルデに飛び方を教えて下さい! お姉様みたいに飛びたいので! かっこよくなりたいので!」
バルデちゃんが必死に頼み込んでいる。この子最初は結構大人しいように見えたんだけどな。
「はは。もちろんだ。飛び方を教えるのは初めてだが、楽しそうだ。よろしく、バルデ、と伝えてくれるか?」
いちいち僕の通訳挟むのはめんどいけど仕方ない。バルデに内容を伝える。
「やったぁ! お姉様好きぃ!」
もふもふもふ、と顔を埋めるバルデ。まるで僕がいないかのように振る舞い。うーん、そろそろ中に入りたい。
「バルデちゃん、モフるのはそれくらいにして、そろそろ部屋の中に入ってもいいかい?」
「え……? あ、はい。どうぞ使徒様」
うおっ、首だけぐるっとこっちを向いた。無表情だ。しかも声のトーンも変わっている。この落差。何もしてないのに凹むんだが。
「申し訳ございません、使徒様。後で言って聞かせますので」
カリンが申し訳なさそうに謝ってくる。
「ううん、気にしてないよ。それよりも子供達が僕やベステルタたちと話したいらしいね。あ、もしかしてカリンも?」
「す、すみません」
恥ずかしそうに顔を伏せる。くっ、可愛い。線が細くて気弱な薄幸シスター。しかしその実、超がつく狂信者だからね。
質素な礼拝堂を通り過ぎ、孤児院の一角、たぶん普段みんなが過ごしている部屋、というか教室に案内される。小さな机が行儀よく並べられ、カリンが使っているであろう教壇がある。ここで勉強を教えているんだろうね。
「みんなのために使徒様が来て下さいました。ちゃんとお礼を言いましょう」
「「「しとさま、ありがとうございます」」」
子供達の元気な声。はー、癒やされる。使徒とか関係無ければもっとよかったんだけど。
「では使徒様。恐れながら子供達の質問に答えて頂いても宜しいでしょうか? もちろん、答えられる範囲で構いません」
「はーい」
教壇に立って椅子に座って目を光らせる子供達を見渡す。好奇心旺盛だ。いいことだね。
「しとさま、亜人様好きですか!」
リーノウちゃんだ。
「好きだよ」
当たり前だ。愚問やで。
『ふふ』
『はは』
二人とも笑ってる。別にいいでしょ。
「得意な武器は何ですか?」
冷静そうな男の子。うーん。
「ベステルタの爪だよ」
「爪?」
分からなそうだったから、実際に爪を見せてひゅんひゅん振ると「ふぉぉぉぉ」とちびっ子たちが大興奮してくれた。カリンもそれに混じって興奮……。
「なるほど! 状況に応じて何でも使えるようになれ、ということですね。勉強になりました」
何だか納得してくれたようだ。まあそれしかないから使ってた、というのは合ってる。今はフランチェスカもあるんだけど、ここで出したら驚かれちゃいそうだからやめておこう。
「今まで一番強かった敵はなんですかー?」
ぽわぽした女の子。何か戦闘系の質問多いな。意外だ。
「面倒くさかったのは群れたマスキュラス、厄介だったのは徒党を組んだダークエイプ、強いっていうか目標はフレイムベアだね」
「フレイムベアなんて倒せるのか!? でんせつの魔獣だろ!?」
生意気そうな男の子。立ち上がって目が爛々だ。伝説なのかあれは。
「僕はまだ無理だけど、亜人たちなら冗談抜きに一瞬だよ」
誇張無しなんだよなあ。
「すっげえええ! やっべえええ!」
大喜びだ。やっぱ男の子はこういうの好きだよなー。女の子たちも楽しそうにしているのがよく分からないけど。騎士でも目指しているのかな?
「お姉様とはどこまで?」
バルデちゃんが際どい質問を投げかける。うわ、教室が静まり返ってしまった。
「どうした?」
「何かあったの?」
(しとさまと亜人様、なんて言っているんだろうね)
僕がうまく言えないでいると、二人が訊いてくる。
(分からないね)
(きっとお姉様に命令しているのよ)
(ひん、そんなことないと思うよお)
何だかひそひそ声が聴こえてくるが。
「いや、プテュエラとはどこまでいったのかって……何て答えればいいか分からなくて。はは」
こういう繊細な質問、子供になんて答えればいいかなんて分からないよ。
二人は少し思案して、プテュエラが言った。
「ふむ、ならばこれでどうだ」
不意に顔が近づけられる。
ズギューーーン!
う、奪われた。公衆の面前で。
「うおおおおおおおお」
「ひいいいいいいいん」
「きいいいいいいいい!」
ざわめく子供達を見てニヤリ。
「これ以上だ」
キメ顔。
「やべえええええええ」
「大人すげえええええ」
「お、おねっ、おねえさまあああ!」
子供たちけっこうマセてるな。ガン見してくるじゃん。そしてバルデが血を吐くような叫び声を上げる。うっ、僕を見る視線に殺意が込もっている。子供がそんな目したら駄目だよ……。
「なら私も」
ベステルタが、あっ。
ズギュゥゥウウン!
ま、またしても。
「ふぁぁぁぁぁぁぁ」
ぱちぱちぱち。
手を叩いて興奮するカリン。完全に立場を忘れている。あーあ、これしばらく続きそうだ。
やっと落ち着いて質問タイムが再開した。今度は僕からだ。
「みんなは何歳?」
「「「11さ14い145525さい3421242さ82451さいさいさい!!!」」」
だめだ訊き方が悪かった。一人一人に訊かないと。
「リーノウは?」
「11歳だ!」
その割には大きいな。犀人だし種族的なものかな?
「バルデは?」
「12歳ですが?」
何か? と冷たい眼差し。これ完全によく思われていないなあ。
「ザルドは?」
「14ひん歳です」
ええ、どう考えても低学年にしか見えないのだが。ここら辺のバラツキはなんだろう。
「使徒様、獣人は種族によって心と身体の成長スピードが異なります。さらに人族よりもレベルに依存した成長をするので、違和感を感じるのかと」
カリン、ナイスフォロー。
はー、なるほどな。じゃあみんな見た目通りでないし、逆に見た目通りの年齢ってことか。ゴドーさんやブラガさんも実は結構若いってことかな。でも二人は獣の特徴が強く出ているし。うーん、よく分かんなくなってきた。見た目は低学年のザルドもレベル上げればぐんぐん成長するってことだよね?
「あ、そうだ。みんな僕のことはケイとかお兄さんって読んでね。カリンもね」
そうそう。正直、使徒って呼ばれていると課長、部長って言われているようで嫌だし。名前で読んで欲しいんだよね。
「そ、そんな。恐れ多いです……」
「いいからいいから」
「う、け、ケイ様……」
恐縮するカリンを何とか説得して、名前で呼ばせることには成功した。
「アニキ!」
「ケイ……さん」
「師匠!」
リーノウは素直で良い子供だね。バルデはなんで一瞬躊躇ったのかな。そして、ザルド。師匠ってどういうこと?
「ひ、ひん。ザルドは師匠の弟子になりたいです。お願いします」
ぺこり、と頭を下げる美少年。どういうことだ?
「話が見えないよ。どういうことかな?」
「ひ、ひん。ザルドはリザードマンです。雌とたくさん番って繁殖することが使命であり、男の証です。師匠はものすごく強い亜人様を三人も契約しています。亜人様と繁殖できる人は少ないのに、師匠はさらに三人も相手取っています。だ、だから、師匠に繁殖術を教えて欲しいです、ひん」
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