絶死の森で絶滅寸前の人外お姉さんと自由な異世界繁殖生活 転移後は自分のために生きるよ~【R18版】

萩原繁殖

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まじぱねえっす

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「ベステルタ、ラーズさんところ行ってくるけど来る?」

「うーん、遠慮しておくわ。冒険に行くわけじゃないんだし。ケイなら全員に襲われても勝てるでしょ。わたしはそこら辺うろうろしているわ」

 じゃあね、とぷらぷら手を振ってどこかに行ってしまった。また誰かの顔面すり下ろさなきゃいいけどな……。ていうか全員で来られたら勝てない……よね? ラーズさんめちゃつよな雰囲気だったよ? でもフェイさんよりは強くないかな? ただ、二人ともまだ底が知れない感じがする。

 講習はこの前と同じ部屋だった。相変わらずラーズさんの飄々とした感じは変わらないし生徒の面子も昨日と同じ。でも、真剣さが違うな。皆一言も聞き逃さないように前のめりだ。

「おっ、来たな。ん? 紫姉ちゃんはいないのか。なら話が早いな。おーい、お前ら。ケイが来たぞ。さっきも話したが、こいつはもう五層突破した。今の内サイン貰っておけよ」

 部屋の後ろの扉からこっそり覗いていたらラーズにバレた。入ってこい入ってこい、と手招きされる。ベステルタいない方が話しやすいのかな? いずれにしろ、入りたくねえ。

「ケイさん!」

 元気の良いお兄ちゃんが勢い良く立ち上がって、大股で近付いてくる。確か紅蓮隊のメンバーだよな。目が怖い。

「昨日は助けて頂きありがとうございました!」

 そんで思いっきりお礼を言われた。

「みんなも待ってます! ささっ、こちらへ!」

「いやいや、いいよいいよ」

 そのまま強引に手を引かれ部屋の中心に連れて行かれる。
 大勢の視線が僕を突き刺す。

 ううっ……、こういうのは苦手なんだよな。

 ぐるっと初心者組に周りを囲まれる。な、なんじゃいこらやんのかこら。ごめんなさい許してください。

 一瞬の沈黙。

「け、ケイさん、あの、まじぱねぇっす!」

 紅蓮隊の一人が目をキラキラさせる。チャラそうなあんちゃんだ。

「五層突破したってことは、もうIランクになったってことですよね!?」

「そ、そうだけど」

「やべーーーーー! 半端ねえええええ!」

 紅蓮隊のチャラそうなあんちゃんが仰け反って叫ぶ。

 それを皮切りに次々と初心者組が僕に話しかけてきた。

「霧さばきに惚れました!」

「斧さばきに惚れました!」

「俺も戦斧使いたいんですけど、お勧めってありますか? やっぱりでかい方がいいっすか?」

「た、助けてくれてありがとう……」

「ございます……」

「ケイ殿の静かで大胆な動き、参考にさせて頂くのである」

「うむ。『雷狼流』剣術にも通じるところがある」

 お、おう。

 なにこれ、クラスの人気者になったみたいで、めちゃくちゃ承認欲求満たされるんだが?

「タネズさん……いや、ケイさん」

 それまで黙っていたターク君が口を開く。

「昨日、俺たちは初めて自分の実力を知りました。これでも村では腕っぷしが強かったし、期待されていたんです」

「タークは村で一番剣を使うのがうまくて、私は目や耳が良くて、バッズは慎重で力持ち。私たちならダンジョンですぐ活躍できると思っていました」

「甘かったんだな。僕も心に油断があったんだな。慎重に事を運んでいても、抗えない力に晒されることがある、それをケイさんたちのおかげで知ったんだな」

 真剣な表情のドラゴンソードたち。パメラちゃんはベステルタがいないからあまりビクビクしていないな。ぺろぺろしたい。

「何よりも強くあること。そして、他者に優しくあること。それをケイさんたちから学びました。ケイさんはラーズさんと一緒に、馬鹿な僕たちにそれを教えてくれたんですよね? 貴方たちの助言や行動がなければ、俺たちはもっとひどい目に遭っていたかもしれません」

 思わずラーズさんの方を見る。そっぽを向いている。この人何か吹き込んだんじゃないだろうな……。そんな事実無いんだが。

「ケイさん、僕は貴方みたいになりたい。貴方のように強くありたいんです。貴方を目指したい。……いいでしょうか?」

 うっ、ターク君がキュートな上目遣いで訴えかけてくる。じゅんってする。パメラちゃんも生意気そうなつり目をへにょりとさせているし、こんなの断りきれない。まあ、目指すくらいなら問題ないでしょ。太っちょは……いっぱいたべろ。

「ま、まあそのくらいなら構わないよ」

「本当ですか!? ありがとうございます!」

 ターク君がよっしゃ、とガッツポーズして飛び跳ねる。他のメンバーと肩を組んで喜びを分かち合う。そんなに喜ぶことかな。なんか照れるぜ。

「これから宜しくお願いします! 師匠!」

 師匠?

「師匠、ベステルタさんにも宜しくお伝え下さい!」

 えっ、師匠?

「強くて優しい師匠に師事できて僕たちは幸運なんだな!」

 なんで、師匠?

「くっくっく。ケイ、また弟子ができて大変だな? ちゃんと見ておいてやれよ?」

 ラーズさんが悪い顔でポン、と肩を叩いてきた。この人、マジで何を企んでいるんだ。ていうか、また? なんで知ってるの?

「ねえ、なんか企んでるの?」

「なーんも?」

 うーん、こうなったら実力行使だな。

「おーい、ベステルター、ラーズさんが話したくなるようにしてあげてー」

「おいおいおい! マジでやめろ! あの人ならやりかねないだろうが!」

 ガチトーンで怒られた。な、なんで僕が怒られてるん? 彼女は分別あるよ。

「ベステルタが暴走したらちゃんと止めるし」

「お前、パメラの件で傍観してたじゃねえか」

 ……そうだったかもしれない。

「ったく……別に大したことねえよ。師匠つっても何かする訳でもねえ。高ランク冒険者に低ランク冒険者が弟子入りなんてよくある話だ。弟子がいると箔が付くぜ? お前、パーティー名やパメラの件で評判悪いんだからよ、ちょっと世話焼いてやっただけだ」

 う、うーん。有り難い、のか?

 確かにパーティー名については評判悪いから、弟子がいることによって周りに「僕たちは危なくないですよ」とアピールできるのはいいのかもしれない。

「師匠の手を煩わせることはしません。むしろ、師匠の雑務等を俺たちで肩代わりします。買い出しやら冒険の準備など。そういうところから師匠の真髄を学びたいんです!」

 必死なターク君。思わず瞳をじっと見る。……よかった、アイズ・オブ・狂信者じやない。

「し、師匠?」

 もじもじするターク君。いやキュートなんだけど、いろいろ心配だな。この子の将来歪めそうで怖い。

「ちなみに、師弟制度は冒険者ギルドでもちゃんと明文化されているからな。昔、無理やり弟子にして奴隷みたいに扱ったり、勝手に師匠呼ばわりしてコネを得たりしたから問題になったんだよ。推薦者がいないと師弟って認められないんだぜ。でも、そこら辺はきちんと俺が通してやったから安心しとけ。今度奢れよ?」

 何勝手なことしてくれているんだよ。絶対奢らないぞ。

 ていうか、僕とドラゴンソードがこうなるって分かっていたのかな? 本当に冒険者かこの人。諜報とか工作の方が向いてそうだ。

 うん? そしたらザルドたちも弟子だから届け出した方がいいのかな。いや、あの子達は冒険者じゃないから大丈夫か……今のところ。

 はー、嵌められた。ラーズさんの掌で転がされている感がある。まあでも、とりあえずは仲良くやっていきたいんだよな。なんか憎めないし。仮に企みがあったら……亜人お姉様方にお願いしてお仕置きしてもらおう。

 僕のジト目が伝わったのか、ラーズさんが「頼むから紫姉ちゃんは呼ぶなよ? 悪いことしようなんて思っちゃいねえからよ。冗談抜きで死んじまう」と焦っていた。ベステルタ、そんなに彼を脅したことあったか?

「分かった。ターク君、いやターク、パメラ、それとえっと」

「バッズなんだな」

 そうだ、太っちょ獣人はそんな名前だった。すまん。

「それとバッズ。三人とも、君たちは僕の弟子になりたいみたいだけど、秘伝の技とか極意みたいなものは無いからね。僕もけっこうやることあるからあまり構えないかもしれない。そもそも高位冒険者じゃないけど、本当にいいの?」

「ああ!……じゃなくて、はい! 構いません!」

 無理して敬語使う必要は無いんだけどな。彼なりのけじめかな?

「他の二人も?」

「もちろんです。私もバッズも、タークと同じ気持ちです」

「なんだな!」

 ふーむ、それならいいか。名前貸して、たまに面倒見るくらいなら。それに、後輩とかいなかったし、ちょっといいかも。

「分かった。それじゃ改めて宜しく」

「「「宜しくお願い致します」」」

 三人の気合いの入った声が部屋に響いた。弟子が増えちゃったよ。どうしたもんかな。

「うおおおお! ドラゴンソード、よかったな!」

 紅蓮隊のあんちゃんが乱暴にタークの首に手を回す。「や、やめろよ」とタークは恥ずかしそうだけど、まんざらではなさそうだ。パメラもバッズも同じように同期たちに祝福されている。

「うんうん、よかったよかった」

 一人で勝手に納得しているラーズさん。こっちは釈然としねえ。

「ラーズ、タークたち焚き付けたのあんたなんだから僕がいないところでも面倒見てよね」

 なんか、この人には最低限の敬意だけ持って、あとは雑でいい気がしてきた。

「お、ずいぶんフランクな態度じゃねえか。嬉しいな、おい。それくらいがやりやすいぜ。ちなみに、タークたちのことは最初からそのつもりだぜ。こいつらに自由にやらせつつ、適度に助言はしていくつもりだ」

 それ、もうあんたが師匠やったほうがいいんじゃないの?

「いやぁ、ケイさんと同期なのは俺たちの誇りだぜ!」

「すごいと思います……」

「うむ、あの『濃霧』と『紫電』と縁を結べたのは僥倖なのである」

 えっ、それまさか僕とベステルタのこと? 勘弁してくれ。異名とか、僕のブラックヒストリーがうずいてしまう。ベステルタなんか大喜びするだろ。仲間はずれにされたプテュエラがまた羽バサバサさせて拗ねそうだ。

 ラーズさんたちは初心者講習に戻るということで、やっと解放された。酷い目に遭ったよ。こんなことになるとはね。ザルドたちにも会わせた方がいいのかなあ。ドラゴンソードたちはジオス教徒じゃないだろうし、難しい。問題ないだろうけど、ジオス教徒以外はあまり孤児院に近付けたくないからね。ここら辺もうまく対応していかなきゃな。
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