絶死の森で絶滅寸前の人外お姉さんと自由な異世界繁殖生活 転移後は自分のために生きるよ~【R18版】

萩原繁殖

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【幕間】ああっ、大司教ネリス様っ!

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 アセンブラ大聖堂、その一角にある私室の奥、
 異様に広く造られた玉座のような寝椅子に、大司教ネリスは身を沈めていた。

「ふう……今日も我が種は、本能のままに、豊かな地に蒔かれたな……」

 下卑た笑みを浮かべ、脂ぎった額を拭う。
 今しがた“種蒔き”を終えたばかりだというのに、やけに余裕のある態度だ。
 仰向けに横たわる、成人女性のアセンブラ教徒は既に運び出されていた。股からは大量の白濁液が漏れ、激しい種蒔きが行われたことが分かる。

 その下腹部には特徴的な紋様が浮かんでいる。
 ギザギザの六角形、まるで歯車のようだった。

「ふん。感謝しろよ、女。我が加護を宿してやったのだ。光栄の極みだぞ?」

 自らを神の器と信じて疑わぬこの男の傲慢さは、もはや修正不可能であり、彼の心に深く根付いている。

 すると因子の植え付けを終えた女信徒は、息も絶え絶えになりながら、額を床に近づける。

「──大司教様。どうか、お礼を言わせてください」

 か細い声に、ネリスは一呼吸置いたあと、重々しく頷いた。

「……ふん、申してみよ。お前の声を、我が神に捧げるとしよう」

「はい……この身が、選ばれたことを誇りに思います。私の魂が、我らが神へと還るための道標とならんことを。どうか、神の御業が成就いたしますように……」

 その言葉には、恐れも迷いもなかった。ただ、祈りのような静けさと覚悟があった。

「……よかろう」

 ネリスは立ち上がると、分厚く重ねられた法衣の袖を払って、ゆるやかに六角形の印──アセンブラ教の象徴印を宙に描く。

「汝の信仰、しかと受け取った。神の祝福があらんことを」

 その声は、かつてないほど澄んでいて、周囲の者すべての者を沈黙させた。

 まるで神の気配が、その場に確かに宿ったかのようだった。

 ややあって。

 数人の神官、ネリスの取り巻きたちが飛んでくる。彼らは権力者であるネリスに侍り、そのおこぼれにあずかろうと毎日必死におべっかを使う。

 ネリスはそれを分かってはいるが、特に止めもしなかった。彼は自分に媚びる者は多ければ多いほど良いと考えていた。

(我に媚びよ、伏して、讃えるのだ)

 おべっか神官の一人がネリスに声をかける。

「ああっ! 大司教ネリス様っ! 本日のご聖務、誠にお疲れ様でした」

「当然だ。我が神への奉仕は、日々の糧である。むしろお前たちこそ、光栄に思うがいい。我が勤勉さを、こうして近くで見届けられたのだからなぁ? さあ、我を本能のままに、賛美せよ!」

 ネリスの号令に神官たちは一斉に“媚び賛美”し始める。

「ハハーッ! ネリス様は神に最も近き存在!」

「ネリス様の労は、アセンブラ神の福音! この世に満ちる淫気すらも、その御立派な御肉棒様で導かれるのですじゃあ……!」

「ま、眩しゅうございますぅっ……! その勤勉、その祈り、そのえっと……発汗! どれをとっても、神への純然たる帰依!」

「さすがは大司教ネリス様! その……あっ、御腹のたわみには、アセンブラ神の恩寵が宿っておられる……!」

 神官たちは毎日ネリスへの媚び賛美を行うため、レパートリーが少なくなってきている。そのため、中には微妙な賛美も混じっていたが、ネリスはいちいち目くじら立てることはせず、鷹揚に許していた。とにかく自分に媚びることが大事なのだ。

「うむ! 貴様らの信心は伝わってきたぞ。
 では早う茶を淹れてこい。分かっておるな? 今日のは熱すぎたら承知せんぞ。舌を火傷させたら見習い神官に降格だからな、はっはっは!」

「は、はいっ!」

「この年で見習いはご勘弁をっ!」

「ひ、ひいっ、神よぉっ!」

 ドタドタと走り去る神官。ネリスの権力欲が満たされたその直後、そろりと扉が開いた。

「……ネリス様。おからだ、拭くもの、持ってきました……」

「ふむ、テティか」

 現れたのは、まだ幼さの残る少女、テティ。
 奴隷の中でも特に教育が施されていない新参であり、声もどこかおどおどしている。
 ネリスが気まぐれで拾った奴隷少女で、彼は「戯れに侍らせておるだけだ」と周りには言っている。

「ど、どうぞ……」

 彼はテティをじろりと見やり差し出された盆の上のおしぼりを掴むが、冷たいままだ。

 ネリスの顔が、ぐにゅりと歪んだ。

「ふん……冷たいな? 我は、お前に“人肌”で、と言ったよなぁ?」

「ご、ごめんなさい……っ」

 テティは小さな身体を縮こめて、床に身を投げだして謝る。

「……この愚か者めが。神に仕える者たる自覚が足りん。
 布一枚に心を込められずして、どうして神の加護を預かれるというのか」

 叱責の言葉に、テティはかすかに唇を噛んだ。
 だが、その様子をネリスは“よし”とも“悪し”とも言わず、
 フンと鼻を鳴らすと、彼女の頭にぶ厚く、重い掌をぽんと置いた。

「よいか、人には温もりが必要なのだ。熱さは、暖かさは、は人々に安心をもたらす。覚えておくのだ」

「あ、はいっ」

 テティは少しだけ嬉しそうにその太い指に触れる。
 だがネリスはそのまま手をどけ、口元を拭いながら玉座のような椅子に再び腰を下ろした。

「……ふん。我は気まぐれなのだ。分かったら、今度は温めて持ってこい。
 次に冷たければ……我の汗拭き係に任命するぞ?」

「……はい!」

 ちょっとだけ頬を綻ばせて、小さく頭を下げるテティ。

 脂ぎった髪の毛をくるくる弄りながら彼は思案する。

(ちっ……癖っ毛がまた跳ねておる……鏡台係に櫛を持って来させねば)

ーー

 神官たちが持ってきた茶にケチをつけながら飲み干したネリス。ペコペコと頭を下げる彼らを適当に叱責することで、彼の権力欲は大いに満たされた。

 祈りの間を後にし、ネリスは自身の私室へと戻った。  
 その部屋の奥、一段高く設えられた壇上には、アセンブラ神を象徴する六角の神棚が鎮座している。
  これは彼のプライベートな祭壇であり、金属と黒檀を組み合わせた荘厳な意匠のそれを前に、ネリスは重い身体を膝立ちに折りたたんだ。

「……主よ」

 先ほどの傲慢さは、影も形もない。  垂れた顎の脂も、渦巻くような癖っ毛も、彼の信仰の前では関係ない。
  むしろ、全ての“醜”すらも祝福に変えるほど、彼の祈りは純粋だった。

「我が身をもって、今宵も因子を一つ、播き終えました。主の庭は、今日も肥沃にございます……」

 低く、深く、語りかけるような声。  重い掌を胸に当て、何度も礼を繰り返す。

「もう、まもなくでございます。まもなく、貴方様の偉大なる御姿が、太陽に代わり世を照らすでしょう」

 彼の信仰はまがい物ではなかった。

 その混じり気のない信仰心と、アセンブラ神との親和性だけで、大司教に上り詰めた肩書は伊達ではない。もちろん、それ以外の努力も怠ってはいないが。

 しばしの祈祷の後、彼は充実感で胸をいっぱいにしていた。

(やはり、神への祈祷は自室で行うに限る。その方が、より神性を感じられる。無論、大聖堂で行う祈祷も素晴らしいものではあるがな)

(我は他の、美味い蜜を吸いたいだけの生臭神官どもとは違うのだ)

 そして大切な神棚に飾られた新たな“奉納品”を見て、彼は満面の笑みを浮かべる。

 ──フレイムベアの毛皮。

 深紅と黒の毛並みが絡み合う、見る者に畏怖を抱かせるそれは、堂々と棚の中心に敷かれていた。粗雑な加工は一切ない。まるで仕留めたばかりのような獣の熱が、いまだ残っているかのよう。

「……ふぅぅ……美しい……っ!」

 ネリスはぶくりと膨れた指でその毛並みに触れ、ぞぶりと肉が波打つような動きで、頬に毛皮を押し当てた。

「これがあの、フレイムベアの……。王すらやすやすと手に入れることができぬとされる、覇者の毛並みよ……ッ」

 その顔は陶酔に満ちていた。

「神よ……ご照覧あれ……このネリスが、貴方様のためにまた一つこの世界の秘宝を手にしたのだ……」

 棚に向かって両腕を広げると、神殿の鐘がどこかで鳴った気すらした。

 まるでこの瞬間、神の祝福すら届いたように。

「それにしても商業ギルドの連中め……ここぞとばかりに金貨をふんだくりおって……。信心があるのなら、率先して寄付するのが“持つ者”としての務めであろう」

 ネリスは商業ギルドによって朱金貨を持っていかれ、少しさみしくなった懐を思う。

「“裂壊経典”共もまったく役に立たぬ。神兵隊を謳うのであれば、絶死の森に踏み入って、フレイムベアの一頭くらい狩ってこぬか」

 祈りと怒りを終えたネリスは、神棚の前から退き、机の前に座った。

「さて……次は我がもう一つの務めよな……」

 ばさり、と一冊のノートを開く。  
 豪奢な表紙に記されたタイトルは、

『濡れるは神の子宮(マトリクス) ~教会地下の繁殖調書~』

「さあ、今宵も書くぞ! 我が官能を、世界に刻むのだ……っ!」

 金属製のペンを取り、カリカリと滑らせる。紙の上で舞う筆先からは、明らかに宗教指導者の手によるとは思えぬほど猥雑で、耽美で、淫らな物語が紡がれていった。

「ふふ……“神の子宮”とは我ながら神懸かっておるな……! しかも“繁殖調書”! 調書だぞ!?  公式文書だぞォォッ!!??」

 ネリスのぶよぶよ卑猥スマイルがうごめき、興奮したように叫ぶ。

 数ページが埋まった頃、扉が控えめにノックされた。

「……入れ」

「……う、うんしょ……持ってきました……」

 入ってきたのは、さきほどの少女・テティだった。
  彼女は大きなマグカップを慎重に両手で抱えて運び、机の隅に置く。
 ネリスは、少女を見ることもなく、そのまま一口、ぐび、と飲み干す。 
 苦い豆を煎り、粉末状にしたものに、たっぷりのミルクと砂糖を入れた特製のティー。そして人肌に温められたネリス好みの温度だった。
 彼は黙ってマグカップを置き、ぐいと彼女の腕を引き寄せ、自らの膝へ。

「ふむ……重くなってきたな。育ってきた証か」

「はい……ネリス様のおかげで、ご飯いっぱい食べてます、ので……あふぅ……」

 テティは文句も言わず、ぽすりと体を預けると、そのままこっくりこっくりと舟をこぎ始めた。

 ネリスはその頭を片手で支えつつ、もう片方の手でカリカリと筆を動かす。

(……ふむ。この語り口は少し古いか? いや、だが……肝心なのは“湿度”だ。湿度のある文章が、読者の脳を包み込む……)

 ネリスのそこで筆が止まる。しばしの後、彼は思案したが最適解を出すことは出来なかった。

「仕方あるまい。執筆はここまでにしよう。次は……勉学の時間であるな」

 彼は豪奢なノートをしまい、別の引き出しから何冊もの雑誌を取り出す。

「それでは始めるか」

 彼はテティに買いに行かせた官能雑誌を一枚一枚丁寧に精読していく。

「ふむ、一冊目はこれだな」

 彼が最初に手に取ったのは、『月刊マゾリオン』。

 ジャンル: 調教・主従・SM系。

 特徴は拷問官や騎士団長など、権力者による“躾”の連載が人気。今月号は「背徳の洗腸儀礼」特集だった。

 彼は人気作家の最新作を読み込んでいき、ため息を吐いた。

「ふむ……導入の儀式が甘いな。鉄環の締め方ひとつで覚醒度が段違いなのだが。やはり現場を知らん者の筆は軽い……が、それを想像で補おうとするセンスは見事だ」

 二つ目の雑誌に手を伸ばす。雑誌タイトルは『しっぽり通信EX』。

 ジャンル: 熟女・人妻・濃厚愛撫系

 特徴としては、人妻への夜這い、恥じらう熟女、修道院の女教師モノなどが中心。丁寧な描写と文学性が売り。

「ふふ……良き。これは良き。若僧の筆では出せぬ、膣内の艶めかしい湿度……熟成された人妻の恥垢が匂い立つようだ。むぅ、これは保存版だな」

 ネリスの股間が次第に膨れ上がる期待感を込めて手に取った三冊目は『堕翼天使ノワール』。

 ジャンル: 神官・背教者・禁断恋愛系

 特徴は神の教義に背いて“交わってしまう”禁忌恋愛。泣きながら快楽に堕ちる巫女や神官が定番であり王道。

「ッはーッ!! なんという背徳美! やはり神は試練を与えるのだ!くふぅっ……罪深きは至高……純潔が堕ちる様こそ美しい……」


 恍惚な表情を浮かべるネリスが手に取った四冊目、『FELLA!~冒険者の繁録~』。これは少しだけ毛色が違った。

 ジャンル:モンスター娘・異種間交合・冒険者もの。実録多め。

 特徴はなんといっても実録、というところである。閉鎖空間であるダンジョン内で“抜き”に適した魔物や、人型雌魔獣たちとの危険なハーレム記録を網羅。

「こ、これは……サキュバスの生殖器構造図まで……っ! このような形をしておったのか……まさに命を搾り取る形をしておるではないかっ、ぐふぅ!」


 溢れ出るリビドーを胸に、最後に手に取ったのが『寝取り寝取らせエトセトラ』。

 ジャンル: NTR・精神崩壊・報告形式

 特徴: 日記や報告書形式で“妻や恋人が寝取られた事実”が綴られていくのが人気。創作、実体験問わず収録。鬱度が高い。上級者向け。

「……これは、まさに試練だ。信仰を揺るがす魔書だ……っ」

 ネリスは、紙面を震える指でそっと撫でながら、その醜くねっとりした唇をゆるゆると歪めた。

「この……日報形式というのがいい。淡々と、逐語的に、“彼女が犯されました”とだけ書かれている……っ。
 その抑制された文体の裏に潜む、
 破滅的欲情の圧力ッ……!」

 ページをめくるたび、
 彼の肩がぶるりぶるりと震え、喉からは小さな笑い声が漏れる。

「尊い。これは、善なる敗北だ。
 自らの伴侶が、汚辱に堕ち、
 それでも『仕方なかったのです』と記す、理知的敗北ッ……!」

 そして、行を指でなぞりながら、
 恍惚とした声でつぶやいた。

「嗚呼……神よ。あなたが奪われる者の悲痛をお与えになったのは、このためだったのですね……」

 彼の目には、ひとすじの涙が浮かんでいた。鬱勃起する彼のペニスは今日も世界を黒く塗りつぶす。



 夢中で勉学に励むネリス。

「やはり……創作は素晴らしい。人が自由であることを、もっとも近くで感じることができる。我が新たな表現を、文体を作り出すたびに、神性の一端に触れたように思える……」

 静かに思索に耽るネリス。
 不意に、股間がムズリと疼いた。

「……む。そろそろ限界か……」

 少女の体をそっと寝椅子へ移し、毛布をかける。
  そして立ち上がると、鏡台の前で法衣を脱ぎ、街歩き用の旅人風の外套に着替えた。

「今日の娼館はどこにしようか……女将のところも良いが……やはり、あの新人たちが入ったという“ローズヒル”か……」

 鼻歌混じりに、フードを深くかぶる。

「偽名はいつも通り“ネリリン・モンロー”でいくとしよう。
 ……ふむ、帰りに我が傑作、『濡れるは神の子宮(マトリクス) ~教会地下の繁殖調書~』の一巻を置かせてやる書店を探すのもいいかもしれんな」

 股間と心をウキウキさせ、自作小説を数冊鞄に忍び込ませるネリス。

 この街のどこかで、数奇な出会いが待つなど、この時のネリスは知る由もなかった。
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