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第5話 神社での出来事
しおりを挟むカランカランカラン
予約のお客さん、清原さんは5人で賑やかに入ってきた。
「いやぁ、すごい雨にやられたよ」
「おや、天気予報が外れたね、今日は天気だたはずだよ」
今日は朝からお店に入るまで雨の気配は無かったけどなと私も頷く。
みんな少し湿った感じだったのでたくさんのおしぼりを用意して渡す。
濡れた上着を預かってコートラックにかけて、ママがコートを乾かすためとみんなが風をひかないように空調をいじった。
「寒いだろう?何から飲む?おでんを先に出そうか」
ママがおでんの火を強めて準備する。
「あ、おでん!!すぐ出して。俺は焼酎のお湯割りで梅干し別でつけてね」
清原さんはマイボトルを入れてくれてるけどセット分の最初の一杯はお店のボトル。
「俺もー」
「私は生ビール」
焼酎のお湯割りが清原さんとサンちゃん。生ビールが京子さん、寺さん、瓶ビールが村ちゃんと。
私はカウンターの裏でこっそりメモに清原さんが口に出す名前とその人の特徴を書く。
お客さんの前ではスマホ禁止で、お客さんの顔を覚えるのに困るとママに言ったらメモを使うように言われた。
京子さんと寺ちゃんは少し顔色が悪い。寒いのかな。
「ママの自家製梅干しはサイコーに良いんだ、お皿に山盛り出して」
ママってば、梅干しまで漬けてるんだ。
ママがつきだしをみんなに出している間に私は飲み物を用意して配る。
「ママとユリカちゃんも好きなのを飲んで」
清原さんが言ってくれたので清原さんのボトルから一杯ずつ焼酎の水割りを作る。
この辺りのシステムも最初はよくわからなかったけど、お客様から頂くドリンク分はセット料金とは別になるらしい。お店のボトルじゃないほうが、お客さんにはお得で……
マイボトルが早く減る分はお店がお得……なのかな?いまだにこの仕組みはよくわからない。
「「「カンパーイ」」」
「「……乾杯」」
「いただきます」
「いただくよ」
清原さんたちは一杯目をグイっと飲んで「ハアー」と大きくため息をつく。
「あんなことがあったからこの温かさが沁みるねー」
「あんなこと?」
清原さんたちはおでんやカボチャサラダをつつきながら、おかわりしたお酒を飲む。
「京子ちゃんと寺ちゃんがさ、昔怖い体験をしたっていうんでその場所に行ってきたのさ」
え?怖い体験??
ここからは清原さんの独壇場だった。ママが無言だけど、好奇心が勝っちゃう。
「この近くの神社で勝負ごとで有名なあの神社はなぁ、昔からヤバイって言われて丁重に扱われてるんだがな」
どこのことかは私もすぐにわかる。
「京子ちゃんが昔友達とやばいらしいんだよって話になってドライブがてら行こうとしたんだとよ。そしたら天気が一気に怪しくなって、到着したら小雨になったから神社に入ってってからが怖かったんだよ」
一気に声のトーンを落として、語り口調になっていく。
「それを聞いて今日近くまで行くから寄ってみることにしたわけ」
京子ちゃんと寺ちゃんはその様子を止めるわけでもなくただ見ている。
「そしたらさ、聞いた通りのことが再現みたいに起こったんだよぉぉ」
清原さんたちは神社に着いてまず本殿でお祈りをして。その時晴れていた空が少し曇っていたそう。
そして、京子ちゃんたちが体験した怖い場所を見るために裏林に向かった。
明るいはずの時間なのに急に視界の明度が下がっていき、薄暗い林の参道を進んでいくと京子ちゃんが震えだしたそう。
「ねぇ……何か聞こえない?」
「なにも聞こえていなぞ」
「え……」
清原さんたちが何聞こえていないと言うと京子ちゃんは寺ちゃんにくっついて震えていたらしい。
その後も清原さんと村ちゃんが先に進んで行こうとしたら、どんどん空模様が怪しくなっていって、すぐにでも雨が降りそうだとあきらめて車に戻ることにした。
だけど鳥居を出ようとしたら、横殴りの大雨で社殿の軒下から出ることができない勢いになったそうだ。
「なんかやべぇのか!?」
「わからない」
どんどん崩れていく天気についには雷まで来てしまったのだという。
ピシャーン!!!
「キャー」
「「うわぁ!!」」
急な天気の変わりようと真っ暗になった空、そして激しい雷。
「おい!!」
「なんだあれ!!」
「あの日と同じよ」
鳥居の向こうに火に包まれた荷車が走っていくのを5人は見たそうだ。
このままここにいるのはまずいと大雨が降る中、みんなで車まで走って戻って慌ててその場を離れたそう。
……怖い。でも店の中にいたとはいえ、そんな大雨が降ってたなら気が付くと思うんだけどな。
続く
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