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決勝四試合目、決着
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相手は苛立っている。まあ、そりゃ彼の言う通り戦闘中に相手に対して回復するというのは挑発行為に取られてもおかしくないというか、取られてしかるべき行為なのは認める。もっとも、今回に限ってはそれが爆弾替わりなんだけどな……龍の国の薬師の師匠から教わったポーション。これはポーション中毒に陥っている人であっても回復させることができる。だが──
(その後はしばらくポーションを飲む事が出来ない。飲めば──死に至る危険性の高いポーションだ。だからこそ人命救助時には細心の注意を払わなければならないが。今回に限っては気にしなくていい)
毒と薬は表裏一体を体現したポーションだよな。治療にも毒殺にも使えるというのが実に、ね。普段ならこんな使い方は絶対しないが、今は普段の状況下ではない。それにまだ相手だって切り札を隠しているはず。その切り札を使われる前に沈めたい。自分は攻撃を開始、八岐の月とレガリオンによる何時もの連撃を相手に向かって行うが──
「この程度なら、余裕で対処できる。甘く見るんじゃねえ!」
という彼の言葉通りに全て弾かれたり避けられたりで対処されてしまった。HPが回復したことで余裕が出たのだろうか? だが、そんな余裕を長引かせる理由はない。連撃を仕掛ける合間に、左手のアンカーに魔力を注入。頃合いを見計らって発射した。が、これも回避される。相手の反応からして、これは事前情報で知っていたな?
「そいつも予習済みだ! 当たると思うなよ?」
なんて言いながら相手の反撃が開始される。さっきと違ってキレのある片手剣による攻撃と盾を鈍器として運用する疑似的な鈍器として運用する猛攻。今度はこちらが防御に回らされるが──攻撃の合間を縫って蹴りを繰り出す。これも見駆られて回避されるが、相手の回避した方向が後方だったことで間合いが空く。
すかさず右手の盾に仕込んであるスネークソードを伸ばして突き攻撃を行った。が、これも相手の盾に阻まれる。あと少し早く攻撃しないと当てる事が叶わないか? ここからは一進一退、お互いクリーンヒットを与えられないまま細かい傷を作り合う事になる。この流れは頂けない。こちらは少しでも損害を抑えて勝たなきゃならないのに、じりじりとHPを削られる。
かといって大ぶりな攻撃を喰らってくれる相手じゃない。何らかの誘いに乗せる事が必要だ。なので攻撃を喰らってはいないのだが、わざと喰らったように見せかけてふらついたかのように演技を行う事にした。盾で防御しても、効いてしまったと思わせるのが一番手っ取り早いか?
自分は相手の攻撃の中でも相手が得意だと思われる横からの薙ぎ払いに狙いを定めた。この薙ぎ払いが一番相手がアーツに頼らない攻撃の中でも一番いい攻撃であるからだ。その攻撃が決まって相手がよろければ、好機だと思うだろう……さっそく考えたことを実行に移す。
相手が薙ぎ払いを繰り出しやすい様に立ち回り、わざと隙を少しだけ晒したように見せかける。これに相手はすぐに食らいついてくれた。狙い通りの薙ぎ払いが自分の頭部に向かって飛んできた。自分はその薙ぎ払いをぎりぎりまで我慢してから何とか間に合ったという感じでガードする。
やってきた衝撃は大きかったが、ふらつく程のものではないというまさに自分の策に適合する最高の一撃。相手には手ごたえが伝わっただろうし、これならびっかけられる可能性が高い。さっそく自分は防ぎきれなかった風な動きを装い、ふらついたような動きを見せる。それによってブルーカラー側からは悲鳴が、マッスル側からは攻めろと言う感じの声が上がったように聞こえた。
「《ピアース・オブ・ナイトメア》!!」
ここだとばかりに相手は片手剣による突きの形で自分の心臓を狙ったアーツが飛んできた。完全に相手がこちらの罠に掛った事を確信し、後方に宙返りする形で《大跳躍》を発動。当然これによって相手のアーツは空を切った。
「なに!?」「え!?」「回避された!?」「あいつ!」
ブルk-カラー側からもマッスル側からも驚きの声が聞こえてきたが、今は無視してアーツを外したことで硬直を晒した相手に強化オイルを複数投げつける。今回は改良されたデスマインオイルまで混ざっている。爆発に巻き込まれればただでは済まないぞ? 投げ終えた自分はすかさず体を丸めて盾を構え、爆発による衝撃に備える。
直後、大爆発により轟音と共に衝撃波が発生。自分は空中にいたのでかなり吹き飛ばされる形になったがダメージはない。着地も何とか無事に成功し、武舞台の端で何とか止まる。相手はどうなった? 武舞台を確認すれば、相手も武舞台の端で体全体が焦げていた。しかし、とっさに防御したのか致命傷は回避していたようだ。
「こんの野郎……とんでもねえ隠し玉をここまで温存してやがったのかよ……! くそ、やむを得ない。中毒が深刻になるが、負けるよりはましか」
相手がポーションを取り出すのが見えた。なので自分は慌てて阻止するべく八岐の月を構えて矢を放ったように見せる。もちろんしっかりと狙ったわけでもない矢は、相手のいる場所とは遠い明後日の方向に飛んでいく。その様子を見て、相手が少し笑ってポーションを口に着け、そして飲んだ事を自分は確認した自分は、そっと武器を仕舞った。
「──どういうつもりだ? まだ勝負は終わってないだろうになぜ武器を仕舞う? 降参という事か?」「あー、違いますね。勝負がもうついたからですよ」
自分の返答に、向こうはどういう事だ? と返答を返したかっただろう。が、その必要はすでにない。なぜなら相手の目、鼻、口から血があふれ出したからだ。何故そんなことが起きたのか──向こうもすぐに思い当たる節を口にした。
「くそ、毒かよ!?」「そちらが先に使ってくれたので、遠慮なく使う事が出来ました」
相手はすかさず新しいポーションを取り出して口に着けた。解毒ポーションだろうけど……意味はない。なぜなら、今の現象は毒によるものじゃないから。が、毒として説明した方が早い&相手にそこまで詳細を教える理由はない。薬師の師直伝のポーションによる反応だなんて、流石に分からないだろうから、自分が教えなければバレることは無い。それに……
(決してあのポーションを飲ませた後は中毒が完全に抜けるまでポーションを飲ませるなと師匠が念を押したんだ。解毒ポーションで治るなんて生易しい物じゃない)
そう思っていると、相手の手からポーション瓶が転がり落ち──直後に相手の全身が武舞台の上に崩れ落ちた。相手の体は小刻みに震えているが、それも徐々におとなしくなっていく。最後に相手はこう口にした。
「こんな毒、知らねえぞ……」
それから数秒後に相手の体が武舞台の上から消えた。師匠のポーションによる副作用で力尽きたようだ。師匠が念押しするわけだ、あんな形で力尽きる事になるって事を師匠は知っていたのだから。罪人相手に試薬を試したらさっきの相手の様に罪人が死んだとか、師匠が危険な理由を知った理由は想像がつく。
『し、勝負ありです! この試合はブルーカラー側の勝利となります!』
進行役のプレイヤーがそう宣言したが、周囲は実に静かなものだった。そりゃまあ、散々相手を燃やした上に最後は毒殺(厳密には副作用だが、そんなことを周囲の人が知る筈はないからね)による勝利だからなー。前に行われた三つの試合とは完全に毛色が違うから、反応に困ったのかもしれない。もしくは……
(毒殺なんてえぐい方法で倒すとか、恐ろしい奴って感じかな。だが、そう思って貰えるならそれでいい。恐怖は相手の正常な判断力を奪う最高の能力低下の一つ。ブルーカラーを優勝させる為なら、何でも使うさ)
なんにせよ、これでようやく一勝だ。ただ、これで用意していたオイルは半減した。同じ手段が使えるのは後一試合だけだ。それに、向こうだって一度見れば対処してくる。だからオイルをメインにした戦いはもうこの大会では不可能だろう。後はアクセントとして使うぐらいか。などと考えながら武舞台を降りると待っていたのはエリザ。どうやら泣き止んだようだな。
「容赦ないですわね。でもそれでこそアースさんですが」「誉め言葉と受け取っていいのだろうか? でもまずは一勝を上げて来たぞ。これで波に乗れればいいのだが」
エリザからの誉め言葉? を受け取りながらも自分はそう口にした。なんにせよこれで先ず反撃の一矢を放てただろう。ここから後続のメンツが勝ってくれれば、流れをこちらに引き寄せられる。
「ま、頑張って来るわね」
と、気楽な感じで武舞台に上がる五番手のノーラ。ここまでの試合で、ブルーカラーのみんなは自分の知らない隠し玉を披露してくれている。ノーラにもきっとそれはあるだろう。次の試合、期待しよう。
*******
書いている最中で、PCのコンセントが抜けてしまって真っ黒になった時は真っ青になりました。
幸い保存をこまめにしていたので大惨事は回避できましたが……心臓に悪い。
(その後はしばらくポーションを飲む事が出来ない。飲めば──死に至る危険性の高いポーションだ。だからこそ人命救助時には細心の注意を払わなければならないが。今回に限っては気にしなくていい)
毒と薬は表裏一体を体現したポーションだよな。治療にも毒殺にも使えるというのが実に、ね。普段ならこんな使い方は絶対しないが、今は普段の状況下ではない。それにまだ相手だって切り札を隠しているはず。その切り札を使われる前に沈めたい。自分は攻撃を開始、八岐の月とレガリオンによる何時もの連撃を相手に向かって行うが──
「この程度なら、余裕で対処できる。甘く見るんじゃねえ!」
という彼の言葉通りに全て弾かれたり避けられたりで対処されてしまった。HPが回復したことで余裕が出たのだろうか? だが、そんな余裕を長引かせる理由はない。連撃を仕掛ける合間に、左手のアンカーに魔力を注入。頃合いを見計らって発射した。が、これも回避される。相手の反応からして、これは事前情報で知っていたな?
「そいつも予習済みだ! 当たると思うなよ?」
なんて言いながら相手の反撃が開始される。さっきと違ってキレのある片手剣による攻撃と盾を鈍器として運用する疑似的な鈍器として運用する猛攻。今度はこちらが防御に回らされるが──攻撃の合間を縫って蹴りを繰り出す。これも見駆られて回避されるが、相手の回避した方向が後方だったことで間合いが空く。
すかさず右手の盾に仕込んであるスネークソードを伸ばして突き攻撃を行った。が、これも相手の盾に阻まれる。あと少し早く攻撃しないと当てる事が叶わないか? ここからは一進一退、お互いクリーンヒットを与えられないまま細かい傷を作り合う事になる。この流れは頂けない。こちらは少しでも損害を抑えて勝たなきゃならないのに、じりじりとHPを削られる。
かといって大ぶりな攻撃を喰らってくれる相手じゃない。何らかの誘いに乗せる事が必要だ。なので攻撃を喰らってはいないのだが、わざと喰らったように見せかけてふらついたかのように演技を行う事にした。盾で防御しても、効いてしまったと思わせるのが一番手っ取り早いか?
自分は相手の攻撃の中でも相手が得意だと思われる横からの薙ぎ払いに狙いを定めた。この薙ぎ払いが一番相手がアーツに頼らない攻撃の中でも一番いい攻撃であるからだ。その攻撃が決まって相手がよろければ、好機だと思うだろう……さっそく考えたことを実行に移す。
相手が薙ぎ払いを繰り出しやすい様に立ち回り、わざと隙を少しだけ晒したように見せかける。これに相手はすぐに食らいついてくれた。狙い通りの薙ぎ払いが自分の頭部に向かって飛んできた。自分はその薙ぎ払いをぎりぎりまで我慢してから何とか間に合ったという感じでガードする。
やってきた衝撃は大きかったが、ふらつく程のものではないというまさに自分の策に適合する最高の一撃。相手には手ごたえが伝わっただろうし、これならびっかけられる可能性が高い。さっそく自分は防ぎきれなかった風な動きを装い、ふらついたような動きを見せる。それによってブルーカラー側からは悲鳴が、マッスル側からは攻めろと言う感じの声が上がったように聞こえた。
「《ピアース・オブ・ナイトメア》!!」
ここだとばかりに相手は片手剣による突きの形で自分の心臓を狙ったアーツが飛んできた。完全に相手がこちらの罠に掛った事を確信し、後方に宙返りする形で《大跳躍》を発動。当然これによって相手のアーツは空を切った。
「なに!?」「え!?」「回避された!?」「あいつ!」
ブルk-カラー側からもマッスル側からも驚きの声が聞こえてきたが、今は無視してアーツを外したことで硬直を晒した相手に強化オイルを複数投げつける。今回は改良されたデスマインオイルまで混ざっている。爆発に巻き込まれればただでは済まないぞ? 投げ終えた自分はすかさず体を丸めて盾を構え、爆発による衝撃に備える。
直後、大爆発により轟音と共に衝撃波が発生。自分は空中にいたのでかなり吹き飛ばされる形になったがダメージはない。着地も何とか無事に成功し、武舞台の端で何とか止まる。相手はどうなった? 武舞台を確認すれば、相手も武舞台の端で体全体が焦げていた。しかし、とっさに防御したのか致命傷は回避していたようだ。
「こんの野郎……とんでもねえ隠し玉をここまで温存してやがったのかよ……! くそ、やむを得ない。中毒が深刻になるが、負けるよりはましか」
相手がポーションを取り出すのが見えた。なので自分は慌てて阻止するべく八岐の月を構えて矢を放ったように見せる。もちろんしっかりと狙ったわけでもない矢は、相手のいる場所とは遠い明後日の方向に飛んでいく。その様子を見て、相手が少し笑ってポーションを口に着け、そして飲んだ事を自分は確認した自分は、そっと武器を仕舞った。
「──どういうつもりだ? まだ勝負は終わってないだろうになぜ武器を仕舞う? 降参という事か?」「あー、違いますね。勝負がもうついたからですよ」
自分の返答に、向こうはどういう事だ? と返答を返したかっただろう。が、その必要はすでにない。なぜなら相手の目、鼻、口から血があふれ出したからだ。何故そんなことが起きたのか──向こうもすぐに思い当たる節を口にした。
「くそ、毒かよ!?」「そちらが先に使ってくれたので、遠慮なく使う事が出来ました」
相手はすかさず新しいポーションを取り出して口に着けた。解毒ポーションだろうけど……意味はない。なぜなら、今の現象は毒によるものじゃないから。が、毒として説明した方が早い&相手にそこまで詳細を教える理由はない。薬師の師直伝のポーションによる反応だなんて、流石に分からないだろうから、自分が教えなければバレることは無い。それに……
(決してあのポーションを飲ませた後は中毒が完全に抜けるまでポーションを飲ませるなと師匠が念を押したんだ。解毒ポーションで治るなんて生易しい物じゃない)
そう思っていると、相手の手からポーション瓶が転がり落ち──直後に相手の全身が武舞台の上に崩れ落ちた。相手の体は小刻みに震えているが、それも徐々におとなしくなっていく。最後に相手はこう口にした。
「こんな毒、知らねえぞ……」
それから数秒後に相手の体が武舞台の上から消えた。師匠のポーションによる副作用で力尽きたようだ。師匠が念押しするわけだ、あんな形で力尽きる事になるって事を師匠は知っていたのだから。罪人相手に試薬を試したらさっきの相手の様に罪人が死んだとか、師匠が危険な理由を知った理由は想像がつく。
『し、勝負ありです! この試合はブルーカラー側の勝利となります!』
進行役のプレイヤーがそう宣言したが、周囲は実に静かなものだった。そりゃまあ、散々相手を燃やした上に最後は毒殺(厳密には副作用だが、そんなことを周囲の人が知る筈はないからね)による勝利だからなー。前に行われた三つの試合とは完全に毛色が違うから、反応に困ったのかもしれない。もしくは……
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なんにせよ、これでようやく一勝だ。ただ、これで用意していたオイルは半減した。同じ手段が使えるのは後一試合だけだ。それに、向こうだって一度見れば対処してくる。だからオイルをメインにした戦いはもうこの大会では不可能だろう。後はアクセントとして使うぐらいか。などと考えながら武舞台を降りると待っていたのはエリザ。どうやら泣き止んだようだな。
「容赦ないですわね。でもそれでこそアースさんですが」「誉め言葉と受け取っていいのだろうか? でもまずは一勝を上げて来たぞ。これで波に乗れればいいのだが」
エリザからの誉め言葉? を受け取りながらも自分はそう口にした。なんにせよこれで先ず反撃の一矢を放てただろう。ここから後続のメンツが勝ってくれれば、流れをこちらに引き寄せられる。
「ま、頑張って来るわね」
と、気楽な感じで武舞台に上がる五番手のノーラ。ここまでの試合で、ブルーカラーのみんなは自分の知らない隠し玉を披露してくれている。ノーラにもきっとそれはあるだろう。次の試合、期待しよう。
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