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二五〇階の騎士との再戦
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お互いに見合って一礼。自分はレガリオンを握り、彼女も自分のスネークソードを握る。この時点ですでにグラッド達の視線は気にならなくなる。何せ目の前に立っている彼女から一瞬でも目を離せば、その瞬間首や心臓を狙った一突きが飛んでくる事は嫌って程におもい知らされている。そんな相手を目の前にして、他の視線にまで意識を避けるほどの余裕はとてもじゃないが持てない。
一歩、二歩とじりじりお互いに間合いを詰める。あれだけ戦った相手だ、お互いの剣の間合いは完全に体に叩き込まれている。事実、お互いあと一歩踏み出せばスネークソードの間合いに入ると言った場所で足を止めた。踏み出せば、その瞬間斬り合いが始まる。ただ、その一歩を自分が踏みだすか、相手を待つかという感じになっている訳だが。
(このまま膠着ってのもつまらない、か。ましてや今回押し掛けたのはこっちだし……行くか)
そして一歩を踏み出す──と同時に、スネークソードの切っ先が飛んでくる。無論こちらもレガリオンを振るって弾いたのだが……この一撃で分かった。自分が戦った時よりも彼女は強くなっている。鋭く、そして重い一撃……速度と重さが両立するっておかしいだろうと文句を言いたくなったが、現実はちゃんと受け止めないとだめだ。
そこから二合、三合とお互いの刃を重ね合いながらさらに間合いを僅かに詰める。火花がまるで花火のように周囲に散り、ある意味美しい光景かもしれない……ただ、こちらとしてはスネークソードの切っ先が上下左右から襲い掛かってくるため、集中していないとすぐに手痛い一撃をもらいかねない状況だが。
そして、防げている理由が両刃状態で運用するレガリオン形態にあった。片方の刃で弾いたスネークソードの切っ先がすぐさま別の方向から襲い掛かってきても、もう片方の刃で素早く対応できるのが大きい。時にはソード形態で、時にはスネーク形態でと目まぐるしくモードをきり変えながら縦横無尽に襲い掛かってくる刃を弾き返し続ける。
(だが、こっちが攻撃するチャンスが無い……だが、だからと言って無理に突撃するのは悪手だ。向こうもそれを待っている可能性が高いしな)
焦りは敵。実力を上げた彼女相手に捨て身の突撃を仕掛けても、よっぽどうまく布石を打った上で行わなければ簡単に対処されてしまう未来しか見えない。まだ始まったばかりなのだから、もう少しじっくり行こう。それに……問題がある。完全に攻撃を弾き返しているつもりなのに、こちらのHPが僅かではあるが削られている。
(こちらのパーリングがまだ甘い? もしくはこの重みも増した一撃がパーリングを貫通して僅かながらダメージを与えている? 一呼吸置けば自然回復する量とはいえ、ダメージを受けている事に変わりはない。もろに喰らったら、それだけで決着がつく可能性があるなこれは)
一度引いて間合いを開け、一呼吸つく。向こうもまだ積極的に攻めてくるつもりはないのか、追撃はしてこない。そして再びのにらみ合い──距離を詰めるときに出る足音がやたらと大きく感じる。だが、それでもこちらから間合いを詰める。それに、集中力が高まった事で明鏡止水状態に入る事も出来た。これでどうなるか、もう一度勝負と行こう。
再び行われる剣戟と火花のスターマイン。激しい音と火花が無数に散り、お互いの刃を相手に届かせようという押し合いが繰り広げられる。だが、今度は明鏡止水の状態に入っている分さっきより落ち着いて対処できる。相手の刃がしっかりと見えるようになっているからな……左、そして上。そこからフェイントをかけてから下。大丈夫、見えている。
「ちっ、お前ら目で追えているか?」「七割ぐらいはね。でも、全部は見切れないわ」「アースの奴、どこまで目が良いんだ? あの猛攻をかけてくるスネークソードをすべてスネークソードで弾いてやがる」「あの度胸はすごいな。一撃貰えば致命傷になりかねない刃の猛攻をはじき返しながらも前に出ているとは」「スキルの力? うーん、それだけじゃ説明しきれない、かな?」「マジかよ、盾無しであそこまでやれるのかよ」
よし、戦い続ける事で心身がより集中してきたお陰で彼女の攻撃がよりはっきりと見えるようになってきた。それによって、ようやく反撃を叩き込むチャンスも見えてきた。大きな一撃は無理だが──まずは軽い一手をなんでもいいから一回でも入れないとこのまま防戦一方になってしまう。攻撃を弾き返しながら、反撃を入れられるタイミングをうかがう。
(よし、弾いて、弾いて、これを回避しながらまずは一手入れる)
直線的に襲い掛かってくる一撃をすれすれで回避しながら反撃の突きを彼女へと放つ。が、この一撃を彼女はスネークソードの鍔で防いできた。だが、その行動により彼女の攻撃の手が止まってしまった。ならば当然、こっちが攻める番となる。一対の刃を使った猛攻をお見せしようじゃないか……縦横無尽の攻撃は、そちらだけの専売特許ではない。
上下左右に加えて突きも交えた猛攻を今度はこちらが行う……が、そのどれもが弾かれる。だが、これは想定内。容易く攻撃が通るような優しい相手じゃない事は始めから分かっているのだから。攻守入れ替わりで、先ほどと同じ光景が繰り返される。手数ならこちらの方が多いはずなのだが、全てを対処してくる。明鏡止水の世界にこちらが入っているのにこれか……やはり、彼女は攻撃だけじゃなく防御の技術も大きく上がっている。
(最初の一手が入らないな……こうなると、先にどちらが明確な一撃を入れたかどうかで流れが決まってしまう。そうなると我慢比べが始まってしまう訳だが……さて、どうした物か)
その後もこちらは攻撃を続けるが全て防ぎ切られた。その後にまた互いに一歩引いて間合いを取り──ここで、彼女が手を開いて前に出してきた。
「ここまでにしよう。これ以上続けると、こちらも切り札を切るしかなくなってしまう。だが、それは流石に彼等にはまだ見せたくない。彼らが私を追い詰めた時に見せるべき業だからな……本音を言えばもっと貴殿とこうして戦いたいのだが、な」
そうか、それは確かにグラッド達が自分で切り開かなきゃいけない領域だな。それに十分戦いを見せる事は出来たはずだし……ここが辞め時か。自分は頷いて明鏡止水の状態も解除し、レガリオンを分離させて鞘に納めた。そして大きく息を吐き出す──かなり集中していたな、こうして普通の状態に戻るとかなり疲れを感じる。
「こちらも塔を登って強くなったつもりだったのですが……結局一撃もまともな物は入れられませんでした」「それを言うならこちらこそだ。流石五〇〇階の姉が行った試練を突破しただけはあると感じたよ」
自分の言葉に、彼女がそう返してきた。さて、グラッド達からはどう見えたかな? そう思ってグラッド達の方を見ると──グラッドが顎に手を当てながら何やらぶつぶつと呟いている。そして、ジャグドとガルが近寄ってくる。
「いやあ、いいもん見れたぜ。わざわざ来てもらった甲斐があったってもんだ。しかし、よくお前さんはああも相手のスネークソードの刃に対応できるな? まあできなきゃソロでここを突破できねえんだろうがよ」
これはジャグド。
「いやはや、見ごたえがあったよ~。ワクワクする戦いを見られてすごく楽しかった! アースは間違いなく有翼人の戦いの後よりはるかに強くなってるよね、嫌でもわかるよ」
そしてガル。この二人はお世辞とか抜きで正直に言ってくるからな、純粋に認めてくれているんだろう。彼等から褒められるのは、正直に言ってうれしい。
「お二人にそこまで言ってもらえるのは嬉しいですね。この塔を登るうえで嫌でもプレイヤースキルが鍛えられているのは感じていますが、こうやってトップの貴方達に褒めてもらえるなら、自信が持てるってものです」
なんて会話を行っていると、今度はザッドが話しかけてきた。
「すまない、一つ教えて欲しい事がある。先ほどの戦いで使っていた両刃剣というのか? それの情報をワンモアwikiで調べていたのだが……ハッキリとした情報が上がってこなかった。なので聞きたいのだが……その両刃剣を使うためのスキルは専用の物が必要なのか? それとも今までのスキルの流用で行けるのか?」
ふむ、以前も見せた時には聞いてこなかった事だが……先ほどの戦いを見て感じる事があったのだろうか。まあ隠す事でもないし教えようか。
「これはスネークソードのスキルがあれば使えています。多分片手剣スキルや両手剣スキルがあれば、片手剣二つをこういう感じにつなぎ合わせる形の両刃剣なら多分使えると思います。ただ両手剣を二本つなげると馬鹿でかくなってしまいそうですが」
もう一度レガリオンを合体させ、ザッドに良く見せる。ザッドにゆっくり振るところを見せて欲しいと言われたので、少し距離を開けて軽い演武を見せる事にした。出来るだけゆっくりとレガリオンを振りながらザッドの前で実演する。
「なるほどな……軸の部分を中心に様々な形に振り回す事で、特殊な間合いや反撃能力がある武器だと言う事がよく分かった。使い手が少ないからな、こうやってじっくりと見れる機会がほとんどなかった……扱いは難しそうだが、それを考慮しても魅力がある武器か……ううむ」
そう言うと、ザッドは考え込むような態勢を取って動かなくなってしまった。もしかして、実戦投入するべきかを考えているのだろうか? ザッドの獲物は両手斧だが……専用に調整した両手斧二つを組み合わせて、両刃剣にするつもりなのだろうか? 相当な重量がかさむはずだが、ザッドの怪力なら可能、か?
「私から言うのもなんだが……容易く扱える武器ではないよ。正直に言うと、アースと戦った後私も彼と同じスネークソードを繋ぎ合わせた武器に挑戦している。だが、まだとてもじゃないが実戦に出せるほどの動きは出来ない。独特な動きを覚える事を要求されるからな……まあ、使いこなす例が目の前にいる以上、いつかは出来るようになりたいがね」
と、二五〇階を護る彼女からもそんな発言が飛び出した。むう、もし彼女がレガリオンの様な武器を振り回せるようになったら……想像したくないな、怖いどころの話じゃない。あの重さ、速度に加えてて数まで加わったらシャレにならないぞ。
「だが、覚える価値はある。それを目の前で見せられたぜ。アース、今回は俺達の要求を聞いてくれた事に感謝するぜ」「グラッド達には空の戦いで頑張ってもらった恩があるからね、今回はその借りを少し返しただけだよ」
グラッドの言葉にそう返答した。そして時間を確認すると……一時間以上たっていた。体感的には三〇分だったんだが、倍以上の時間を使っていたんだな……こりゃ今日の攻略は無理だな。かなり疲れたし、明日にすることにしよう。
「それでは、今日は失礼します」「ああ、ありがとよ。良い物を見せてもらったぜ」
グラッドに断ってから、この場を後にした後にログアウトした。彼らの二五〇階突破に今日の戦いが役に立ってくれる事を祈るしかないな。
******
新年あけましておめでとうございます。
新年早々ですが連絡事項です。時間の書籍化作業が本格化するため、更新がもうしばらく不定期になります。
今回の書籍で、空の戦いに決着がつくところまで進む事になります。取り下げ範囲もその辺です。
よろしくお願いいたします。
一歩、二歩とじりじりお互いに間合いを詰める。あれだけ戦った相手だ、お互いの剣の間合いは完全に体に叩き込まれている。事実、お互いあと一歩踏み出せばスネークソードの間合いに入ると言った場所で足を止めた。踏み出せば、その瞬間斬り合いが始まる。ただ、その一歩を自分が踏みだすか、相手を待つかという感じになっている訳だが。
(このまま膠着ってのもつまらない、か。ましてや今回押し掛けたのはこっちだし……行くか)
そして一歩を踏み出す──と同時に、スネークソードの切っ先が飛んでくる。無論こちらもレガリオンを振るって弾いたのだが……この一撃で分かった。自分が戦った時よりも彼女は強くなっている。鋭く、そして重い一撃……速度と重さが両立するっておかしいだろうと文句を言いたくなったが、現実はちゃんと受け止めないとだめだ。
そこから二合、三合とお互いの刃を重ね合いながらさらに間合いを僅かに詰める。火花がまるで花火のように周囲に散り、ある意味美しい光景かもしれない……ただ、こちらとしてはスネークソードの切っ先が上下左右から襲い掛かってくるため、集中していないとすぐに手痛い一撃をもらいかねない状況だが。
そして、防げている理由が両刃状態で運用するレガリオン形態にあった。片方の刃で弾いたスネークソードの切っ先がすぐさま別の方向から襲い掛かってきても、もう片方の刃で素早く対応できるのが大きい。時にはソード形態で、時にはスネーク形態でと目まぐるしくモードをきり変えながら縦横無尽に襲い掛かってくる刃を弾き返し続ける。
(だが、こっちが攻撃するチャンスが無い……だが、だからと言って無理に突撃するのは悪手だ。向こうもそれを待っている可能性が高いしな)
焦りは敵。実力を上げた彼女相手に捨て身の突撃を仕掛けても、よっぽどうまく布石を打った上で行わなければ簡単に対処されてしまう未来しか見えない。まだ始まったばかりなのだから、もう少しじっくり行こう。それに……問題がある。完全に攻撃を弾き返しているつもりなのに、こちらのHPが僅かではあるが削られている。
(こちらのパーリングがまだ甘い? もしくはこの重みも増した一撃がパーリングを貫通して僅かながらダメージを与えている? 一呼吸置けば自然回復する量とはいえ、ダメージを受けている事に変わりはない。もろに喰らったら、それだけで決着がつく可能性があるなこれは)
一度引いて間合いを開け、一呼吸つく。向こうもまだ積極的に攻めてくるつもりはないのか、追撃はしてこない。そして再びのにらみ合い──距離を詰めるときに出る足音がやたらと大きく感じる。だが、それでもこちらから間合いを詰める。それに、集中力が高まった事で明鏡止水状態に入る事も出来た。これでどうなるか、もう一度勝負と行こう。
再び行われる剣戟と火花のスターマイン。激しい音と火花が無数に散り、お互いの刃を相手に届かせようという押し合いが繰り広げられる。だが、今度は明鏡止水の状態に入っている分さっきより落ち着いて対処できる。相手の刃がしっかりと見えるようになっているからな……左、そして上。そこからフェイントをかけてから下。大丈夫、見えている。
「ちっ、お前ら目で追えているか?」「七割ぐらいはね。でも、全部は見切れないわ」「アースの奴、どこまで目が良いんだ? あの猛攻をかけてくるスネークソードをすべてスネークソードで弾いてやがる」「あの度胸はすごいな。一撃貰えば致命傷になりかねない刃の猛攻をはじき返しながらも前に出ているとは」「スキルの力? うーん、それだけじゃ説明しきれない、かな?」「マジかよ、盾無しであそこまでやれるのかよ」
よし、戦い続ける事で心身がより集中してきたお陰で彼女の攻撃がよりはっきりと見えるようになってきた。それによって、ようやく反撃を叩き込むチャンスも見えてきた。大きな一撃は無理だが──まずは軽い一手をなんでもいいから一回でも入れないとこのまま防戦一方になってしまう。攻撃を弾き返しながら、反撃を入れられるタイミングをうかがう。
(よし、弾いて、弾いて、これを回避しながらまずは一手入れる)
直線的に襲い掛かってくる一撃をすれすれで回避しながら反撃の突きを彼女へと放つ。が、この一撃を彼女はスネークソードの鍔で防いできた。だが、その行動により彼女の攻撃の手が止まってしまった。ならば当然、こっちが攻める番となる。一対の刃を使った猛攻をお見せしようじゃないか……縦横無尽の攻撃は、そちらだけの専売特許ではない。
上下左右に加えて突きも交えた猛攻を今度はこちらが行う……が、そのどれもが弾かれる。だが、これは想定内。容易く攻撃が通るような優しい相手じゃない事は始めから分かっているのだから。攻守入れ替わりで、先ほどと同じ光景が繰り返される。手数ならこちらの方が多いはずなのだが、全てを対処してくる。明鏡止水の世界にこちらが入っているのにこれか……やはり、彼女は攻撃だけじゃなく防御の技術も大きく上がっている。
(最初の一手が入らないな……こうなると、先にどちらが明確な一撃を入れたかどうかで流れが決まってしまう。そうなると我慢比べが始まってしまう訳だが……さて、どうした物か)
その後もこちらは攻撃を続けるが全て防ぎ切られた。その後にまた互いに一歩引いて間合いを取り──ここで、彼女が手を開いて前に出してきた。
「ここまでにしよう。これ以上続けると、こちらも切り札を切るしかなくなってしまう。だが、それは流石に彼等にはまだ見せたくない。彼らが私を追い詰めた時に見せるべき業だからな……本音を言えばもっと貴殿とこうして戦いたいのだが、な」
そうか、それは確かにグラッド達が自分で切り開かなきゃいけない領域だな。それに十分戦いを見せる事は出来たはずだし……ここが辞め時か。自分は頷いて明鏡止水の状態も解除し、レガリオンを分離させて鞘に納めた。そして大きく息を吐き出す──かなり集中していたな、こうして普通の状態に戻るとかなり疲れを感じる。
「こちらも塔を登って強くなったつもりだったのですが……結局一撃もまともな物は入れられませんでした」「それを言うならこちらこそだ。流石五〇〇階の姉が行った試練を突破しただけはあると感じたよ」
自分の言葉に、彼女がそう返してきた。さて、グラッド達からはどう見えたかな? そう思ってグラッド達の方を見ると──グラッドが顎に手を当てながら何やらぶつぶつと呟いている。そして、ジャグドとガルが近寄ってくる。
「いやあ、いいもん見れたぜ。わざわざ来てもらった甲斐があったってもんだ。しかし、よくお前さんはああも相手のスネークソードの刃に対応できるな? まあできなきゃソロでここを突破できねえんだろうがよ」
これはジャグド。
「いやはや、見ごたえがあったよ~。ワクワクする戦いを見られてすごく楽しかった! アースは間違いなく有翼人の戦いの後よりはるかに強くなってるよね、嫌でもわかるよ」
そしてガル。この二人はお世辞とか抜きで正直に言ってくるからな、純粋に認めてくれているんだろう。彼等から褒められるのは、正直に言ってうれしい。
「お二人にそこまで言ってもらえるのは嬉しいですね。この塔を登るうえで嫌でもプレイヤースキルが鍛えられているのは感じていますが、こうやってトップの貴方達に褒めてもらえるなら、自信が持てるってものです」
なんて会話を行っていると、今度はザッドが話しかけてきた。
「すまない、一つ教えて欲しい事がある。先ほどの戦いで使っていた両刃剣というのか? それの情報をワンモアwikiで調べていたのだが……ハッキリとした情報が上がってこなかった。なので聞きたいのだが……その両刃剣を使うためのスキルは専用の物が必要なのか? それとも今までのスキルの流用で行けるのか?」
ふむ、以前も見せた時には聞いてこなかった事だが……先ほどの戦いを見て感じる事があったのだろうか。まあ隠す事でもないし教えようか。
「これはスネークソードのスキルがあれば使えています。多分片手剣スキルや両手剣スキルがあれば、片手剣二つをこういう感じにつなぎ合わせる形の両刃剣なら多分使えると思います。ただ両手剣を二本つなげると馬鹿でかくなってしまいそうですが」
もう一度レガリオンを合体させ、ザッドに良く見せる。ザッドにゆっくり振るところを見せて欲しいと言われたので、少し距離を開けて軽い演武を見せる事にした。出来るだけゆっくりとレガリオンを振りながらザッドの前で実演する。
「なるほどな……軸の部分を中心に様々な形に振り回す事で、特殊な間合いや反撃能力がある武器だと言う事がよく分かった。使い手が少ないからな、こうやってじっくりと見れる機会がほとんどなかった……扱いは難しそうだが、それを考慮しても魅力がある武器か……ううむ」
そう言うと、ザッドは考え込むような態勢を取って動かなくなってしまった。もしかして、実戦投入するべきかを考えているのだろうか? ザッドの獲物は両手斧だが……専用に調整した両手斧二つを組み合わせて、両刃剣にするつもりなのだろうか? 相当な重量がかさむはずだが、ザッドの怪力なら可能、か?
「私から言うのもなんだが……容易く扱える武器ではないよ。正直に言うと、アースと戦った後私も彼と同じスネークソードを繋ぎ合わせた武器に挑戦している。だが、まだとてもじゃないが実戦に出せるほどの動きは出来ない。独特な動きを覚える事を要求されるからな……まあ、使いこなす例が目の前にいる以上、いつかは出来るようになりたいがね」
と、二五〇階を護る彼女からもそんな発言が飛び出した。むう、もし彼女がレガリオンの様な武器を振り回せるようになったら……想像したくないな、怖いどころの話じゃない。あの重さ、速度に加えてて数まで加わったらシャレにならないぞ。
「だが、覚える価値はある。それを目の前で見せられたぜ。アース、今回は俺達の要求を聞いてくれた事に感謝するぜ」「グラッド達には空の戦いで頑張ってもらった恩があるからね、今回はその借りを少し返しただけだよ」
グラッドの言葉にそう返答した。そして時間を確認すると……一時間以上たっていた。体感的には三〇分だったんだが、倍以上の時間を使っていたんだな……こりゃ今日の攻略は無理だな。かなり疲れたし、明日にすることにしよう。
「それでは、今日は失礼します」「ああ、ありがとよ。良い物を見せてもらったぜ」
グラッドに断ってから、この場を後にした後にログアウトした。彼らの二五〇階突破に今日の戦いが役に立ってくれる事を祈るしかないな。
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新年あけましておめでとうございます。
新年早々ですが連絡事項です。時間の書籍化作業が本格化するため、更新がもうしばらく不定期になります。
今回の書籍で、空の戦いに決着がつくところまで進む事になります。取り下げ範囲もその辺です。
よろしくお願いいたします。
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