俺の武器が最弱のブーメランだった件〜でも、レベルを上げたら強すぎた。なんか伝説作ってます!?〜

神伊 咲児

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第27話 マワルとアイア

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~~マワル視点~~

 ケンゼランドとヤーリーが衛兵に捕まり縛られた。

 詳細は後で聞くしかないようだな。

 女王は俺を見て笑う。

「ブーメラン使いよ。名をなんと申す?」

「マワルです。マワル・ヤイバーン」

「ではマワル。そなたに王都ハジマールの未来を託す!」

「はい!」
 
 よぉし! 女王様、直々の頼みだかんな。なんとかダークドラゴンを倒してみますか!

 俺はブーメランを真上へと放り投げた。それは頭上で旋回し渦を作る。

 王の間は強風で乱れた。椅子は飛び、兵士達は兜を抑える。
 女王はスカートが捲れ上がって真っ白い太ももが見えるのを必死に抑えた。

「す、凄い風圧だな」

「このスキルなら、きっと奴を倒せます!」

 新しく覚えたスキル。大きな旋風をブーメランに纏わせて敵を切り裂く。

 ダークドラゴンは背を向けて逃げていた。
 やはり俺に恐れを成しているようだ。

 あんにゃろうをこのまま逃したら破壊活動は止まらない。
 絶対にここで仕留めてやる!

 右手を振り下ろし、叫ぶ。



 凄威回転斬マイトスラッシュ!!」


 
 その動作に連動してブーメランが飛んでいった。
 それは雷を纏って凄まじい勢いで回転する。


ギュゥウウウウウウウウウウンッ!!


 当たれば体を真っ二つにできるだろう。
 しかし、ダークドラゴンは素早く旋回し避けた。
 ザクンと大きな音をたてて切断したのは巨大な尻尾だけだった。


『グォッ!!』

「あーー!! 惜しいい!! もうちょっとだったのにぃ!!」

「……気をつけろよマワル。奴は再生するかもしれない」

 女王の言葉どおりだった。ダークドラゴンはプルプルと震え、尻尾をニョキニョキと生やし始めた。

 再生能力だ!

「どうして女王様がそんなことを知っているんですか?」

「言い伝えさ。300年前。奴が封印された時の話だ」

 剣聖ブレイズニュートが奴を封印した時の話か!

「剣聖の斬撃はダークドラゴンを切り刻んだ。だが奴は再生して決して死ぬことはなかった」

「だから聖典の力で封印したんですか?」

「そうだ。剣聖がドラゴンの動きを止めて、大賢者ナナセルが聖典を読んで封印したのだ」

「じゃあ聖典はどこにあるんですか?」

「残念ながら無くなった」

 女王の視線の先には小石でめちゃくちゃにされた紙屑が見えた。

 も、もしかして……?

「ダークドラゴンによって聖典は破壊されたのだ」

 マジかよ……。

「……てことは、ダークドラゴンを完全に倒すことはできないのか」

「マワル。そなたが奴の動きを止めて、王都民を国外に逃すという案はどうだろうか?」

「女王様は逃げないんですか?」

「そなた1人を置いて逃げれるか! 私は残ってそなたのバックアップをする!」

 へぇ~~。初めて女王と話したけど、結構良い人かもな。

「女王様は王都民と避難をしていてください。奴は俺が倒しますから」

「倒す算段はあるのか?」

「戦いながら探します」

「えらくシンプルだな」

 俺は満面の笑みでブーメランを見せた。

「俺にはヴァンスレイブがいますから」

 女王は目を細めた。

「もしや、そなたは【名聞《なき》き】か?」

 笑われるかな?
 ま、いっか。事実なんだしな。
 正直に言おう。

「はい。俺はこいつの声が聞こえます」

「は、ははは。まさか伝説の【名聞《なき》き】が目の前にいるなんてな」

 あれ?

「俺のこと、信じるんですか?」

「当然だろう。ダークドラゴンの炎を消滅させて、尻尾まで切った。こんなことができるのはハジマールでもそなただけだ。マワルが【名聞《なき》き】なのはうなづける」

 へへへ。なんか嬉しいな。
 信じてもらえるってこんなに気分が良いもんなんだな。

「かの剣聖も【名聞《なき》き】だったという」

「え!? ブレイズニュートが!?」

「そうだ。大剣の声を聞き、凄まじいスキルを使ったそうだ」

 俺は剣聖と同じかぁ!
 なんかすっげぇ嬉しいな。

「しかし、如何な【名聞《なき》き】でもダークドラゴンは相手が悪過ぎるぞ。あの剣聖でさえも1人では倒せなかったのだからな。そなたに仲間はいないのか?」

「1人だけいます。女の子の僧侶が」

「おお! ではその仲間と協力して、あのドラゴンと戦うのだな?」

「いえ。ドラゴンとは俺1人で戦います。彼女もきっと戦ってるだろうから」

「戦ってる? 他に敵がいるのか?」

「いえ、そうじゃなくて……。ダークドラゴンの破壊行動で、王都はめちゃくちゃです。そこら中に怪我人が出てます。彼女はそんな人達を助けているんです」

「殊勝な女だな!」

「ええ! 凄く良い奴です!」

 ダークドラゴンは尻尾の再生を終えた。
 ニヤリと笑って呟く。

『攻撃を覚えたぞ……』

 再び元気を取り戻し漆黒の炎を吐いた。

「じゃあ! 俺、行きます!! 必ず、王都を護りますから!!」

 俺は目の前にブーメランを投げると旋風を纏わせた。

 回転飛行ブーメランサルト!」

 それに乗ってダークドラゴンの元へと飛んだ。




◇◇◇◇




~~僧侶アイア視点~~

 私は中央広場から随分と離れた場所に来ていた。そこは赤のギルドの範囲内。
 そこの冒険者達と力を合わせて怪我人を助ける。

 私は大声を張り上げた。

「A級B級の僧侶さん達は東へ向かってください! この地区はC級以下の僧侶で治療します!」

 私達は煤まみれで真っ黒な顔になっていた。
 ダークドラゴンの炎は王都を焼き、そこら中が火事になっている。

 マワルさん……。大丈夫かな?

 1人の僧侶が大声をあげて飛び込んで来た。

「大ニュースよ! ブーメラン使いの男がダークドラゴンと戦ってるんだって!」

 ブーメランといえばマワルさんだ! 
 マワルさん以外に考えられない!

「アイアさんは確か緑のギルド員よね? ブーメラン使いもそこの人みたいだけど知ってる?」

「マワルさんです! 私、その人の仲間なんです!」

「え? 凄いじゃない。なんかダークドラゴン相手に良い勝負してるんだって。今度サイン貰ってよ。絶対に英雄になるわ、その人」

 その時、みんなは空を見上げた。

「ちょっと見てよ! S級魔法使いが空を飛んでダークドラゴンに向かってるわよ!」

 あ、違います!
 あれは魔法使いじゃない。
 遠すぎて良く見えないけれど、何故だかわかる! 


「あれ、マワルさんです!!」


 みんなは首を傾げた。

「その人ってブーメラン使いじゃないの? あっちは空飛んでんだけど??」

「きっと新しいスキルを覚えたんです!」

「ブーメランで空飛ぶの!? あ、でもダークドラゴンと戦うってそういうことか!? 凄ぉッ!!」

 私は怪我人に目をやった。

「み、皆さん。私……。ここを離れてもいいでしょうか?」

「アイアさんのおかげで僧侶達が団結して王都民を助けることができました。ある程度の目処はついたと思いますけど。どんな用事なんですか?」

 私が空を見上げるとみんなは目を見張った。

「も、もしかして、貴女の仲間っていうマワルさんを助けに行くの?」

「はい」

「そんな! あなたはE級僧侶なのよ! ダークドラゴンなんかと戦えますか! 一撃で殺されるのがオチですよ!!」

「マワルさんもE級冒険者です!」

「「「「 え!? 」」」」

「私だけが戦うんじゃありません! マワルさんと一緒に戦うんです!!」

 みんなは顔を見合わせました。私のことを心配しているようです。

「皆さん、お気遣いありがとうございます! でも、どうか、仲間を助けに行かせてください!」

 1人の賢者が私の前に立った。腰を落として、私の膝に魔法をかける。

「加速魔法リメロスを付与しました。これでアイアさんの走る速度は数十倍にもなりますよ」

「あ、じゃあ!?」

「気をつけてくださいね。貴女のおかげで沢山の人が助かりました。貴女は凄い僧侶です。絶対に死んじゃいけない」

「大丈夫! マワルさんがいるから!!」

 私は飛び出していた。


ドギューーーーーーンッ!!


「みなさん! ありがとうございまーーす……!!」

 は、速いッ!!

 脚が普段の何倍も速く動く!
 この速度なら直ぐに追いつくはず!

 私が行って何ができるかはわからないけれど。
 仲間なんだもん。あなたと一緒に戦いたい!

 マワルさん、1人じゃないですからね!!




==================================
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現在の状況【読み飛ばしてもストーリーに影響はありません】



名前:マワル・ヤイバーン。

冒険者等級:E級。

守護武器:ブーメラン。

武器名:ヴァンスレイブ。

レベル:10。

取得スキル:
 戻るリターン
 双刃ダブルブーメラン
 回転遅延スピンスロウ
 絶対命中ストライクヒット
 回転防御スピンディフェンス
 回転飛行ブーメランサルト
 飛刃の大群ブーメランホード
 凄威回転斬マイトスラッシュ。 NEW


アイテム:薬草。図鑑。

昇級テスト必須アイテム:
白い角。黒い牙。緑の甲羅。


所持金:6万1千エーン。


仲間:僧侶アイア・ボールガルド。
オバケ袋のブクブク。
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