195 / 515
第四章
9.限界だ【2】
しおりを挟む
「その為に…………時間を作る為に公務を詰めたんだ」
視線を逸らしながらもヴォルが答えてくれたのですが──すみません。私には言葉の意味が分からないです。
思い切り首を傾げたのを、ヴォルは雰囲気で感じたようです。小さく溜め息をつかれ、私は彼を見上げました。
「……その…………最近……、あまり話せなかっただろう」
言いにくそうに告げるヴォルです。
──えっと……、あまり話せなかった……から?…………ん?
そんな問答をしている間も歩みは止まる事がなく、いつの間にかヴォルの部屋に着いていました。
「アイツが……、時間は作れと言うし」
ヴォル、私と話す時間を作る為にお仕事をたくさんされていたのですか?まぁ、毎日お忙しいのは知っていますが──でも私との為に?
扉を開けて中に入りつつも、ブツブツと呟くヴォルを初めて見ました。普段は淡々と、しかも断定的に話すのにですよ。
「一週間程の仕事は片付けた。だから……」
「本当に?……一緒にいられるのですか?」
言葉が自然と出てきます。深く考える事など、必要ないくらいに。
少し勢いがありすぎたのか、僅かにヴォルの瞳が開かれます。
「あ、あぁ。…………嬉しいのか?」
少し戸惑ったようなヴォルでした。
問い掛けられた内容は、私の満面の笑みを見たから──ですかね?
でもだって、本当に嬉しいですもの!
「はいっ。私、ヴォルと一緒にいたいです」
「っ。……そ、そうか」
息を呑んで視線を逸らしたヴォルでした。──でも、私の腰を抱いたままです。
こうして触れられるのも久し振りな気がして──、嬉しいのですけど恥ずかしいですね。
「あ、あの……。部屋に戻ってきて……、どうなさるのですか?」
抱き留められている事に恥じらいを感じ、モゾモゾとし始めた私です。
距離感が半端なく近いのですが。
「メルとの時間を過ごす」
ハッキリと告げられ、真っ直ぐに青緑色の瞳を向けられます。──な、何かドキドキします。
ヴォルとの距離と言葉に、私は声なく口を開閉してしまいました。
「嫌か?」
そんな私に、低い──何か物凄く甘い声で問われます。──嫌な訳、ないではないですかっ。
私は思い切り首を横に振りました。
「メルに……触れたい」
ヴォルの言葉を聞くだけでゾクゾクしてきます。
もう既に一杯一杯な私は声も出せず、今度はコクコクと首を縦に振ります。
「キス……したい」
──キャーッ!
ドキドキが激しすぎて、心臓が口から出てこないでしょうか。
どう答えて良いのか分からないですが、ヴォルは私の返答を待っているようです。ジッとこちらを見ているのです。
私は真っ直ぐ見返す事が出来ず、視線だけで見上げつつも首を縦に振りました。
途端にフワリと微笑まれました。──ドキッ、ですよ。
もう心臓が、有り得ない程高速回転です。その逆に頭は全く働いてくれず、ヴォルの匂いと声と視線にショート寸前でした。
わ、私はこのまま──いえ、壊れても良いかもしれないです。
視線を逸らしながらもヴォルが答えてくれたのですが──すみません。私には言葉の意味が分からないです。
思い切り首を傾げたのを、ヴォルは雰囲気で感じたようです。小さく溜め息をつかれ、私は彼を見上げました。
「……その…………最近……、あまり話せなかっただろう」
言いにくそうに告げるヴォルです。
──えっと……、あまり話せなかった……から?…………ん?
そんな問答をしている間も歩みは止まる事がなく、いつの間にかヴォルの部屋に着いていました。
「アイツが……、時間は作れと言うし」
ヴォル、私と話す時間を作る為にお仕事をたくさんされていたのですか?まぁ、毎日お忙しいのは知っていますが──でも私との為に?
扉を開けて中に入りつつも、ブツブツと呟くヴォルを初めて見ました。普段は淡々と、しかも断定的に話すのにですよ。
「一週間程の仕事は片付けた。だから……」
「本当に?……一緒にいられるのですか?」
言葉が自然と出てきます。深く考える事など、必要ないくらいに。
少し勢いがありすぎたのか、僅かにヴォルの瞳が開かれます。
「あ、あぁ。…………嬉しいのか?」
少し戸惑ったようなヴォルでした。
問い掛けられた内容は、私の満面の笑みを見たから──ですかね?
でもだって、本当に嬉しいですもの!
「はいっ。私、ヴォルと一緒にいたいです」
「っ。……そ、そうか」
息を呑んで視線を逸らしたヴォルでした。──でも、私の腰を抱いたままです。
こうして触れられるのも久し振りな気がして──、嬉しいのですけど恥ずかしいですね。
「あ、あの……。部屋に戻ってきて……、どうなさるのですか?」
抱き留められている事に恥じらいを感じ、モゾモゾとし始めた私です。
距離感が半端なく近いのですが。
「メルとの時間を過ごす」
ハッキリと告げられ、真っ直ぐに青緑色の瞳を向けられます。──な、何かドキドキします。
ヴォルとの距離と言葉に、私は声なく口を開閉してしまいました。
「嫌か?」
そんな私に、低い──何か物凄く甘い声で問われます。──嫌な訳、ないではないですかっ。
私は思い切り首を横に振りました。
「メルに……触れたい」
ヴォルの言葉を聞くだけでゾクゾクしてきます。
もう既に一杯一杯な私は声も出せず、今度はコクコクと首を縦に振ります。
「キス……したい」
──キャーッ!
ドキドキが激しすぎて、心臓が口から出てこないでしょうか。
どう答えて良いのか分からないですが、ヴォルは私の返答を待っているようです。ジッとこちらを見ているのです。
私は真っ直ぐ見返す事が出来ず、視線だけで見上げつつも首を縦に振りました。
途端にフワリと微笑まれました。──ドキッ、ですよ。
もう心臓が、有り得ない程高速回転です。その逆に頭は全く働いてくれず、ヴォルの匂いと声と視線にショート寸前でした。
わ、私はこのまま──いえ、壊れても良いかもしれないです。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】地味な私と公爵様
ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。
端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。
そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。
...正直私も信じていません。
ラエル様が、私を溺愛しているなんて。
きっと、きっと、夢に違いありません。
お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
もう一度あなたと?
キムラましゅろう
恋愛
アデリオール王国魔法省で魔法書士として
働くわたしに、ある日王命が下った。
かつて魅了に囚われ、婚約破棄を言い渡してきた相手、
ワルター=ブライスと再び婚約を結ぶようにと。
「え?もう一度あなたと?」
国王は王太子に巻き込まれる形で魅了に掛けられた者達への
救済措置のつもりだろうけど、はっきり言って迷惑だ。
だって魅了に掛けられなくても、
あの人はわたしになんて興味はなかったもの。
しかもわたしは聞いてしまった。
とりあえずは王命に従って、頃合いを見て再び婚約解消をすればいいと、彼が仲間と話している所を……。
OK、そう言う事ならこちらにも考えがある。
どうせ再びフラれるとわかっているなら、この状況、利用させてもらいましょう。
完全ご都合主義、ノーリアリティ展開で進行します。
生暖かい目で見ていただけると幸いです。
小説家になろうさんの方でも投稿しています。
王宮地味女官、只者じゃねぇ
宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。
しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!?
王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。
訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ――
さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。
「おら、案内させてもらいますけんの」
その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。
王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」
副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」
ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」
そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」
けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。
王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。
訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る――
これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。
★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
【完結】髪は女の命と言いますが、それよりも大事なものがある〜年下天才魔法使いの愛には応えられません〜
大森 樹
恋愛
髪は女の命。しかし、レベッカの髪は切ったら二度と伸びない。
みんなには秘密だが、レベッカの髪には魔法が宿っている。長い髪を切って、昔助けた男の子レオンが天才魔法使いとなって目の前に現れた。
「あなたを愛しています!絶対に絶対に幸せにするので、俺と結婚してください!よろしくお願いします!!」
婚約破棄されてから、一人で生きていくために真面目に魔法省の事務員として働いていたレベッカ。天才魔法使いとして入団してきた新人レオンに急に告白されるが、それを拒否する。しかし彼は全く諦める気配はない。
「レベッカさん!レベッカさん!」とまとわりつくレオンを迷惑に思いながらも、ストレートに愛を伝えてくる彼に次第に心惹かれていく…….。しかし、レベッカはレオンの気持ちに答えられないある理由があった。
年上訳あり真面目ヒロイン×年下可愛い系一途なヒーローの年の差ラブストーリーです。
【完結】彼を幸せにする十の方法
玉響なつめ
恋愛
貴族令嬢のフィリアには婚約者がいる。
フィリアが望んで結ばれた婚約、その相手であるキリアンはいつだって冷静だ。
婚約者としての義務は果たしてくれるし常に彼女を尊重してくれる。
しかし、フィリアが望まなければキリアンは動かない。
婚約したのだからいつかは心を開いてくれて、距離も縮まる――そう信じていたフィリアの心は、とある夜会での事件でぽっきり折れてしまった。
婚約を解消することは難しいが、少なくともこれ以上迷惑をかけずに夫婦としてどうあるべきか……フィリアは悩みながらも、キリアンが一番幸せになれる方法を探すために行動を起こすのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています。
お姉様優先な我が家は、このままでは破産です
編端みどり
恋愛
我が家では、なんでも姉が優先。 経費を全て公開しないといけない国で良かったわ。なんとか体裁を保てる予算をわたくしにも回して貰える。
だけどお姉様、どうしてそんな地雷男を選ぶんですか?! 結婚前から愛人ですって?!
愛人の予算もうちが出すのよ?! わかってる?! このままでは更にわたくしの予算は減ってしまうわ。そもそも愛人5人いる男と同居なんて無理!
姉の結婚までにこの家から逃げたい!
相談した親友にセッティングされた辺境伯とのお見合いは、理想の殿方との出会いだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる