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第四章
1.抱き枕以外だ【5】
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「問題ない」
問い掛けに即座に首肯してくれました。良かったです。
ヴォルは扉を大きく開け放ち、私が通れるスペースを空けてくれました。
「ありがとうございます。お邪魔します」
ペコッと頭を下げてから研究室に入ります。うん、久し振りの入室です。
勉強が始まってからはあまりここに来る余裕がなくなってしまったので、本当に半年くらい振りでした。
「あ、精霊さんっ。おはようございます」
視界に入った光る小さな人にも頭を下げて挨拶をしました。私はここでなら精霊さんの姿が見られるのです。えっへん。
ちなみに、私への『精霊さん守護』は今も健在です。過保護ですよねぇ、ヴォルは。
「本当に可愛いですねぇ。普段見えないのがとても残念ですよ」
「……そうか」
私が精霊さんに見とれている間、ヴォルは先程まで行っていたらしき実験器具を片付けています。
ぅわ~、ヴォルの傍には花へ群がる蝶のように精霊さんが舞っていますね。ふわふわ飛びながら、近付いてきては離れてと忙しそうにも見えました。
「どうかしたか?」
「あ、いえ……。精霊さんが蝶々のように見えます」
「……俺から自然と溢れ出る魔力を摂取しているのだ」
「そうなんですか?」
ヴォルは事も無げに答えてくれます。精霊さんのご飯は魔力なのですかね。──それも、ヴォルの?
そんな事をボンヤリと思っていると、片付けが終わったらしきヴォルが私の目の前に立ちました。ん?何でしょうか。
不思議に思って見上げると、フッと視界が暗くなります。あっと思うのと、唇に温かいもの──ヴォルの唇が触れるのが同時でした。
「っ?!」
「……覚えてはいるようだな」
すぐにヴォルは顔が見える距離まで身体を引きます。今のは本当に触れるだけでしたが、私は昨夜の事を思い出して一気に顔が熱くなりました。
動揺しすぎて、そんな私を見たヴォルが僅かに口角を上げたのに気付かなかったです。
「行くぞ?」
次に掛けられた声に顔を上げると、既にヴォルは扉を開けて促しています。な……、何だったのですか?
「どうした、メル。何か問題か?」
「い……え……っ」
面白そうに言われて釈然としませんでしたが、反論出来る心の余裕がありません。真っ赤になっているだろう顔を俯け、掠れた声で答える事しか出来ませんでした。
「そうだろうな。俺達は夫婦なのだから」
「……っ」
硬直したままの私は近付いて来たヴォルに肩を抱かれ、そのまま胸に寄せられました。今までのスキンシップと度合いが違います。
しかも、扉が開いたままではないですかっ?
「そう緊張するな」
「あ……ぅ……」
この状況で緊張しないのは無理ですよ。触れられる事にはだいぶ慣れましたが、ここまで接近されると身体が自然と硬直してしまうのでした。
私の場合は男性にというか、人全般的に対して言える事なのですけどね。距離感が難しいです。
問い掛けに即座に首肯してくれました。良かったです。
ヴォルは扉を大きく開け放ち、私が通れるスペースを空けてくれました。
「ありがとうございます。お邪魔します」
ペコッと頭を下げてから研究室に入ります。うん、久し振りの入室です。
勉強が始まってからはあまりここに来る余裕がなくなってしまったので、本当に半年くらい振りでした。
「あ、精霊さんっ。おはようございます」
視界に入った光る小さな人にも頭を下げて挨拶をしました。私はここでなら精霊さんの姿が見られるのです。えっへん。
ちなみに、私への『精霊さん守護』は今も健在です。過保護ですよねぇ、ヴォルは。
「本当に可愛いですねぇ。普段見えないのがとても残念ですよ」
「……そうか」
私が精霊さんに見とれている間、ヴォルは先程まで行っていたらしき実験器具を片付けています。
ぅわ~、ヴォルの傍には花へ群がる蝶のように精霊さんが舞っていますね。ふわふわ飛びながら、近付いてきては離れてと忙しそうにも見えました。
「どうかしたか?」
「あ、いえ……。精霊さんが蝶々のように見えます」
「……俺から自然と溢れ出る魔力を摂取しているのだ」
「そうなんですか?」
ヴォルは事も無げに答えてくれます。精霊さんのご飯は魔力なのですかね。──それも、ヴォルの?
そんな事をボンヤリと思っていると、片付けが終わったらしきヴォルが私の目の前に立ちました。ん?何でしょうか。
不思議に思って見上げると、フッと視界が暗くなります。あっと思うのと、唇に温かいもの──ヴォルの唇が触れるのが同時でした。
「っ?!」
「……覚えてはいるようだな」
すぐにヴォルは顔が見える距離まで身体を引きます。今のは本当に触れるだけでしたが、私は昨夜の事を思い出して一気に顔が熱くなりました。
動揺しすぎて、そんな私を見たヴォルが僅かに口角を上げたのに気付かなかったです。
「行くぞ?」
次に掛けられた声に顔を上げると、既にヴォルは扉を開けて促しています。な……、何だったのですか?
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「い……え……っ」
面白そうに言われて釈然としませんでしたが、反論出来る心の余裕がありません。真っ赤になっているだろう顔を俯け、掠れた声で答える事しか出来ませんでした。
「そうだろうな。俺達は夫婦なのだから」
「……っ」
硬直したままの私は近付いて来たヴォルに肩を抱かれ、そのまま胸に寄せられました。今までのスキンシップと度合いが違います。
しかも、扉が開いたままではないですかっ?
「そう緊張するな」
「あ……ぅ……」
この状況で緊張しないのは無理ですよ。触れられる事にはだいぶ慣れましたが、ここまで接近されると身体が自然と硬直してしまうのでした。
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