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1548 カルロス・フォスターの誓い
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「・・・我が軍の被害状況は以上です。特に火傷を負った兵が多く、あの巨大な火の玉の近くにいた兵のほとんどが重症です。現在白魔法使いが総出で治療を行っています」
クインズベリー軍副軍団長のカルロス・フォスターは、神妙な顔で部下からの報告をうけていた。
パウンド・フォーを越えてここまで辿り着いた。そして今、帝国首都ベアナクールの西側の門を開放した。当初五万の兵を率いていたが、今現在の報告でそれが二万にまで減っていた。
帝国を相手に二万も残ったと考えるべきだろうが、そう簡単には割り切れない。だが皆覚悟の上でここまで来た。
クインズベリー軍の副団長として、カルロスは感情を殺して現状を受け入れた。
「分かった。帝国に体勢を立て直す時間を与えるわけにはいかん。戦える者は至急準備を整えるようにと伝達しろ。重傷者は置いて行く。現在ヒールをかけなくても動ける者だけで突撃をかける」
二万人が生き残ったと言ってもそのうち、1/3は重傷を負っていてとても戦える状態ではない。ヒールをかけて傷だけ治しても、体力も失った血もすぐには戻らないのだ。
ただ死にに行かせるような状態では、連れて行くなどできない。カルロスは負傷者はここに残していく事を決めた。
「カルロス様、騎士団はいかが致しましょうか?」
「・・・レイマートまで失った今、残っている騎士で最上位の者が指揮を執るしかないだろう。騎士団の事は騎士団に任せるべきだ」
ゴールド騎士のアルベルト・ジョシュアがいなくなり、レイマート・ハイランドも戦死した今、騎士団の指揮を執る者がいなかった。全体の指示は軍の副団長であるカルロスが出す、だが騎士団の中で騎士を動かすのは、やはり騎士であるべきだとの考えだ。
しかし、シルバー騎士上位のエクトールとフィル、この二人もレイ・ランデルとの戦いで失っている。
騎士団はその力を大きく落としていた。
指示を受けた部下が離れると、入れ替わって近づいてきたのは、四勇士のエステバン・クアルトだった。
少し長めの赤茶色の髪をかき上げると、一つ大きく息をついた。丸みのある目には少なからずの疲労の色が見える。
「クアルト、終わったのか?」
「あ~、うん、外傷は大丈夫だよ。ヒールで治療できるところは全部治したよ。だけどあれはねぇ・・・闘気ってのは、ヒールでどうなるもんじゃないからね?自然に回復するのを待つしかないよ」
「そうか・・・それで、レイチェルは戦えそうか?」
クアルトの話しを聞いて、カルロスは表情を曇らせた。
「う~ん・・・彼女の力は惜しいけど、白魔法使いの立場で言えば、休ませるべきだね。立って歩けるくらいには回復したけど、とても戦えないよ。聞けば一人で師団長や、幹部クラスを何人も倒したんでしょ?無理をし過ぎなんだよ。レイチェルはもう十分戦ったよ」
レイチェル・エリオットは今回の戦いで全てを出し尽くした。
限界を超えて闘気を振り絞り、立つ事さえままならない程に消耗した。
第一師団の幹部達、師団長のレイ・ランデル、そして皇帝の腹心であるジャック・フレイジャーをたった一人で倒して道を切り開いた。
この戦場での勝利は、レイチェルの力によるものが大きかった。
第一師団を制圧したあと、エステバン・クアルトがレイチェルの治療にあたったが、その結果は今クアルトが口にした通りだった。
怪我は治せても体力までは戻せない。レイチェルはもう戦える状態ではなかった。
「・・・やむをえんな。レイチェル・エリオット、あれほどの戦闘力を持っているとは思わなかった。ここで離脱は惜しいが、しかたあるまい。彼女のおかげで我が軍の被害を最小限に抑えられた。あとは俺達でやるぞ」
カルロスのレイジェスに対する評価は、ここまでの道のりで180度変わっていた。
最初に会った時は、いくら強いと言っても所詮はただの商人、町のリサイクルショップの店員に期待などしていなかった。
しかし共に行動し敵と戦って分かった。彼らはただのリサイクルショップの店員ではない、一人一人が並々ならぬ実力者なのだ。女王陛下があれだけ高く評価する事にも納得できた。
「分かった。じゃあボクはレイジェスと話してくるよ。ああ、それとバリオスさんだけど、まだしばらくは大丈夫そうだよ。でもやっぱり動く事はできないみたいだから、ここに残るしかないみたいだ」
「分かった、護衛として十分な数は残していく。バリオスが闇を抑えている間に、なんとしても皇帝を討つぞ」
クアルトは、了解、とだけ短く答えると、カルロスに背中を向けて、レイジェスのメンバーがいる場所に向かった。
その背中を見送ると、カルロスは空を見上げた。
首都の上空は真っ暗な闇が覆っているが、同時に光が闇を掴むように抑えていた。
闇はまるで意思を持っているかのように、光を離そうと蠢いているように見える。
もし今、あの闇が解き放たれたら・・・
闇に対抗する手段を持たない自分達は、ひとたまりもないだろう。
本来ならば自分達は、帝国と戦う事すら適わなかった。
バリオスともう一人、この場にはいないが、闇の巫女ルナの力があってこそ、帝国との戦いに臨む事ができのだ。
今回を逃せばもう二度と機会は訪れないだろう。帝国を倒すには、今日この場でしかないのだ。
「・・・散っていった多くの兵達のためにも、なんとしてでも帝国を倒す。倒さねばならん」
カルロス・フォスターは拳を握り締め、打倒帝国を固く誓った。
クインズベリー軍副軍団長のカルロス・フォスターは、神妙な顔で部下からの報告をうけていた。
パウンド・フォーを越えてここまで辿り着いた。そして今、帝国首都ベアナクールの西側の門を開放した。当初五万の兵を率いていたが、今現在の報告でそれが二万にまで減っていた。
帝国を相手に二万も残ったと考えるべきだろうが、そう簡単には割り切れない。だが皆覚悟の上でここまで来た。
クインズベリー軍の副団長として、カルロスは感情を殺して現状を受け入れた。
「分かった。帝国に体勢を立て直す時間を与えるわけにはいかん。戦える者は至急準備を整えるようにと伝達しろ。重傷者は置いて行く。現在ヒールをかけなくても動ける者だけで突撃をかける」
二万人が生き残ったと言ってもそのうち、1/3は重傷を負っていてとても戦える状態ではない。ヒールをかけて傷だけ治しても、体力も失った血もすぐには戻らないのだ。
ただ死にに行かせるような状態では、連れて行くなどできない。カルロスは負傷者はここに残していく事を決めた。
「カルロス様、騎士団はいかが致しましょうか?」
「・・・レイマートまで失った今、残っている騎士で最上位の者が指揮を執るしかないだろう。騎士団の事は騎士団に任せるべきだ」
ゴールド騎士のアルベルト・ジョシュアがいなくなり、レイマート・ハイランドも戦死した今、騎士団の指揮を執る者がいなかった。全体の指示は軍の副団長であるカルロスが出す、だが騎士団の中で騎士を動かすのは、やはり騎士であるべきだとの考えだ。
しかし、シルバー騎士上位のエクトールとフィル、この二人もレイ・ランデルとの戦いで失っている。
騎士団はその力を大きく落としていた。
指示を受けた部下が離れると、入れ替わって近づいてきたのは、四勇士のエステバン・クアルトだった。
少し長めの赤茶色の髪をかき上げると、一つ大きく息をついた。丸みのある目には少なからずの疲労の色が見える。
「クアルト、終わったのか?」
「あ~、うん、外傷は大丈夫だよ。ヒールで治療できるところは全部治したよ。だけどあれはねぇ・・・闘気ってのは、ヒールでどうなるもんじゃないからね?自然に回復するのを待つしかないよ」
「そうか・・・それで、レイチェルは戦えそうか?」
クアルトの話しを聞いて、カルロスは表情を曇らせた。
「う~ん・・・彼女の力は惜しいけど、白魔法使いの立場で言えば、休ませるべきだね。立って歩けるくらいには回復したけど、とても戦えないよ。聞けば一人で師団長や、幹部クラスを何人も倒したんでしょ?無理をし過ぎなんだよ。レイチェルはもう十分戦ったよ」
レイチェル・エリオットは今回の戦いで全てを出し尽くした。
限界を超えて闘気を振り絞り、立つ事さえままならない程に消耗した。
第一師団の幹部達、師団長のレイ・ランデル、そして皇帝の腹心であるジャック・フレイジャーをたった一人で倒して道を切り開いた。
この戦場での勝利は、レイチェルの力によるものが大きかった。
第一師団を制圧したあと、エステバン・クアルトがレイチェルの治療にあたったが、その結果は今クアルトが口にした通りだった。
怪我は治せても体力までは戻せない。レイチェルはもう戦える状態ではなかった。
「・・・やむをえんな。レイチェル・エリオット、あれほどの戦闘力を持っているとは思わなかった。ここで離脱は惜しいが、しかたあるまい。彼女のおかげで我が軍の被害を最小限に抑えられた。あとは俺達でやるぞ」
カルロスのレイジェスに対する評価は、ここまでの道のりで180度変わっていた。
最初に会った時は、いくら強いと言っても所詮はただの商人、町のリサイクルショップの店員に期待などしていなかった。
しかし共に行動し敵と戦って分かった。彼らはただのリサイクルショップの店員ではない、一人一人が並々ならぬ実力者なのだ。女王陛下があれだけ高く評価する事にも納得できた。
「分かった。じゃあボクはレイジェスと話してくるよ。ああ、それとバリオスさんだけど、まだしばらくは大丈夫そうだよ。でもやっぱり動く事はできないみたいだから、ここに残るしかないみたいだ」
「分かった、護衛として十分な数は残していく。バリオスが闇を抑えている間に、なんとしても皇帝を討つぞ」
クアルトは、了解、とだけ短く答えると、カルロスに背中を向けて、レイジェスのメンバーがいる場所に向かった。
その背中を見送ると、カルロスは空を見上げた。
首都の上空は真っ暗な闇が覆っているが、同時に光が闇を掴むように抑えていた。
闇はまるで意思を持っているかのように、光を離そうと蠢いているように見える。
もし今、あの闇が解き放たれたら・・・
闇に対抗する手段を持たない自分達は、ひとたまりもないだろう。
本来ならば自分達は、帝国と戦う事すら適わなかった。
バリオスともう一人、この場にはいないが、闇の巫女ルナの力があってこそ、帝国との戦いに臨む事ができのだ。
今回を逃せばもう二度と機会は訪れないだろう。帝国を倒すには、今日この場でしかないのだ。
「・・・散っていった多くの兵達のためにも、なんとしてでも帝国を倒す。倒さねばならん」
カルロス・フォスターは拳を握り締め、打倒帝国を固く誓った。
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