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1549 帝国首都、西側の戦いを終えて
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「レイチェル、無理しちゃダメだよ。寝てなって」
体を起こそうとしたレイチェルの肩に手を置いて、ケイトは言い聞かせるように話した。
夜を過ごすために用意した寝袋を出し、その上に寝かされていたレイチェルだが、首都に入るための準備が始まった事を見て、自分もいかなければという使命感に動かされたようだ。
「しかしケイト・・・これが最後の戦いなんだ。私も行かなくては・・・」
そう話すレイチェルの顔には、隠しきれない疲労の色が見えた。
エステバン・クアルトのヒールで、外傷は全て治す事ができた。しかし闘気は底を尽き、失った体力までは回復できていない。こればかりは時間をかけるしかなかった。
「レイチェル、気持ちは分かるよ。でもさ、その体じゃ無理だよ。レイチェルは十分戦ったよ、師団長を倒して、あのバカでかい火の玉も消し飛ばした。他の誰にもできない事をやったんだ。あとは私達にまかせて、あんたはここで体を休めなよ」
「だが、みんなが戦っているのに私だけ・・・」
「レイチェル、自分の命も大切にしろって、いつもみんなに言ってるよね?」
なおも食い下がろうとするレイチェルだったが、ケイトに睨まれて口をつぐんだ。
その通りだったからだ。自分の命を大切にしろとは、レイチェルがいつも仲間達に言っている言葉だ。
「・・・何も言い返せないな。分かったよ、ケイト」
「うん、大丈夫、私達だって強いんだからね?」
レイチェルの肩から力が抜けると、ケイトは安心させるように笑って答えた。
「あ、話しが終わったみてぇだぞ」
少し離れた場所で様子を見ていたのはレイジェスのメンバー達と、四勇士のエステバン・クアルトだった。彼らはケイトが戻って来ると一斉に目を向けた。
「おう、ケイト、レイチェルはどうよ?説得できたんかよ?」
ぐいっと詰め寄って来るリカルド、その後ろではユーリとミゼルもケイトをじっと見つめている。
「うん、大丈夫だよ。ちゃんと分かってくれたから」
ケイトが頷くと、三人はほっと息をついた。
「やっぱりケイトに任せて正解だったな」
ミゼルは軽く笑いながらポリポリと頬を掻いた。
最初は全員でレイチェルの説得にあたっていたのだが、騒がしいリカルドがいるため、誰かが代表で話しをしようとなった。それでケイトが選ばれたのだが、リカルドだけを省けばまたうるさくなるから、ミゼルトとユーリはリカルドを見張るために離れたのだ。
「うん、何気にケイトは話し上手。リカルド、近すぎ」
ユーリはリカルドの肩を掴むと、ケイトからぐいっと引き離した。
「分かってくれたみたいだね?良かったよ、あれだけ消耗してちゃとても戦えないからね。ボクが言ってもきかないし、困ってたんだ」
四勇士エステバン・クアルトがケイトに声をかけると、ケイトはニコリと笑って顔を向けた。
「クアルト、レイチェルを治療してくれてありがとね。助かったよ」
「それがボクの仕事だからね。安心していいよ、レイチェルの傍には何人か置いていくから」
「頼むね、それでこれから首都に入るの?」
ケイトの質問にクアルトは口元を引き締めた。そしてレイジェスのメンバーを見回して、話し出した。
「ああ、これからすぐに突撃だよ。カルロスさんが帝国に体制を立て直す暇を与えるなってさ、こっちもだいぶ戦力を減らしたけど、帝国の方がダメージは大きいだろうしね」
一瞬、レイジェスのメンバー達の表情に影が差した。
ここに至るまでに多くの兵を失った、そして彼らの頭に浮かんだのは、生死が不明となっている、アゲハとフィゲロア、そしてアルベルト・ジョシュアだ。
もっとも、アゲハとフィゲロアは、マルコス・ゴンサレスに助けられているのだが、それを彼らが知る由も無い。生死の分からない仲間の事を考え、胸を痛めていた。
「・・・他のみんなは、無事かな」
か細く呟いたのはユーリだった。
別の場所で戦っているクインズベリーの仲間達、そして同盟国のロンズデール。
親しい友人も沢山いるのだ。
「なに言ってんだよユーリ、大丈夫に決まってんだろ?」
俯くユーリに明るく声をかけたのは、エメラルドグリーンの髪を束ねた弓使いだった。
なんの根拠もなかったが、リカルドはユーリの肩にポンと手を乗せ、いつもの調子で自信満々に言い切る。こんな時でもあまりにも普段通りだからか、ユーリは一瞬ぽかんとした顔を見せたが、つい口元が緩んでしまった。
「・・・うん、そうだね」
「ん?急になに笑ってんだよ?俺なんか変な事言ったか?」
「うぅん、何も。リカルドはリカルドだなって思っただけ」
「はぁ?んだよそれ?」
首をかしげるリカルドに、ユーリはただ笑っていた。
うん、仲間を、みんなを信じよう。
大丈夫、みんな強いから、帝国なんかに負けない。
「ふぅん、レイジェスって本当に全員仲が良いんだね?すごいよ、まぁ、とりあえず行こうか?そろそろ時間だよ」
クアルトの呼びかけに従い、ケイト、リカルド、ミゼル、ユーリの四人は、カルロス・フォスターの元へと向かった。
西側の戦いは勝利を飾る事ができたが、犠牲も大きかった。
戦力の中心となる人物は欠けてしまったが、残された者達で戦っていかなければならない。
彼らは決意を新たに前を向いた。
そして戦いの舞台は、帝国首都の北側へと移っていく。
体を起こそうとしたレイチェルの肩に手を置いて、ケイトは言い聞かせるように話した。
夜を過ごすために用意した寝袋を出し、その上に寝かされていたレイチェルだが、首都に入るための準備が始まった事を見て、自分もいかなければという使命感に動かされたようだ。
「しかしケイト・・・これが最後の戦いなんだ。私も行かなくては・・・」
そう話すレイチェルの顔には、隠しきれない疲労の色が見えた。
エステバン・クアルトのヒールで、外傷は全て治す事ができた。しかし闘気は底を尽き、失った体力までは回復できていない。こればかりは時間をかけるしかなかった。
「レイチェル、気持ちは分かるよ。でもさ、その体じゃ無理だよ。レイチェルは十分戦ったよ、師団長を倒して、あのバカでかい火の玉も消し飛ばした。他の誰にもできない事をやったんだ。あとは私達にまかせて、あんたはここで体を休めなよ」
「だが、みんなが戦っているのに私だけ・・・」
「レイチェル、自分の命も大切にしろって、いつもみんなに言ってるよね?」
なおも食い下がろうとするレイチェルだったが、ケイトに睨まれて口をつぐんだ。
その通りだったからだ。自分の命を大切にしろとは、レイチェルがいつも仲間達に言っている言葉だ。
「・・・何も言い返せないな。分かったよ、ケイト」
「うん、大丈夫、私達だって強いんだからね?」
レイチェルの肩から力が抜けると、ケイトは安心させるように笑って答えた。
「あ、話しが終わったみてぇだぞ」
少し離れた場所で様子を見ていたのはレイジェスのメンバー達と、四勇士のエステバン・クアルトだった。彼らはケイトが戻って来ると一斉に目を向けた。
「おう、ケイト、レイチェルはどうよ?説得できたんかよ?」
ぐいっと詰め寄って来るリカルド、その後ろではユーリとミゼルもケイトをじっと見つめている。
「うん、大丈夫だよ。ちゃんと分かってくれたから」
ケイトが頷くと、三人はほっと息をついた。
「やっぱりケイトに任せて正解だったな」
ミゼルは軽く笑いながらポリポリと頬を掻いた。
最初は全員でレイチェルの説得にあたっていたのだが、騒がしいリカルドがいるため、誰かが代表で話しをしようとなった。それでケイトが選ばれたのだが、リカルドだけを省けばまたうるさくなるから、ミゼルトとユーリはリカルドを見張るために離れたのだ。
「うん、何気にケイトは話し上手。リカルド、近すぎ」
ユーリはリカルドの肩を掴むと、ケイトからぐいっと引き離した。
「分かってくれたみたいだね?良かったよ、あれだけ消耗してちゃとても戦えないからね。ボクが言ってもきかないし、困ってたんだ」
四勇士エステバン・クアルトがケイトに声をかけると、ケイトはニコリと笑って顔を向けた。
「クアルト、レイチェルを治療してくれてありがとね。助かったよ」
「それがボクの仕事だからね。安心していいよ、レイチェルの傍には何人か置いていくから」
「頼むね、それでこれから首都に入るの?」
ケイトの質問にクアルトは口元を引き締めた。そしてレイジェスのメンバーを見回して、話し出した。
「ああ、これからすぐに突撃だよ。カルロスさんが帝国に体制を立て直す暇を与えるなってさ、こっちもだいぶ戦力を減らしたけど、帝国の方がダメージは大きいだろうしね」
一瞬、レイジェスのメンバー達の表情に影が差した。
ここに至るまでに多くの兵を失った、そして彼らの頭に浮かんだのは、生死が不明となっている、アゲハとフィゲロア、そしてアルベルト・ジョシュアだ。
もっとも、アゲハとフィゲロアは、マルコス・ゴンサレスに助けられているのだが、それを彼らが知る由も無い。生死の分からない仲間の事を考え、胸を痛めていた。
「・・・他のみんなは、無事かな」
か細く呟いたのはユーリだった。
別の場所で戦っているクインズベリーの仲間達、そして同盟国のロンズデール。
親しい友人も沢山いるのだ。
「なに言ってんだよユーリ、大丈夫に決まってんだろ?」
俯くユーリに明るく声をかけたのは、エメラルドグリーンの髪を束ねた弓使いだった。
なんの根拠もなかったが、リカルドはユーリの肩にポンと手を乗せ、いつもの調子で自信満々に言い切る。こんな時でもあまりにも普段通りだからか、ユーリは一瞬ぽかんとした顔を見せたが、つい口元が緩んでしまった。
「・・・うん、そうだね」
「ん?急になに笑ってんだよ?俺なんか変な事言ったか?」
「うぅん、何も。リカルドはリカルドだなって思っただけ」
「はぁ?んだよそれ?」
首をかしげるリカルドに、ユーリはただ笑っていた。
うん、仲間を、みんなを信じよう。
大丈夫、みんな強いから、帝国なんかに負けない。
「ふぅん、レイジェスって本当に全員仲が良いんだね?すごいよ、まぁ、とりあえず行こうか?そろそろ時間だよ」
クアルトの呼びかけに従い、ケイト、リカルド、ミゼル、ユーリの四人は、カルロス・フォスターの元へと向かった。
西側の戦いは勝利を飾る事ができたが、犠牲も大きかった。
戦力の中心となる人物は欠けてしまったが、残された者達で戦っていかなければならない。
彼らは決意を新たに前を向いた。
そして戦いの舞台は、帝国首都の北側へと移っていく。
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