異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

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1550 動揺と困惑、そして信頼

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帝国首都ベアナクール。
その北側に位置する場所では、クインズベリー軍軍団長のバーナード・ロブギンス率いる軍団が、首都を覆う闇を睨みながら、突撃の合図を待っていた。

辺り一帯は赤茶色の砂しか見えない砂漠地帯である。
雪こそ降らないが冬の砂漠は冷える。口から吐く息は白く、並び立つクインズベリー兵士達の体から、体温を奪っていた。
そして彼らが睨む、高い城壁に囲まれた帝国首都の北側の門の前には、帝国兵達がずらりと並び立っていた。
黒い鎧を身に付けているのは体力型の兵士達、黒いローブを纏っているのは魔法兵達、その数はざっと見渡しただけでも数万を数えるだろう。

帝国もこちらの動きを察して、すでに配置を済ませている。
両軍まだ距離はあるが、いつ開戦になってもおかしくない緊張感が漂っていた。



「ルナ、どうした?なにかあったのか?」

ゴールド騎士フェリックス・ダラキアンは、立ち尽くしたまま固まっているルナを、怪訝な表情で見た。

闇の巫女のルナは、その体に流れる闇の魔力を持って、帝国首都ベアナクールを覆う闇を封じている。
それは見事に成功し、こちらに向かって来ようとした闇は、まるで静止画のように動きを止めていた。
しかしルナの様子が変だった。闇の動きを止めると、何かに驚いたように、目を見開いて絶句したのだ。

ルナの傍に立っているフェリックスは、いち早くルナの異変に気付いた。
フェリックスの役目はルナの護衛だが、それだけではない。ルナが完全に闇を押さえた事を確認してから、首都へ突撃をかける号令も出すのだ。しかしルナがこの状態では突撃の合図は出せない。


「ルナ!どうしたんだ!?しっかりしろ!」

自分の声が聞こえていない。呆然と立ち尽くすルナを見て、フェリックスはルナの肩を掴んだ。
それでようやくルナは、錆びたゼンマイ人形のようなぎこちない動きで首を回して、フェリックスに顔を向けた。


「・・・イ、イリーナが・・・・・」

やっと絞り出したか細い声は、激しい動揺と困惑で満ちていた。
そして黒い瞳は、すがるようにフェリックスを見ている。

「イリーナ?・・・それは確か、ルナの友人の名前だよね?」

そう言葉を返すと、ルナはしがみつくように、ガバッとフェリックスの両肩に手をかけた。

「イ、イリーナです!あの闇からイリーナの魔力を感じました!ああ、どうしよう!どうしよう!あれは、あの闇は・・・あの闇はイリーナの闇なんです!」

「ル、ルナ!?」

ルナの取り乱しように、フェリックスもたじろいだ。フェリックスから見て、ルナは芯の強い女性だった。出会ったばかりの頃は少し気弱で控えめな印象だったが、最近では慣れてきたのかゴールド騎士の自分にも、遠慮ない物言いをするようになってきたし、誰に対してもハキハキと受け答えをしている。

そのルナが、ここまで取り乱すとは思わなかった。
目にいっぱいの涙を溜め、力いっぱいに自分の肩を掴み、人目をはばからずに声を上げている。

「・・・ルナ、あの闇・・・あの帝国を覆っている闇は、イリーナの闇なんだね?」

ルナの黒い瞳をじっと見つめながら、フェリックスは一言一言、確認するようにハッキリと口にして尋ねた。

「は、はい!イリーナです!間違えるわけがありません!あの闇からはイリーナの魔力を感じます!ああ・・・どうしよう、どうしよう、まさかイリーナはもうトバリに・・・そうなったら、私・・・私・・・」


あの日、イリーナは自分を逃がすために、我が身を犠牲にして帝国の追手スカーレット・シャリフに立ち向かった。

絶対に助ける。そう誓ってここまで来た。けれど、もうイリーナは闇の主トバリに・・・・・

そう考えると胸が張り裂けそうになる。どうしようもない絶望が心に広がり、気が狂いそうだった。


「分かった。心配しないでいいよ、僕がイリーナを助ける」


当たり前のように話された言葉に、ルナは、え?と小さく言葉を漏らし、フェリックスを見た。

「ルナ、キミの友達は僕が助ける」

もう一度、ルナの瞳を見て言葉にする。
その顔には一切の迷いは無く、見る者を納得させる自信だけがあった。

「・・・フェリックス様・・・」

我を忘れていたルナだったが、フッと不思議なくらいに心が落ち着いた。
そしてその言葉を何の疑いもなく信じる事ができた。


「フェリックス様・・・お、お願いします、イリーナを・・・助けて・・・」

「もちろんだよ、ルナ」

ルナの瞳からこぼれた涙を、そっと左手の指先で拭うと、フェリックスは右手を上げた。


「全軍突撃!クインズベリーの力を見せてやれ!」


帝国に向かって右手を振り下ろす。

今、決戦の号令が発せられた!

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