異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

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1551 あの日告げた言葉

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「デューク様、クインズベリーが動きました」

第七師団副団長であるアンジェロ・アンドゥハスは、師団長デューク・サリバンへ戦闘が始まった事を告げた。

アンジェロ・アンドゥハス、年齢は十八歳、身長はデュークよりも少し高く、185cm程はあるだろう。
腰まで届きそうな長い銀色の髪は、首元で一本に結んでいる。シャープな顎のラインと薄い唇、切れ長の青い目が、中性的な顔立ちを作っていた。
そして一見すると細身の体にも見えるが、その実は無駄の無い引き締まった肉体だった。

第七師団の副団長の地位に立つアンジェロは、天才と呼ばれていた。

力こそが全ての帝国において、この歳で副団長にまでなったのだから、戦いにおけるセンスは疑いようがない。しかしアンジェロが天才と呼ばれる所以は、力だとか技だとか、そういう身体的なものとは別の次元にあった。


「前線の指揮は各部隊の隊長に任せています。まぁ、クインズベリーが俺達のところまで辿り着く事は無いと思いますけどね。あ、デューク様が気にされている男ですけど、もしあの軍団の中にいたら俺が相手をしましょうか?」

含みのある言い方に、デュークは僅かに眉を動かした。だが口を開く事はなく、アンジェロの言葉にそれ以上の反応は示さなかった。


「あれ、もしかして気に障る事を言ってしまいましたか?いや、ちょっと小耳に挟んだんですよ?パウンド・フォーから戻って来た時、デューク様けっこうな負傷だったじゃないですか?スカーレット団長に聞いても詳しい事は話してくれなかったし、心配だったんですよ?でも、皇帝には報告義務がありますよね?」

目を細めて笑うアンジェロを見て、俺は理解した。

あの日、パウンド・フォーでアラタ達と戦った事の全てを、皇帝へは包み隠さず全てを報告した。
それが帝国と皇帝への忠誠心だからだ。
それを知っているアンジェロは、どうにかして聞き出したのかもしれない。だが皇帝が聞かれたまま全てを答えるとは考え難い。俺の事情が絡んだ話しだ、あまり深いところまでは話さないはずだ。

であれば、他に誰かその場で聞いていた者はいなかったか?そう考え、その場にいた第二、第三の人物を探したのだ。

しかしあの時は大事な話しだからと皇帝に伝え、自分とスカーレットと皇帝、謁見の間をこの三人だけにしてもらったのだ。他の者に話しがもれるはずがない。

ではどうやって、アンジェロは俺にダメージを与えた男・・・つまり、アラタの存在を知ったんだ?


考えられる事はもう一つだけある・・・・・信じられんが、アンジェロ、こいつはあの場にいたんだ。


どうやって潜り込んだのかは知らんが、こいつならやりかねんし、不可能ではない。
こいつはパウンド・フォーから戻った俺の様子を見て、皇帝への謁見では大きな報告があると思ったのだろう。俺が謁見の間から、護衛の兵士達まで閉め出す事を予想していたかは分からんが、確実に自分の耳で情報を得るために前もって謁見の前に忍び込んでいたんだ。

だが俺や、まして皇帝にも覚られない程、完璧に気配を消せるものか?


「あれ?難しい顔してどうしました?なにか悩みでも?」

「・・・いや、なんでもない」

疑問が顔に出ていたようだ、俺の表情から何かを察したのか、アンジェロは笑みを浮かべたまま言葉を重ねた。

「あ!そうだ、知ってました?音を拾う魔道具があるんですよ。便利ですよね?特に今みたいな戦時中だと、敵の情報も丸わかりですよ?」

「っ!?」

「えっと、アラタって言うんですよね?デューク様が気にしてる男は?四つある門のうち、ちゃんとこっち北の門に来てますよ。よかったですね?こういうのを運命って言うんですかね?」

「・・・アンジェロ、貴様・・・」

ピリッと空気が緊張する。
言葉に怒気が入ると、アンジェルは挑発的な笑みを浮かべたまま、サッと一歩後ろに飛びのいた。


「あはははは、冗談、冗談ですよ、デューク様、そんなに怒らないでください」

両手を前に出し、なだめるような口調で話す。まるで聞き分けのない子供をあやすような仕草は、とても上司に対するものではない。デュークを怒らせる事が目的かと思う程だったが、デュークはすでに落ち着きを取り戻していた。

「・・・アンジェロ、今は戦闘中だ。用が済んだのなら持ち場に戻れ」

弟のように可愛がっていた男、アラタの名を出されて一瞬感情を抑えきれなかった。
だがアンジェロの挑発行為は今に始まった事ではない。気持ちを落ち着ける術は心得ている。

有無を言わさぬ鋭い眼光を向けられて、アンジェロはようやく笑みを引っこめた。
そして胸に手を当て一礼をする。

「大変失礼しました。それではこのアンジェロ・アンドゥハス、持ち場に戻らせていただきます」

踵を返し、アンジェロはデュークの元を離れた。
遠のく背中を見つめ、デューク・サリバンは誰にも覚られない程度に、一つ小さく息をついた。


アンジェロ・アンドゥハス・・・我が副団長ながら面倒な男だ。
前副団長を倒し、実力でのし上がってきたのだから、今の地位から追い出す事はできない。
だが俺に対する挑発の数々、同じ隊の中での権力闘争のようでやり辛い。

力と技、戦闘におけるセンスは認める。天才と呼ばれるだけの事はある。
だがもてはやされて、苦労を知らずに育ってきたからだろう、自尊心が高い、いや高すぎる。
人の下につく事が我慢ならないのだ。

持ち場には戻ったようだが、大人しく指示に従うだろうか?
隊列が乱れれば隙ができる、万一の事も考えておかねばならないかもしれない。

不安材料を抱えたままの戦いになったが、デュークは気持ちを切り替えた。


今は戦闘に集中しなければならない

帝国のために・・・そして、己の心に決着をつけるために


「・・・アラタ、こっちに来てしまったのか」


次に会った時は容赦しない


パウンド・フォーでアラタにそう告げた、そして今、その時が来ようとしている

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